【バードウォッチングツアー添乗報告記】 小笠原群島 自然観察紀行 6日間

ツアー名:戸塚さんと行く!小笠原群島 自然観察紀行 6日間

2015年4月15日(水)~4月20日(月)
写真・文●ツアーガイド:戸塚 学

トビウオを飲み込むアカアシカツオドリ
トビウオを飲み込むアカアシカツオドリ

固有種+アホウドリ類+海鳥+鯨類を探す盛りだくさんの目的で、東京から約1,000キロ離れた小笠原諸島に行ってきました。参加者は5名と少人数で和気あいあいでした。


4/15(水) 竹芝桟橋~おがさわら丸~

出発時は天気予報が変わり晴れ!雨に濡れることなく乗船、レインボーブリッジをくぐり出航です。東京湾内では普段見られる鳥たちを観察しつつ、東京湾を出る辺りでトウゾクカモメやクロアシアホウドリ、そしてなんとここでアホウドリのきれいな成鳥まで出現して大興奮となりました。しかしだんだん波とうねりが出て来たので14時には船内に避難。その後は過去最大の揺れで立っているのもやっと。もちろん食事は食べられる状況ではありませんでした。船酔いに弱い方ばかりだったので事前に「アネロン」という船酔いの薬を飲んでいただいたことで何とか惨事は防げました。


4/16(木) ~おがさわら丸~父島~ははじま丸~母島

朝には揺れもだいぶ収まり、朝から甲板で探鳥です。昨日はオオミズナギドリがたくさん飛んでいたのですが、ここからはほとんどがオナガミズナギドリに変わります。時々船の脇からトビウオが飛び出すのを眺めていると、白い鳥がまっすぐこちらに向かって来ます。なんとアカアシカツオドリが船について来たのです。その後急降下して大きなトビウオをゲットして私たちの視界から消えてゆきました。父島二見湾に入るまでにザトウクジラとハシナガイルカも見ることが出来ました。

飛翔するオナガミズナギドリ
飛翔するオナガミズナギドリ
トビウオ
トビウオ
メグロ
メグロ
ジャンプするハシナガイルカ
ジャンプするハシナガイルカ


おがさわら丸が30分遅れで到着したので足早に移動して、今度はははじま丸で母島を目指します。海はうねりが大きく、ザトウクジラをちらちら見られましたが、じっくりとは堪能できませんでした。母島上陸後は宿に荷物をおろし早速メグロ探しです。あちこちにいるのですが、今年はフルーツにあまり寄り付かず、ギンネムの枝先で小さな虫を食べてばかり。みなさんちょっとストレスを感じながらの終了となりました。夜は宿前からやかましいくらいトラツグミの「ひ~~~」が聞こえてきました。

4/17(金) 母島~ははじま丸~父島

元気な皆さんは集合時間前から宿前で早朝探鳥。メグロ&メジロを楽しんでおりました。海岸へ探鳥に向かうとムナグロ&キョウジョシギといういつもの顔ぶれに加え、ツバメチドリが近くで見られました。またチョウゲンボウも上空を飛んでいて朝飯前にしっかりと楽しめました。ははじま丸が出航するまでの間、島内観光を兼ねた探鳥をした後、山側へ移動。ここでメグロ、ハシナガウグイスをじっくりゆっくりと撮影出来ました。この時カワラヒワの鳴き声が聞かれ、姿こそ見えませんでしたがオガサワラカワラヒワの存在も確認。昨日のストレスも吹っ飛び父島へ向かいます。

母島での探鳥風景(キョウジョシギを見る)
母島での探鳥風景(キョウジョシギを見る)
さえずるハシナガウグイス
さえずるハシナガウグイス
オガサワラノスリ若鳥の飛翔
オガサワラノスリ若鳥の飛翔
母島の港を泳ぐアオウミガメ
母島の港を泳ぐアオウミガメ


父島到着後、宿に荷物をおろすと早速探鳥です。ここで「何かとまった!」という参加者の指差す方向に・・・オガサワラノスリです。スコープで見ると若鳥でしたが、街中の道路わきに止まってくれたので驚きです。その後は越冬をしているというアオアシシギを楽しんだ後、お土産を買って終了でした。

4/18(土) 父島~妁島~ケータ(婿島)~父島

この日も早朝探鳥に出ていた参加者たちから電話が?なんとアカガシラカラスバトが出ていて撮影もできるというので、他の参加者に声をかけて出撃するが・・・飛ばれたあとでした。その後「なにかいるけど、ヒヨドリかな?」というのでその場所を見ると・・・アカガシラカラスバトです!全員を集めてポイントを教えていると飛び立ちました。近かったので赤い頭がしっかりと確認できました。

コアホウドリの飛翔
コアホウドリの飛翔
ザトウクジラのブリーチング
ザトウクジラのブリーチング
妁島のクロアシアホウドリのヒナたち
妁島のクロアシアホウドリのヒナたち
夕日の海で探鳥する参加者
夕日の海で探鳥する参加者


