【バードウォッチングツアー添乗報告記】
3/11発 みちのく山形 早春の猛禽類と鷹狩り 2日間

ツアー名:みちのく山形 早春の猛禽類と鷹狩り 2日間

2017年3月11日(土)~12日(日) 
文●ツアーガイド:簗川 堅治(やながわ けんじ)


 みちのく山形 早春の猛禽類と鷹狩り 1日目

今年は雪も少なく、そのためいつもなら山形市周辺の田んぼはまだ雪がありますが、ツアー日にはすっかり消えていました。

さて、まずはクマタカのポイントへ向かいます。ここは山手なので雪はまだ50cm以上積もっていて、雪の上を少し歩いて雪の上でクマタカの出現を待ちます。少しでも観察圧がかからないように林縁に陣取りました。あとはひたすら待つのみ…待つのみ…待つのみ…。しかし、一向に出てきてくれません。そばの林の中から鳴ぎ声は聞こえるのですが、どうやらこの日はほぼ無風だったため、クマタカが飛ぶには条件がよくないようです。


クマタカ飛翔するクマタカ

周辺の川ではカワガラスが飛び交い、真上をマヒワの小群が横切っていきます。ミソサザイも沢で鳴いています。待つこと1時間半。ようやくクマタカが現れました!

やや遠いですが雪の反射で下面もきれいに見えます。旋回もし、普段はなかなか見ることができない上面も見ることができました。ただ、ほぼ無風だったため、上昇せずにはばたいて山の陰へと消えていきました。結局、このあと1時間出ることもなく、次の予定地へと向かいました。

今度はお待ちかねの鷹狩実演です。日本でただひとり、イヌワシとクマタカを使って鷹狩りをする鷹匠・松原さんの家へと向かいました。出迎えてくれたのは、なんとハリスホークとワシミミズクでした。いきなりのサプライズに参加者一同大興奮!


ハリスホーク
ハリスホークのウルス
ワシミミズク
ワシミミズクのボーボー

まずはハリスホークで実演。そして、いよいよワシを使っての実演です。緊張感が走ります。

松原さんが高い位置からワシを放つと、獲物めがけて一直線に滑空していき、あっという間に獲物を捕らえました。その間、わずか3,4秒。まさに瞬殺です。ワシは獲物を他のものに取られまいと翼を広げて獲物を隠しながら、しきりに鳴き続け解体していきました。食うもの食われるもの。残酷な世界ですが、自然の厳しさとたくましさを鷹狩りは教えてくれます。

実演のあとは、ちょっとしたサプライズがまたあり、松原さんの講話を聴きました。自然の中でさまざまな動物たちと触れ合ってきた松原さんならではの面白い話にみんな笑いながら聞き入っていました。


鷹匠と鷲鷹匠と鷲

この日の最後はトラフズク観察です。この時期、繁殖期に入ったトラフズクは♂も♀もよく鳴き、飛び交います。クマタカを見た時と同じように鳥に圧をかけないようにしながらの観察です。まつことしばし。♂が小さい声で鳴き出しました。かなり経ってから♀も鳴き出しました。樹冠を飛んだりする姿も見ることができました。


 みちのく山形 早春の猛禽類と鷹狩り 2日目


2日目。まずは樹洞で繁殖するチョウゲンボウ観察です。樹齢600~800年のケヤキの大木の樹洞です。到着すると早速チョウゲンボウが飛び交っています。「キィキィキィキィ…」「キッ、キッ、キッ…」などいくつかの声を出しながら♂3羽♀2羽のチョウゲンボウがいました。


チョウゲンボウ飛翔するチョウゲンボウ

いまはちょうど交尾の時期。観察中に何度か交尾をするのも観察できました。ここはたくさんのムクドリも繁殖にやってきます。ムクドリにとってチョウゲンボウは天敵。なぜ同じ場所で繁殖するのでしょうか? 襲われる危険よりも大きな効果があるので、ムクドリたちはこの地を選びます。チョウゲンボウは言わば、よきガードマン。色々な外敵を追い払ってくれるのでしょう。


交尾するチョウゲンボウ交尾するチョウゲンボウ

今度は田んぼにいるハクチョウ類を探します。今は北上の時期。雪どけが進んだ田んぼには多くのハクチョウ類がいるはずですが…雪の少ない冬だったので、付近にはもう雪もなく、ハクチョウ類の姿もありません。数キロ北の田んぼへ向かいました。

ようやく100羽ほどのハクチョウ類の2つの群れを発見しました。ほとんどはコハクチョウですが、オオハクチョウも数羽いました。先の長い旅に備え、一心に餌をとっています。


北上中のオオハクチョウとコハクチョウ北上中のオオハクチョウとコハクチョウ

ツアーの最後は、前日とは違う場所でトラフズクの観察。いつもは♂も♀もいるのですが、この日は♀のみでした。しかし、低い位置で見ることができました。

早春の山形でクマタカ、ノスリ、チョウゲンボウ、トラフズク。そして鷹狩りとまさに猛禽類満喫の2日間でした。参加者のみなさん、遠い所、大変お疲れ様でした。


【おまけ】簗川さんによる手書きのおさらい


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【今回確認できた鳥達】


キジ、コハクチョウ、オオハクチョウ、ヒドリガモ、マガモ、カルガモ、オナガガモ、コガモ、ホシハジロ、スズガモ、キジバト、アオサギ、ダイサギ、トビ、ノスリ、クマタカ、トラフズク、コゲラ、チョウゲンボウ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ヒガラ、シジュウカラ、ヒヨドリ、ミソサザイ、ムクドリ、カワガラス、スズメ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、カワラヒワ、マヒワ、ホオジロ、カシラダカ、番外ドバト計34種



 

風の鳥日和