第110回●ルンティン ~ラジオの話~
寮の屋上で洗濯するジグメ メンツィカンで寮生活を送っていた2002年のときのこと。毎日、夕方4時半ころになると、ルームメイトのジグメ(第2話)は必ず、ラジオのスイッチを入れる。20×30センチもある黒くて大きなラジオはか […]
寮の屋上で洗濯するジグメ メンツィカンで寮生活を送っていた2002年のときのこと。毎日、夕方4時半ころになると、ルームメイトのジグメ(第2話)は必ず、ラジオのスイッチを入れる。20×30センチもある黒くて大きなラジオはか […]
レチャクパ日本名クサジンチョウゲ 2009年、都内で開催された野元甚蔵さんの講演会に出席した。野元さんは鹿児島県生まれの92歳。戦前に陸軍特務機関の命を受けてチベットに潜入。モンゴル人を装って1年半、チベットで暮らしたと […]
ラサ郊外で見つけたソーラークッカー 昨年7月、チベット薬草ツアーに同行した際、村や街のあちらこちらでソーラークッカーを見かけた。パラボラのように開いた銀色パネルの中央に太陽光(チベット語でニマ)を集めてお湯を沸かすという […]
鹿を捌く中村さん 2005年のヒマラヤ薬草実習中、さらに山深いところに生える薬草を採取するために、屈強な男子学生だけを選抜して特別遠征隊が編成された(第27話)。このメンバーに選ばれるためには(倍率2倍)、実習前半、必要 […]
トウキの幼苗 2011年10月20日、ふるさと富山は高岡、戸出町で「チベット医学の世界」と題して講演会が開催された。しかし、この日は気が重い。なにしろ僕の小さいころを知っている人たちばかりが集まるのだ。しかも、あろうこと […]
メンツィカン1、2年生のころ、カメラ(チベット語でパルチェ)は薬草を撮るためだけに使っていたけれど、本エッセイ連載が始まった2006年、4年生のころから、同級生たちがヒマラヤで奮闘している姿や、テントに戻ってきてほっとし […]
レテ 和名 イボツツラフジ撮影 メンツィカン薬用植物園 7世紀に仏教が伝わる以前からチベット民族に根差したといわれているボン教。日本の神道や修験道に喩えられることが多く、それらの趨勢と同じように今では仏教の影に隠れて宗教 […]
ラベンダー 1993年夏、青春18キップ(注1)で北海道を旅行していたときのこと。旭川から南に下っていく鈍行列車は「北の国から」のBGMが流れてきそうな広大な風景の中を進んでいた。列車の中には数えるほどだけの乗客しかいな […]
ツァ・アトン 「家栽の人」という漫画を御存知だろうか。家庭裁判所の桑田判事が草花を通して、悩める人々を柔らかく、さりげなく癒し、揉め事を収めていくという全15巻、約140話のヒューマンドラマ。各話の題名は「ヒトリシズカ」 […]
ヤマブキ 室町時代、太田道灌にまつわるこんな話を御存知だろうか。道中、雨が降り出したとき、道潅は蓑がないか村の女性に尋ねた。すると女性は黙って山吹の花がついた枝を差し出して去っていった。道灌には、その意味がわからず「花を […]
デビルス・クラブ 2005年1月、本連載の第1回『ツェルゴン』を執筆するにあたり、僕は大好きな星野道夫さんの『旅をする木』と『ノーザンライツ』を繰り返し読んだ。アラスカの大地や風景が活き活きと眼前に浮かび上がり、アラスカ […]
アムドの草原を散策する 1980年、僕が小学校2、3年生のころ。高岡市の大会で優勝するほど強い地元の少年野球団は僕にとって憧れの存在だった。大会が近づく7月。練習が終わる夕方の6時頃になると、近所のM商店でコカコーラを買 […]