*風のメルマガ「つむじかぜ」643号より転載
あるスーパーで「餃子の皮はどこにありますか」とレジ係に尋ねると、「外れます」と少し大きな声を出して隣のレジ係に離脱を告げ、テーブルの上に「レジ中止」の看板を出して案内してくれた。
「いやいや、どこにあるか説明してくれればいいのです。何もレジまで止めて餃子の皮があるところまで案内してくれなくて結構です。」と言いたかったが、そのレジ係は「もっと探してくださいよ。探さずになんでも聞かないでください。」とはいわないまでも、とりつく島がないほど素早く行動し、いかにも面倒くさそうな態度が伝わってきたので、つい言いそびれてしまった。
お客様に物がどこにあるか尋ねられたら、業務を止めてその場所まで案内する。そんなマニュアルがあるのだろう。以前にもこの稿で、かえって店員へ聞き辛くしているだけだと指摘したことがあるが、店側の負担も相当なものであろう。きっと毎日、私のような何も考慮しない無遠慮な客が、案内してくれて当然という態度で細々したことを尋ねてくるに違いない。
私はけっして何も考慮しなかったわけではない。レジ係りに聞くのはいかがなものかと思ったが、フロアーにスタッフが誰もいなかったのでお客様が途絶えたレジの方に聞いたわけだが、まさかレジを中止にしてまで案内してくれるとは思わなかった。「肉のコーナーの奥にあります」と一言、言ってくれれば済むと思うのだが、そんなことをしたら「不親切だ」というクレームが来るのかもしれない。
人件費は、大きな負担になるからどこのスーパーもぎりぎりの人数でオペレーションしているに違いない。それを承知の上で言うのだが、案内係、もっといえばコンシェルジュをおいたらどうか。とにかく買う時間より探す時間のほうが長かったり、買いたくてもどれを選んでいいかわからない場合が多い。それをスムーズにコンシェルジュが解消してくれたら、その店にもっと買いに行くのに、と私は思う。
少し目立つ制服の背中に、“○○のコンシェルジュ。なんでもお尋ねください”と書いてあればすこぶる聞き易い。店としてもお客さまとの距離を縮める最良のコミュニケーション手段になるはずだ。今日のおすすめも商品も、新しく加えた商品の紹介も、もっと人の力を使ったらいいのにと考えるが如何だろうか。
★弊社代表取締役原優二の「風の向くまま、気の向くまま」は弊社メールマガジン「つむじかぜ」にて好評連載中です。