第227回 カラ ~チャイと砂糖~
チャイの屋台 インド人同士の大乱闘に遭遇したことがある。遠巻きの群衆のなかにチベット人を見つけると「なにが原因ですか」と尋ねた。すると意外な答えが返ってきた。「チャイの砂糖の量が少ないとかで、チャイ屋の店主と客が喧嘩にな […]
チャイの屋台 インド人同士の大乱闘に遭遇したことがある。遠巻きの群衆のなかにチベット人を見つけると「なにが原因ですか」と尋ねた。すると意外な答えが返ってきた。「チャイの砂糖の量が少ないとかで、チャイ屋の店主と客が喧嘩にな […]
薪木から出た新芽 ハリエンジュの木々が生い茂る雑木林を駐車場にすべく、チェンソーで立ち向かった。伐って倒して、枝打ちして、丸太を短く伐って、運んでと、振り返ってみれば昨ヶ冬と昨冬のほとんどを費やしてしまったが、「大草原 […]
店内 杉はとっても柔らかくてとっても刻みやすい。作業中にうっかり金槌を床に落とすと、その形のまま凹んでしまうほどだ。その柔らかさのおかげで子どもが転んだときに頭を打っても安心である。伐りたての杉で建てられた店舗には杉の香 […]
「森のくすり塾」建設予定地に残されていた古い小屋を解体すると、50年以上も前の古い柱がたくさん残された。さっそく短く切って薪にしようとする僕を制するように、大工の新保さんが「クリの柱だけはあとで役に立つから残しておくよ […]
青いクルミ 「森のくすり塾」の店舗の大窓からは女神山、独鈷山を主役に雄大な景色が広がる。その景色の手前、小さな沢の土手にクルミ(胡桃)の大木が藤蔓(ふじづる)に絡まれて苦しそうにしていた。なにしろ約40年近くも手つかずの […]
虎のように勇気をもって 八世紀に編纂された『四部医典』にはユニークな喩え(チベット語でぺー)がたびたび登場し、暗誦に苦しむチベット医学生を楽しませてくれた。今回はそのなかでも心に残った喩えを紹介したい。
「四元素でつながっている」の絵解き図 八世紀に編纂されたチベット医学聖典『四部医典』は全般に渡って九音節からなる詩文(チベット語でニェンガ)で記され、それは約二万五千節にものぼる。アムチ(チベットの医師)は詩文をすべて […]
薬師如来と鏡 『VOGUEヴォーグ』から取材依頼がきた。どうやらあの世界的なファッション雑誌のようだが、もちろん読んだこともなければ手に取ったこともない。生まれてこのかたファッションにはまったく興味がなく、結婚当初、私 […]
絵解き図に登場するサソリ ツアー参加者にはまず「チベット人の前では蚊一匹でもパチン!と手を叩いて殺してはいけませんよ。無意味に虫を殺さないでください」と注意を促すが、長年の身体性(習慣)は抜けないようで、みなさんついつ […]
絵解き図に登場する蛇 巨大なアオダイショウが実家の廊下を這っていく、その生々しい光景は40年が経過したいまでも脳裏に焼きついている。兄は蛇の尻尾をつかむとグルングルン振り回しながら僕を追いかけ、僕は泣きながら逃げ回った。 […]
熊の胆 現役の猟師であること、つまりいまも生死をかけた現場にいることがAさんの佇まいから伝わってきた。お歳をうかがうのを忘れてしまったがたぶん75歳くらいではなかろうか。 信州の山深い里にAさんの御自宅はある。20歳 […]
冬 「死ぬかと思った」。 あれは1994年、信州・野辺山の高原野菜農場でアルバイトをしていたときのことだった。「小川君、マルチの端っこを持ってて」と親方の命じられるままにマルチ(畑を覆う黒いビニール)をつかみ、地面に当て […]