ツアー名:韓国 春の離島7日間
2015年5月3日(日)~5月9日(土)
●ツアーガイド・写真:五百澤 日丸 / 峯尾 雄太
●文:五百澤 日丸(いおざわ ひまる)
飛翔するミヤコドリ
風の海外バードウォッチングツアーの定番?となりつつある、韓国・春の渡りを体感しに今年も行ってきました! 直前のキャンセルなどで、参加者は最少催行人数の6名を下回り、お客様4名に対してガイド2名というかつてないものとなりましたが、野鳥観察のツアーはこのくらいが理想です。
出発前、天候が崩れそうで離島に渡れるかとても心配でした。しかし、雨が降ったのは韓国に着いた日のみ、それも車で移動中だけ、という状態で、参加者の皆様の日頃の行いの良さがこうしたところで現れたことでしょう(笑顔)。初日は、例年通りのシークレットポイント(もはやシークレットでもない?)である、クロツラヘラサギの100羽ほどのコロニーへ立ち寄りました。1巣からヒナが孵っているの確認できました。ほか、同じコロニーで繁殖している、モウコセグロカモメ?と思われる巣も多く見られたほか、干潟にはツクシガモ、ハシビロガモなどのカモ類、アオアシシギ、ミヤコドリなどの姿も見られました。岸辺にあるヨシ原や灌木ではダルマエナガの群れを見ましたが、後背地の松林はいつもより小鳥類の姿はとても少なく感じ、せいぜいヒヨドリや鳴き声も日本産とは異なる感じのシジュウカラが見られただけでした。この日はこの場所のみで、明日に備えて移動してホテルに入りました。
翌日、定期船の発着所は朝から濃い霧に包まれていました。毎度のことではありますが、船の欠航が気になります。発着所に着くと、長蛇の列・・。どうやら天候調整中で皆、待っているようです。風も無く、波もないので問題は霧だけです。待っている間に、不思議と定期船の待合室一角の外にある樹林に毎年シマゴマが出るので、もしやと今年も覗きに行くと・・・いました、いました。今年もシマゴマがいました。それらを皆さんにじっくり観察を楽しんでいただき、その間私は、「万が一、欠航したら・・」と、今のうちに代替案を練っておくことにします。そうこうしていると、どうやら出港決定となり、ホッと胸をなでおろしました。1時間近く遅れての出発です。皆さんはシマゴマをバッチリ観察でき、サンショウクイまで間近に見られたとのこと、良かったです。さすが渡りの本流域です。港で渡り鳥が楽しめるのです。
ベタ凪の中、快適な?2時間の船旅は過ぎ、無事に離島(あえて名は秘す)へ到着しました。すぐ、民宿に入り一服し、昼食後、さっそく島の中を歩き始めます。民宿までの道中、ほとんど鳥の姿もなく、私以外の人は「本当にこんなところで鳥が見られるのだろうか・・・」と、内心、心配していたようです。ところが、歩き始めて畑のある場所へ着くと「あ、シロハラホオジロがいます。」「あっちはコホオアカ、シベリアアオジもいます。あ、キマユホオジロ、オオルリ、あ、キビタキ、ほらキマユムシクイ・・」と、ひとつをゆっくり確認する暇もないくらいに次から次へと鳥が出ました。それも日本なら大勢のバードウォッチャーが集まるような種類ばかり・・・。これを体感してもらいたいのが、この春の韓国ツアーです。参加してくださった皆さんの顔も笑顔へと変わり、一気に歓声と興奮の渦が広がっていくことを感じ、案内人としてもホッとしました。
離島での観察風景
今回は、島で4泊という贅沢でゆったりとした日程に設定しました。翌日以降も素晴らしく、特に2日目はその個体数の多さに、全員、言葉もなくただただ見入るだけでした。キマユホオジロ、コホオアカ、シロハラホオジロ、シマノジコ、ノジコ、シマアオジなどは本当に多かったです。図鑑的なアップの写真を撮るにはとても簡単な状況で、ごく近距離で見られることもここの売り?と、言えるでしょうか。また、特に歩き回らずに一か所にいるだけで、鳥の方からこちらにやってくる、それもこちらがむき出しでいても気にしない、というところが最大の魅力とも言えるでしょうか。これこそが、渡りの本流にいることを実感できる瞬間なのです。残りの2日はやや鳥の個体数は減ったものの、アカモズ、チゴモズなどのモズ類、セグロカッコウ、ジュウイチなどのカッコウ類、コウライウグイスやブッポウソウの群れなど、滞在の前半とは異なる鳥たちの顔ぶれが楽しめました。あっというまの島での5日間が過ぎ、島内で観察できた種類数は136種にもなりました。
離島なので、必ず韓国本土でも1泊してからでないと日本へは帰れません。8日は本土に戻り、やや南下したところにあるシギ・チドリ類の観察ポイントへ向かいます。ここがまたすごい場所で、有明海の最後の砦?である大授がらみ以上の素晴らしい場所で、シギ・チドリ類24種・約1万羽が満潮時刻に近づくにつれて集結し、ここでも皆さんの溜息、歓声が入り混じりました。ここも何度訪れても楽しいところです。今回、恵まれたのは、この場所で現地の鳥の研究者と出会えたことです。この方が、満潮後さらに集結する場所をご案内してくださり、その凄さは開いた口が塞がらなくなるほどでした。新しいツアーコースができたという喜びもあり、満潮でも鳥が多い場所、というダブルの嬉しさがありました。
そして最終日はとっておきのシ-クレットポイントへ向かいます。そこでも無事にその姿を見ることが出来ましたが、これは参加者だけの特権ですので、ここでその内容は書けません。ご了承ください。
こうして7日間のツアーは、あっという間に終わってしまいました。離島はいつも2泊か3泊でしたので、いつも後ろ髪引かれる思いで帰国する感じですが、今回は充実感と満足感いっぱいでの帰国となりました。トータルで166種類の野鳥を確認することが出来ました。
参加者の皆様、ありがとうございました!韓国のバードウォッチングツアーは、この秋も考えておりますので、ぜひご検討ください。
【今回確認できた鳥達&生き物達】
アカガシラサギ、クロツラヘラサギ、シロハラクイナ、ジュウイチ、セグロカッコウ、ヒマラヤアナツバメ、ハリオシギ、アカハラダカ、ツミ、ハイタカ、サシバ、コノハズク、ヤツガシラ、ブッポウソウ、アリスイ、サンショウクイ、コウライウグイス、チゴモズ、アカモズ、ヒメコウテンシ、ショウドウツバメ、コシアカツバメ、(チョウセン)ウグイス、ムジセッカ、キマユムシクイ、バフマユムシクイ、アムールムシクイ、ダルマエナガ、シベリアセンニュウ、シベリアムクドリ、コムクドリ、カラアカハラ、マミチャジナイ、オガワコマドリ、ノゴマ、コルリ、シマゴマ(多数)、マミジロキビタキ、ムギマキ、イワミセキレイ、ツメナガセキレイ、マミジロタヒバリ、セジロタヒバリ、ヨーロッパビンズイ、ムネアカタヒバリ、アカマシコ、コイカル、シロハラホオジロ(多数)、ホオアカ、コホオアカ(多数)、キマユホオジロ(多数)、シマアオジ、シマノジコ(多数)、ノジコ、(シベリア)アオジ(多数)、オウチュウなど。
次回、五百澤さん同行ツアーはこちら!
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