興奮冷めやらぬまま朝食を急いで食べてケータ(婿島)へクルージングです。あの大荒れの海から一転とっても穏やかな凪です。嫁島では早速、ハシナガイルカとミナミハンドウイルカの混群が船の舳先について泳ぐ姿を楽しませてくれました。途中の妁島ではクロアシアホウドリのコロニーを観察しました。ケータに向かう途中、クジラが出ては観察を繰り返すので、予定より遅れて到着。船を停泊させるとコアホウドリとクロアシアホウドリが私たちを観察にやってきます。それらを楽しみつつランチタイム。上空をミサゴとハヤブサが通過してゆきます。ここで上陸組とウォッチング組に分かれ、ウォッチング組の私たちは北の島周辺までクルーズをし、現在は使われていない「アホウドリの第三の繁殖地」のデコイも観察。帰りは時間ぎりぎりだったのですが、ザトウクジラ3頭が元気にアクションを繰り返し、最後に間近でブリーチング(ジャンプ)!!これで結局30分遅れでの入港になりました。

4/19(日) 父島~おがさわら丸~竹芝桟橋

早朝探鳥会ではアカガシラカラスバトは出ませんでしたが、今日が最後の小笠原。これまでの成果でみなさん満足しているので、とてもいい雰囲気です(笑)。南島クルーズは昨日と同じ船で出航。今回は南島に上陸しましたが、いつもと違うコースで島に近づいたので、カツオドリたちがたくさん飛びながら私たちを観察に来ます。また、どういうわけかクロアシアホウドリが1羽だけ混じってみんなを楽しませてくれます。南島ではオナガミズナギドリたちの巣穴を見ながら進み、ヒロベソカタマイマイの半化石を見たり、扇池の美しい景観を堪能したりしました。時間いっぱいまでクジラを探しましたが、昨日のようにダイナミックなブリーチングはありませんでした。イルカが出た場所では、ドルフィンスイムを楽しむ姿を眺めながらイルカを観察。遠いのですが、オガサワラノスリが飛んで来てとまる姿も見られました。

南島の扇池
南島の扇池
ヒロベソカタマイマイの半化石
ヒロベソカタマイマイの半化石
おがさわら丸のお見送り風景
おがさわら丸のお見送り風景
最後まで追いかけて、飛び込んだ人たち
最後まで追いかけて、飛び込んだ人たち


さて、おがさわら丸に乗りこみ、甲板に出て盛大なお見送りを楽しんだ後は、引き続き探鳥に流れ込みです(笑)。夕方、アカアシカツオドリの成鳥が飛んできてはマストにとまる行動を繰り返していると、もう1羽若い個体もやってきて2羽でマストにとまり、エサ取りをしています。「このまま夜を越すかもね?」と言いながら日没で終了。夜はみんな一緒にレストランで食事を楽しみました。

4/20(月) ~おがさわら丸~竹芝桟橋

参加者が6時前に「アカアシカツオドリが3羽で飛んでいる!」と起こしに来てくれたので見に行くと、やっぱりあの2羽はおがさわら丸で夜を過ごしたようです。もう1羽は普通のカツオドリだったようです。海上にオオミズナギドリたちの姿が目立ってくると、2羽とも飛び立ち私たちの視界から消えてゆきました。八丈島から三宅島沖ではアホウドリに期待をするとなんと若鳥が出ました!他にもクロアシアホウドリ、トウゾクカモメ、ハイイロヒレアシシギが出現。天気予報は雨でしたが大荒れになる前に30分早く竹芝桟橋に到着しました。

アカアシカツオドリ若鳥の飛翔
アカアシカツオドリ若鳥の飛翔
おがさわら丸で夜を越したアカアシカツオドリたち
おがさわら丸で夜を越したアカアシカツオドリたち


今回の小笠原バードウォッチングツアー、こんなにも当たったのは本当にビックリでした。天気にも鳥にも恵まれたのは、参加者の皆さんが“持っている”からに違いありません。それから今回、ある合言葉が出来ました。それは「アネロンさえあればどこでも行ける!」でした。



【今回確認できた鳥達&生き物達】


カルガモ・(アカガシラ)カラスバト・コアホウドリ・クロアシアホウドリ・アホウドリ・オオミズナギドリ・オナガミズナギドリ・オーストンウミツバメ・アカアシカツオドリ・カツオドリ・カワウ・ダイサギ・オオバン・ムナグロ・タシギ・キアシシギ・イソシギ・キョウジョシギ・ハイイロヒレアシシギ・ツバメチドリ・ユリカモメセグロカモメ・トウゾクカモメ・ウミスズメ・ミサゴ・(オガサワラ)ノスリ・ハヤブサ・チョウゲンボウ・ハシブトガラス・ツバメ・(オガサワラ)ヒヨドリ・(ハシナガ)ウグイス・メグロ・メジロ・トラツグミ・イソヒヨドリ・(オガサワラ)カワラヒワドバト・クロアジサシ・コガモ・アオアシシギ

ミナミハンドウイルカ・ハシナガイルカ・ザトウクジラ・グリーンアノール・オガサワラトカゲ・オオウナギ・オオヒキガエルのオタマジャクシ・ネムリブカ・アオウミガメ・トビウオ

赤字は鳴き声のみ / 青字は東京で見られた鳥

 

風の鳥日和