文●中村昌文(東京本社)
ウマ・パロのエントランス
ブータン唯一の空港がある『空の玄関』パロは、行政府とお寺を兼ねるパロ・ゾン(ゾンとは砦、お城の意味)とその見張塔だったタ・ゾンが小高い丘の斜面に立ち、その西側に流れるパロ・チュ(チュは川の意味)対岸の小さな商店街を見下ろしています。パロのホテルはほとんどが、商店街のさらに西側にあるオラタンエリアの丘の上に建ってます。対して私たちが目指すウマ・パロはパロの街から東にあるパロ空港方面へ走り、東へ大きく迂回してから急な坂道をクネクネと上がっていきます。日中を他の取材に費やし、すでに夕方だったため、焦っていた私の背後には、パロの街の夜景が! とは言っても小さな小さなパロの街。街の灯りもまばらなで、なんだかぼんやりしています。
レセプションとロビー
次の瞬間、振り向いた私の目の前に「ここは本当にブータンか?」という建築物が現れました。
伝統的なブータン建築の建物を、ぼんやりと柔らかな灯りが包んでいます。どちらもぼんやりしていますが、眼下のパロの町とは明らかに様子が違います。前者が単なる電力不足、後者は意識的な間接照明。
「おおっ、オッシャレー!」それがウマ・パロの第一印象でした。
それもそのはず、日本のセレブ系、オシャレ系雑誌でも何度も取り上げられ、有名人、著名人も多数泊まっているウマ・パロは世界的にもスパで有名なリゾートグループ、コモ・グループのホテル。今回たまたまパロ空港で出くわした、自分探し中の日本の元有名サッカー選手もここに泊まっていたとか。
世界的に定評のあるスパ&トリートメント
部屋を見る前にまずはご自慢の「コモ・シャンバラ」のスパとトリートメントにご案内です。
ところが、スパの受付に行くと思いがけない言葉が、「あいにく、全部お客様でいっぱいなんです。」
確かに、髭面で、ジーパンにフリースジャケットで現われたどこのウマの骨とも分からない、旅行社の人間に見せるよりも、泊まっているお客様が優先です。しかも、部屋の中でトリートメントを受けられる、スイートとヴィラ(コテージ)も満室で、部屋を見ることが出来ませんでした。それじゃ取材にならないじゃん。
しかし、その言葉にこのホテルに泊まる方の目的がよく表れていました。
このほか、ヨガの教室や、スイミングプールも設置され、一晩や二晩の滞在では、とてもその良さを満喫しきれないようです。どうせここに泊まるなら、1週間くらい滞在するべきでしょう。
気を取り直して館内見学を再開。
屋内プール
屋内プールのデッキチェア
暖炉の炎が照らすレストラン「Bukhari」
まず案内されたのが、「ブカリ(Bukhari=暖炉)」という名のレストラン。
その名の通り、レストランの真ん中に赤々と燃える暖炉がしつらえてあります。標高が高く冬の寒さの厳しいブータンでは、どこの家にもがっちりとした薪ストーブが置かれています。それは、森林資源に恵まれたブータンのならではのスタイルで、秋から冬に掛けてブータンを訪れた人は民家に大量に積み上げられた薪の量に驚かれることでしょう。
暖炉の周りには、やはり木製の机と椅子、床まですべて木製です。照明はやや落とし気味で、木の温かみと暖炉の光とニスを塗った壁や床からの反射光が暖かなムードを作っています。アルコールが入らなくても、なんだか雰囲気に酔ってしまいそうです。
暖炉(Bukhari)のあるレストラン
暖炉(Bukhari)
ビジネスセンターと世界最大の写真集
ビジネスセンターの
インターネットスペース
下の写真をご覧下さい。ソファーとテーブルの並ぶこの部屋。
なんとビジネスセンターなんです。
室内にはインターネットの利用できるPCが設置されていて、かろうじてビジネスセンターらしさを見せていますが、ぱっと見てこれがビジネスセンターだと思う人はいないでしょう。どちらかというと、ゆっくりと本を読んだりできる図書館のような快適なスペースです。「ここでいいから、タダで泊めて!」と思う人もいそうなくらい。
ここにはウマ・パロの誇る世界一が置いてあります。それはこの世界最大の写真集。大きさがお分かりいただけますか? 一辺が1m以上ありそうです。原寸大を越えたポートレイトは息遣いが聞こえてきそうなほどです。
ビジネスセンター
(くつろぎのスペース)
世界一大きな写真集
長期滞在を前提した快適な客室
外観やレストランから想像していたのとは違い、客室はいたってシンプル。ただし、それは過剰なブータンらしさの演出がないという意味で、「設備が劣る」ということを誤魔化す常套句ではありません。各部屋には基本的な設備のほか、DVDプレイヤー、ミニバー、ヨガマット、傘などが用意されるなど、長期滞在を前提とした部屋でくつろげるための準備がされています。
内装やインテリアにはブータンらしさがあまり感じられず、かろうじて壁に大きな蓮の花が描かれている程度。ブータンでの滞在をゆっくり楽しみながらも、部屋にいるときは自宅同様にリラックスできるように、という配慮を感じさせます。しかも、ホテル全体にレモングラスの香りがほのかに立ちこめ、呼吸するだけで自然にリラックスすることができます。
1ベッド・ヴィラ
ヴィラのバスルーム
前回ご紹介した「ジワリン・ホテル」が「一泊でいいから泊まりたい」と思わせるのに対して、この「ウマ・パロ」は「一泊では、もったいない」と思わせるホテルです。最低でも2,3泊。基本設定は1週間程度の滞在のようなので、私のような場違い旅行者は入り込むことありません。本当のセレブ的滞在を楽しみたい方にオススメです。
[参考料金]
39,000円~188,000円(1室)
*スーペリア(本館 9室)
*デラックス(本館 9室)
*スイート(本館 2室)
*1ベッド・ヴィラ(8室)
*2ベッド・ヴィラ(1室)
料金は予告なく変更される場合があります。
また、円=ドルレートにより変動する場合があります。
<ご注意>
上記はツアー代金に追加で必要となります。
ホテルのみのご手配は承っておりません。
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