[バングラデシュ] ラジシャヒの見どころ

かつてはこの場所が、仏教の中心であった

<ラジシャヒ>

バングラデシュ北西部に位置し、ポッダ(ガンジス)河とジョムナ河、2つの大河にはさまれた洪積台地が広がる。果物栽培に適した水はけが良い土地では、良質なマンゴーやライチなどが栽培され、産地として知られている。またこの土地の特性は桑の栽培にも適しているため、古くから養蚕業が盛んに行われ、かつての絹交易の水運拠点として、現在もこの地方で加工された絹製品は国内外から高い評価を得ている。一方、注目すべきは、仏教とヒンドゥの遺跡であろう。8世紀に建造されたパハルプール仏教遺跡はかつてアジアにおける仏教の中心地として、後のアンコールワット(カンボジア)やバガン(ミャンマー)などの建築様式に大きな影響を与えたといわれている。また、小さな池の周りにヒンドゥ寺院が建ち並ぶ小さな村プティアの、夕暮れ時にみせてくれるその息をのむような美しい光景は、私たち旅人の心をとらえてやまない場所の1つである。

世界三大仏教遺跡に影響を与えた仏教遺跡

パハルプールは、8世紀に当時のパーラ王朝の保護を受けて建造された仏教寺院の中で、最大規模を誇る仏教遺跡です。約330m四方の敷地に177の僧坊や72の台座や仏舎利塔が配され、最盛期には1,000人もの僧が修行に励む大僧院でした。仏教勢力衰退後はその存在は忘れ去られてしまいますが、19世紀初頭にイギリス人により発掘・再調査が行われ、1986年にはユネスコ世界文化遺産に登録されました。

国内外の人々がこの地を訪れる

レリーフの撮影に夢中になる地元の子ども (2)

僧坊は下水施設も完備していたそう

保全のための修理を重ねている


パハルプールとあわせて訪れたい仏教遺跡

モハスタンガルは、世界文化遺産パハルプールと同じくパーラ王朝時代の仏教遺跡です。紀元前3世紀頃に栄えたいわれる都市プンドラナガルを取り囲んだ城壁などの遺跡が残っていますが、広範囲に点在しているため、全体を見るには時間が必要です。パハルプールから車で1時間強の距離にあるので、ぜひセットで訪れたい場所の1つです。

貴重な遺跡周辺も、人々にとっては日常の農作業の場

全長約4.5kmの城壁のほとんどは8世紀頃のものだそう


ポッダ(ガンジス)河に昇る日の出を見る

ラジシャヒに宿泊を伴う日程の際は、夕陽や日の出鑑賞がお薦めです。少し早起きして川辺に行くと、早朝の漁から船着場へ帰ってくる船や、朝の体操をしに来る地元の方々に混じって、ポッダ(ガンジス)河越しに昇る日の出を見ることができます。※天候により見られない場合があります。

ラジシャヒに早めに到着した場合は、夕陽鑑賞もおすすめ 

朝もやの中、水浴びをする人も



フォトジェニックなヒンドゥ教の村

国内最大のシヴァ寺院や、ヒンドゥ神話をかたどったテラコッタのレリーフが見事な大ゴヴィンダ寺院、当時の領主の館ラジバリなどが、村の中心にある池を取り囲むようにして建ち並び、その建築物の美しさはもちろん、それらが一体となって作り出す光景は壮観の一言。テラコッタの赤色が夕陽によって強調される、夕暮れ前に訪れたい場所です。

5つの尖塔を持つシヴァ寺院

村の中心にある池に影を落とすシヴァ寺院

シヴァ寺院を訪れるヒンドゥ教徒家族

テラコッタが美しい大ゴヴィンダ寺院と老婆