ティンプーのメインストリート ノルジン・ラム
「幸せの国」ブータンの首都はティンプー(標高約2,300~2,400m)。意外にも首都としての歴史は浅く60年ほど前に古都であるプナカから、ティンプーへ遷都されました。
国際空港は車で1時間ほど離れたパロにあり、ブータンには鉄道そのものがないので駅もなく、それどころか交差点には信号もないという、吉幾三の歌のような、世界的にも珍しい首都です。
しかし、近年は地方からの人口流入により年々人口が激増、現在は約11.5万人(2017年)まで増えています。それに伴い市街地がどんどん郊外へ広がり、中心部では増えすぎた車両によって渋滞が引き起こされるなど、急激に近代化が進んでいます。
しかし、伝統的な建築様式の建物が建ち並び、民族衣装で闊歩する人々や、お寺を巡礼するブータン人も健在です。そんなブータンの近代と歴史、伝統が混在する街、そんなティンプー観光の主要なみどころをご紹介します。
ブータンの中心 タシチョ・ゾン
政治的リーダーである国王の政庁でもあり、宗教界のトップであるジェ・ケンポの居城でもある(ただし、ジェ・ケンポは冬はプナカに移動します)ブータンの政治、宗教を統べる施設です。秋の大祭「ティンプー・ツェチュ」は、タシチョ・ゾンの北側に作られたスタジアムで行われます。1955年にティンプーへの遷都が決まった際に大改修が行われ、現代の建物は1969年に完成したもの。釘を一本も使わない伝統的なスタイルで建てられています。
観光時間 平日 17:30~18:30 (11-2月は16:30~17:30) 土日祝 09:00~16:00 ※民族衣装のゴ、キラを着用して訪れる場合は、正装が求められるので必ずカムニ、ラチュというスカーフが必要です。(すべてのゾンで同じ対応)
タシチョ・ゾン
タシチョ・ゾン
巡礼者あふれる メモリアル・チョルテン
1973年に亡くなった3代国王を記念して建てられた仏塔型寺院です。仏塔内は三層構造になっており、内壁は密教の憤怒尊で埋め尽くされています。老若男女を問わずティンプー市民が大勢訪れてお祈りをしているので、自分たちも民族衣装に着替えて、巡礼者の列に混ざるとブータン人になったような気分が味わえます。
メモリアル・チョルテン
メモリアル・チョルテン
小坊主が学ぶ デチェン・ポダン
もともとはティンプー谷で勢力を誇ったラ派の居城としてドゴェ・ゾンという名のお城でした。現在は国立僧侶学校として、小坊主や若いお坊さんたちが日々、仏教の勉強に励んでいます。ポダンとは「宮殿」と言う意味です。
※学校側の都合(テスト、法要、祝祭日、長期休暇など)で見学ができない場合があります。
※2024年10月から3年間ほど改築工事のため閉鎖され、見学ができません。
デチェンポダン
デチェンポダン
デチェンポダン
デチェンポダン
「世界最大」の仏像 クェンセル・ポダン
2010年にできたティンプー市街を見下ろす丘の上に鎮座する巨大なお釈迦様の仏像です。シンガポールと香港の億万長者が寄進して作られました。ティンプーの新しい観光スポット、そしてブータンの若者のデートスポットにもなっています。「ブータン大仏」とも呼ばれ、高さは約50m。「金属製の」とか「お釈迦様の」「坐像で」とか色々と条件がある中で「世界最大」なんだそうです。ブータン人のプライドを感じます。ちなみに大仏が座る蓮華座の中はお堂になっています。
市内から見上げるティンプー大仏
クエンセル・ポダン
市内から見上げるティンプー大仏
クエンセル・ポダン
ブータンの織物文化を知る 織物博物館
王族の所持していた貴重な伝統衣装を中心に、ブータンと周辺国の織物の比較やその歴史的な変遷、素材や柄の地域差などが分かりやすく展示されています。実際に織っているところが見学できることも。
月~土 09:00~16:00 /日曜休館 (祝日は営業)
織物博物館
織物の実演中
製紙工房
もともとブータンはチベット文化圏では珍しく森林資源に恵まれていて、お経を書き記すために、デショと呼ばれる伝統的な紙の製造が盛んでした。近年、日本和紙の紙漉きの技術指導を受け、近代化されたデショの製造が行われ、その製造工程が見学できます。工房にはクラフトショップも併設されていて、しおりやレーターセット、カレンダーなどかわいいお土産も購入可能です。日曜・祝日は休業の場合あり。
未来の名工が学ぶ ゾーリクチュスム(伝統工芸院)
仏画、塑像、木彫、刺繍などブータンにある13(チュスム)種類の伝統工芸を教える寄宿制の学校です。授業に支障がない範囲で公開されていて、未来の名工たちが学ぶ姿を見ることができます。生徒たちの作品が購入できる売店もあります。
見学可能時間
平日10:00~12:00、14:00~15:30 土曜 10:00~12:00 日曜、祝日、夏季・冬季休暇、試験期間、ツェチュ期間は休業 *夏季休暇は例年7月第1週~第2週。冬期休暇&試験は例年11月~2月中旬。
「ティンプー市民の台所」 カジャ・トム(野菜市場)
王制100周年記念市場というのが正式名称ですが、以前はヒンディ語で「野菜市場」を意味するサブジバザールと呼ばれていました。2007年に王制100周年を記念して2階建てのビルに建て替えられました。多種多様な生鮮食品だけでなく、生活雑貨や、仏具や祭具、工芸品などありとあらゆるものが売られています。
ブータン人は食料品を週末にまとめ買いする人が多いので、金曜午後~日曜午前が混雑のピークです。それ以外の時間はお土産物屋など一部を除いてほとんどの店が閉まっています。
変り種切手を探すなら 中央郵便局
郵便局ではブータン名物の珍しい切手を売っています。お土産物屋でも売っていますが、品揃えはここが一番。お土産にいかがでしょうか? お隣のブータン・ナショナル・バンクでは日本円の両替も可能です。
営業は月~金09:00~17:00(冬季は16:00) 土曜09:00~13:00 日祝休業
ブータンの国獣を間近に ターキン保護施設
ブータンの国獣ターキン(ウシ科ターキン属)が、フェンス越しに見られる保護施設。
ターキンとは、チベット、ブータン、ミャンマー北部、中国の四川省、陝西省など、限られた地域に分布するウシ科の大型の哺乳類です。生息数が激減しており、国際自然保護連合(IUCN)によって、絶滅危惧種(VU)としてレッドリストに指定されています。月曜休業。