水と緑に恵まれた豊かなブムタン・チョコルの谷
ブムタン地方はチュメ、チョコル、タン、ウラの4つの谷からなる、かつてのブータンの宗教・文化の中心地でした。ヒマラヤを越えてチベットとの交易で栄えたため、仏教も早くから伝来し、名刹や、聖人にまつわる伝承も多く、「ブータン人の心の故郷」と称されることもあります。西ブータンと比べ、標高が高く稲作に適さないため、チュメとチョコルはソバや麦の畑作を、タンやウラは放牧を生業の中心としてきました。最近ではジャガイモ栽培、養蜂、ビールやアップルワインなどの洋酒造りも行われています。住民の多くは国教のドゥク派ではなく、同じチベット仏教でも、チベットやブータンで古くから信仰されてきたニンマ派(古派)を信仰しています。
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チョコル
ブムタン県の県庁(ゾン)があり古刹・名刹がひしめくブムタン地方の中心地。チョコル谷の中心がジャカールの町。徒歩圏内にあるジャンベ・ラカン、クジェ・ラカン、タムシン僧院を、順番に周るとブータン史に沿った歴史散歩が楽しめます。 風のホームステイ先もあります!
7世紀、チベットのソンツェンガンポ王が、チベット各地に建てた108の寺院のひとつ。パロのキチュ・ラカンと並びブータン最古の寺。
8世紀、グル・リンポチェが土着神を調伏する際に瞑想した岩に残った影(クジェ)の跡に建てられた。寺院の周囲を108の仏塔が囲んでいる。
高僧ペマ・リンパ*が1501年に創建。ブータン国内で最重要のニンマ派の寺院のひとつ。本堂1階の壁画は現存するブータン最古のものと云われている。
建国の祖シャブドゥンの高祖父によって建立された僧院跡に建てられたゾン。伝承から「白い鳥の城」と呼ばれている。
チュメ
トンサ方面からブムタン地方へ向かう際、最初に通るのがチュメ谷。中央ブータン最大の僧院があり、毛織物ヤタの産地としても知られている。現王家の初代国王はブムタン地方出身で、チュメ谷に当時の夏の離宮も残されている。
ペマ・リンパ子孫のドルジ・リンパが建立した寺院。ゴムチェン(在家僧)だけで運営されている村のお堂。
チベットの学僧ロンチェン・ラプジャンパが1352年に創建。ガンテ僧院、ダミツェ僧院と並びブータンのニンマ派3大仏教学校のひとつ。
東チベットの活仏ドーリン・トゥルクによって1941年に創建されたニンマ派仏教学校。仏教法要音楽の格調高さはブータン随一ともいわれる。
ブムタン出身のペマ・リンパ縁の地に建てられた寺院。プラカールは「白い猿」、ナクツァンは「館」の意味。
タン
グル・リンポチェのベ・ユル(隠れ里)伝説の舞台ともいわれ、伝承から「タン」の名がついた。ブータンを代表する高僧ペマ・リンパの故郷としても知られる由緒ある谷。
ペマ・リンパが埋蔵経典を水底から持ち帰った際、飛び込んだ時に持っていた火が灯ったままだったという伝承から「炎の湖」の名を持つ渓谷。
ペマ・リンパの子孫によって守り続けられている館で、現在は民俗博物館となっている。展示は多岐に渡り、見応えがある。
ウラ
広々とした牧草地の中に寺院や民家などの集落のある長閑でうららかなウラの谷。静か、穏やか、という言葉がぴったりの美しい谷。東ブータンへ向かう街道沿いにあり、ジャカールから車で約1時間。マツタケの産地としても知られている。
ウラの村有寺院。グル・リンポチェの仏像がご本尊。村人の自慢の寺で管理も行き届いている。