第241回 シンカ ~医学と農業~
薬房の前の畑 もともと自分の薬店を持ちたいという夢はなかったし、そもそも僕はいまも昔も自分で商売を営む才覚はない。メンツィカン卒業後、日本へ帰国してからの仕事の第一希望は大学講師か、いずれにしても医学教育関係の仕事 […]
薬房の前の畑 もともと自分の薬店を持ちたいという夢はなかったし、そもそも僕はいまも昔も自分で商売を営む才覚はない。メンツィカン卒業後、日本へ帰国してからの仕事の第一希望は大学講師か、いずれにしても医学教育関係の仕事 […]
オウレン 黄色い蓮(はす)とかいて黄蓮(オウレン)という。高さは20㎝ほどで、キハダ(第174話)と同じく黄色いベルベリン(注1)を細い根に含有し、その苦味はキハダをも凌ぐ。歴史は古く奈良時代より貴重な薬草として大切に […]
「いちばん好きな薬草茶はなんですか?」と問われれば「コーヒーです」と即答している。アロマセラピーの方から「いちばん好きな香りはなんですか」と問われれば、やはり「コーヒーが焙煎された香りです」と答えている。すると「え、コー […]
早朝の座禅 昨秋、生まれてはじめて禅を体験した。場所は富山県上市町の立山寺(りゅうせんじ)。早朝、風のツアー参加者といっしょにお堂の片隅に半跏趺坐、半眼の姿勢で座した。ほどよい涼しさが心地よい。街の喧騒から遠く離れている […]
キハダ 3月下旬、近所のおじさんから「キハダ(第174話)を伐採したけれど、皮を剥ぐか?」と連絡を受けた。家の裏のキハダが大木に育ち、枝が屋根に落ちてくるので伐採したという。現場に行ってみると直系40㎝、40年ものの立 […]
塩田水上神社 チベット人から「オガワは仏教徒か?」と尋ねられると、当初はなんとなく「無宗教」と答えていたものだった。しかし「無宗教」は海外では誤解を招くとともに、その誤解を解消するためには多大な解説を必要とする。そこであ […]
ドクダミ 薬草茶といえばドクダミ茶を連想する人が多いかもしれない。しかし、戦前までドクダミは主に湿布薬として利用されてはいたが、お茶としてはそれほどポピュラーだったわけではないというと意外に思われるだろうか。今回はドクダ […]
人参を探す参加者 森のなかで下見をしていると竹節人参(チクセツニンジン)を10株ほど見つけた。3年ものだろうか。竹節人参は朝鮮人参と地上部がほとんど同じだが、根っこは竹の根のように節があることから竹節と呼ばれる。昔から解 […]
実験中 江戸時代に作られた陶磁器の蒸留装置、それが蘭引(ランビキ)である。オランダ(蘭)から学んだから蘭引。もしくはアラビック(アラビアの)を語源としてランビキになったなど語源には諸説ある。三段構造になっていて、下段に薬 […]
タバコ 鈍行列車に揺られながら1時間以上に渡って熟考していた。小学校の「ジュニア・サイエンス」の講師として招かれたのだが、下車駅が近づいても話す内容が浮かばない。お題目は「くすり」。おそらく一般的な薬には興味がないであろ […]
雪景色 妙高高原駅の近くにて撮影 雪国ではひと冬のあいだに一度か、運が良ければ二度、積もった雪の表面がカチンコチンに固まる朝がある。するとどこでもどこまでも歩いて行ける解放感に身体がウズウズしはじめる。小さい頃、その現象 […]
薬房の看板 田舎のおじいちゃんはかっこいい。なかでも望月(現・佐久市)の農場(第43話)のおじいちゃんは最高にかっこ良かった。昭和三年生まれ。最年少飛行兵として14歳で入隊。「富山の出身です」と自己紹介すると「広島で新型 […]