GW特別企画! 2007年4月28日(土)~5月6日(日) 文●林真弓
クジェラカン
60カ国を旅した経験を持つ林真弓(東京本社)が、2007年GWに念願のブータンデビューを果たしました。多少の事では驚かない(はず)の彼女の目に、ブータンはどんな国に映ったのでしょうか。お客様とも楽しい時間を共有し充実した9日間を振り返ってもらいました。
憧れの国・ブータンへ
いつの頃からか、私の「絶対に行ってみたい国」ナンバーワンになっていたブータン。でも、懐に余裕の無いバックパッカーだった私にとっては雲の上のような存在の国でした。そんな私についに幸運が! この度、憧れの国・ブータンに添乗員として11名のお客様に同行させていただくことになりました。
今回同行したのは、パロ・ティンプーに加え、かつて宗教的・文化的中心地だった中央ブータンのブムタンまで足を伸ばす、シンゲさん同行の人気コース。ブムタンというのは4つの谷からなる地域の総称で、その周りには今なお名高いお寺が数多く残り、古くからの信仰が色濃く残る珍しい地域でもあります。
超人的!国技アーチェリー
国技の弓競技の様子
ブータンに降り立った私たちは、パロ市内の広場で行われていた国技アーチェリーの試合にさっそく目を奪われました。日本と違って、弓は週末の娯楽、男性なら気軽に楽しめる身近なスポーツです。2つのチームに分かれ得点を競います。日本の弓道に比べブータンの的は小さく、かなり遠く離れたところから狙うのですが、それが実によく当たるのです! 私たちには遠すぎて的がどこにあるのかも不明確なのに、的の中心を射るので、お客様もアッケに取られた感じでした。矢が的に当たると、チームの人達は歌い踊りながら勝利を祝うのですが、それが実に楽しそう。私たちも思わず嬉しくなってしまいまいました。
ブータンは着道楽
ヤタ織りの織り子さん
たくさんのヤタ
ブータンでは、政府が民族衣装の着用を推奨していることもあり、女性は「キラ」、男性は「ゴ」と呼ばれている服を着て生活しています。既製品もあるのですが、お洒落なブータン人はまず布を買ったり、時には自分用の布を織らせてから仕立て屋さんで自分のサイズのキラやゴを仕立てるそうです。
ブータンを旅行しているうちに、素材やデザインの良し悪しが少しずつわかってきます。そうなると、お客様も惹かれない訳がありません。美術学校を訪れた際、ひとりのお客様が「一目ぼれした」と、一組のキラに釘付けになり購入されることに。ハンドメイドで色鮮やか、他では見ないデザインに私もうっとりでした。
唐辛子は野菜!?
ブータン人にとっては無くてはならないモノ、それは唐辛子。ブータン料理は唐辛子を野菜のようにふんだんに使って料理するので、その辛さはハンパじゃありません。もちろん、私たちが旅行中に食べる料理は外国人用に作ってあるので辛くない料理がほとんどですが、風のツアーは毎回一品くらいは辛いブータン料理を用意しています。勇気のあるお客様は毎回少しずつ試していくうちにその辛さに慣れて、帰る頃には病みつきになったとか。私自身も何度か試みましたが、一口食べた後はそのあとに食べた料理の味がしばらくわからなくなるほどの激辛でした。辛くない他の料理にほんの少しだけ混ぜて食べれば食欲も増進されて良いかもしれません。
サブジバザール
ブータン料理にかかせない唐辛子
女の子たち
突然の学校訪問で笑顔の交流
学校訪問
ウォンディフォダンでは小中学校を訪ねる機会がありました。ちょうど登校時間だったこともあり、運動場にはたくさんの子供たちでいっぱい! 「クズ ザン ポーラ!」とゾンカ語で挨拶をすると、はにかみつつも笑顔で挨拶し、中には積極的に英語で話しかけてくる子もいます。皆さんはそれぞれに子供たちに話しかけたり話しかけられたり、一緒に写真に納まる方あり教室を見に行く方あり、素朴なブータンの子供達との突然の交流タイムに喜んでいらっしゃる様子でした。
朝礼では全員校庭に行儀良く並んで校長先生の話を聞いています。今度は子供が英語やゾンカ語でスピーチをしています。日本と同じその光景に、自分の子供の頃を懐かしく思い出しました。
ブータンの国旗
そうじ中だけど撮って~
野性的なソバ料理 民家でプタ作り体験
朝食に出たそば粉パンケーキ(クレ)
ブータンの主食は私たちと同様、米(赤米)ですが、東部ではトウモロコシ、ブムタンではソバも主食として食べられてきました。今回はジャカールで一般の民ブータンの主食は私たちと同様、米(赤米)ですが、東部ではトウモロコシ、ブムタンではソバも主食として食べられてきました。今回はジャカールで一般の民家にお邪魔し、プタ(ブータン風そば)作り を体験してきました。
木で作られた「プタ押し出し機」を使って麺状にする作業をお手伝いしたのですが、これがなかなか難しい! 体重をかけて、ぎゅうぎゅう押してみてもなかなか麺が出てこなかったり、横からタネがはみ出してしまったりとうまくできません。米が主食になった現在でもプタはブムタン地方のお祝いの席に出され、家族全員分作るには丸1日かかることもあるそうです。
仏間に案内され、バター茶とお茶請けスナックなどが振舞われている間に茹で上がったプタは、お母さんの慣れた手つきで塩や山椒、香草などで味付けされ、炒めた卵とチリパウダーを混ぜ合わせて完成。手づかみで頂いたプタはなかなか歯ごたえがあり塩加減もちょうど良く、ソバ本来の持つ素朴で野生的な味がしてとても美味しかったです。食事の後はアラ(焼酎に似たブータンのお酒)を頂き、ほろ酔い気分になりながら、お世話になったご家族の方に感謝とお別れを告げて民家をあとにしました。
1. プタ押し出し機でプタを作ります
2. プタ茹で中…
3. プタにいり卵をのせ…
4. プタ、卵、香草を混ぜます
5. 完成! いただきま~す
人気のお土産はナニ?
バンチュ使用例:
ブータンのスナック『ゲサ・シップ』
バンチュ(中央にある重ねられているもの)
今回は女性が多かったせいもあり、皆さんお買い物も楽しまれました。その中でも、一番人気の高かったのは「バンチュ」という竹で編んだ丸い入れ物。もともとは弁当箱や贈り物、お茶請けなどを入れる家庭の必需品で、簡単には開かないようになっています。デザインや大きさも様々で、可愛らしくお土産には最適。
道中はずっと飴やお菓子入れとして使っていました。キラなども人気のお土産のひとつ。大きな布1枚でできているので、日本ではテーブルクロスや壁掛けにと幅広く活用できお勧めです。他にはブータン織物のテーブルクロスやマット、粉末唐辛子などの料理用スパイス、ザウなどのお菓子、マニ車などの仏具などを買われた方がいらっしゃいました。
ブータンを訪れて思ったこと
キラ着た少女たち
ブータンへ行ったことのある人は口を揃えて「人が良い」と言います。今回訪れて、皆さんも私も例外なく彼らの温い心、飾らない優しさ、素朴な人柄、そして柔らかな笑顔に心を奪われました。「人柄の良さが顔に出ているね」と、お客様のひとりがおっしゃいましたが、まさにその通り。人間にとっての真の幸せとは何なのか、その答えのヒントを教えてもらったような旅になりました。