第205回 ギュンテン ~平々凡々と~
脈診を行う筆者 2008年 2008年、メンツィカンで研修医として働いていたとき、顔中が黒い斑点で覆われた尼僧が病院に訪れた。 「ちょっとあんた、何よこれ、どうしたの?」。僕の指導医は医師の立場であることを忘れたかのよう […]
脈診を行う筆者 2008年 2008年、メンツィカンで研修医として働いていたとき、顔中が黒い斑点で覆われた尼僧が病院に訪れた。 「ちょっとあんた、何よこれ、どうしたの?」。僕の指導医は医師の立場であることを忘れたかのよう […]
「木陰でのんびりしなさい」の絵解き図 26、27歳、信州の農場で働いていたとき、午前10時、午後3時に一回ずつある30分の休憩時間がなによりの楽しみだった。「お茶ー!」と親方から声がかかるとみんな仕事の手を休めて集まって […]
漆喰を塗る僕たち夫婦 秋の長雨が終わった9月25日。古い小屋を解体し整地作業をはじめた。これから店舗建設がはじまる。整地は土地が乾く10月が適している。おかげで1カ月で終えることができた。11月3日には敷地内の木を伐採 […]
「ちょっと、小川君。たいへん、これ水疱瘡じゃないの」。 戸出西部保育園の大村先生が大騒ぎしたときのことを、当時4歳だったにも関わらずはっきりと覚えている。しばらくして、おじいちゃんが保育園の前の田んぼを横切りながら僕を迎 […]
完成した池と建設中の店舗 野倉(のぐら)の自治会長(以下、会長)が「気になる。いつもこの辺りの土が湿っているなあ」と深刻な表情で呟いた。たしかに、店舗予定地の一区画はいつもジメジメとしている。単純に乾きが悪い場所だと軽く […]
何度も土突く筆者 標高が高くて木があまり生えていないからなのか、チベットは石(チベット語でド)の文化が盛んである。たとえばオム・マニ・ペメ・フムの真言は石に刻まれ巡礼道に献納される。チベット語で「石に絵を掘るように」と […]
チベットの薫香サン 信州の山深き里、野倉(のぐら)。ここに店舗を建てるために30本近い杉の木を伐採したのは晩秋の11月3日のこと(第193話)。丸木を柱にするために製材所に運び込むと、副産物のごとく大量の杉枝がピラミッ […]
竹藪伐採 店舗建設中(第193話)の敷地内の竹やぶをノコギリで伐採した。発生した500本近い竹は、知人が所有する機械を用いて竹チップにし、土壌改良剤として畑に撒くことにしたので一件落着。しかし、厄介なのは竹の葉っぱであ […]
薬剤師とチベット医、チベット医と薬剤師。どちらの肩書きを先に記すかは、いつも悩まされる。本エッセーの読者からすると、当然、チベット医を重要視されるだろうが、意外と僕は薬剤師にも同じほどに誇りをもっている。なにしろ、チベ […]
スーパーサイエンス スポーツや音楽と同じように、薬草をとおして国際理解を深めたい。そんな目的を掲げ、スーパーサイエンスハイスクール(注1)において薬学の授業を4日間受けもった。舞台は奈良女子大学付属高校。学生は日 […]
1959年以前のラサ・メンツィカン メンツィカン(チベット医学暦法大学)が今年で100周年(ロコル・ギャ)を迎える。ラサとインドの両方では100周年記念の行事が盛大に開催され、アムチの端くれである僕のもとにも招待状が届 […]
2015年1月8日の15時の時報とともに、早稲田大学内の修士論文受付の厚い扉は、冷酷なまでに閉じられる。そこには一切の例外も情状酌量の余地も存在しない。ほんのわずか数分、到着が間に合わず受付部屋の前で泣き崩れ、または、呆 […]