ツアー名:フィリピン ネグロス島 6日間【バードウォッチング】
2018年3月18日(日)~23日(金)
文●写真:五百澤 日丸 (いおざわ・ひまる)
フィリピンの中央部に位置するネグロス島は、フィリピンで3番目に大きな島です。火山活動により形成されたなだらかな山が連なりますが、全体的には平坦な島です。
昨年に下見を敢行した際の報告記などでバードウォッチングの素晴らしさをお伝えできたのでしょうか。幸運にもツアーガイドとして再び訪れることができました。
ネグロス島 ガワホン・エコパーク
今回のツアーでは、ネグロス島北西部を中心に回りました。まずは北部にあるガワホン・エコパークへ。
途中、道の両脇にサトウキビなどの広大な農耕地が拡がります。畑にある杭の先端や電線に止まるクロノビタキやタカサゴモズ、オニセッカなど気になる鳥たちの姿を車窓から確認できました。
周囲の風景が森林に変わり山地帯に入って行くと、多くの固有種が期待できるガワホン・エコパークに到着です。現地ガイドと合流して、まずはアオオビカワセミ狙いで林道沿いに6つの滝が連続する渓流を歩きます。
森林内で鳴く野鳥たちに注意しながら探しましたが、アオオビカワセミは声すら聞こえませんでした。毎回上手くいく訳ではない野鳥観察とはいえ、昨年は近い距離でゆっくり見られただけに残念です。
それでも、カナリアヒタキをはじめ、ヤハズカンムリオウチュウやキミミモリチメドリ、オレンジハナドリ、シロシリモズヒタキ、(ネグロス)テリアオバト、ヴィサヤオウギヒタキなど、いくつかの固有種を観察することができました。
ネグロス島 丘陵の農耕地周辺
ガワホン・エコパークを後にし、収穫が終わったサトウキビや牧草の畑、水田が広がる丘陵の農耕地周辺を訪ねます。オニセッカが賑やかに囀り、ディスプレイフライトを披露していました。
他にはヒメマミジロタヒバリ、クロノビタキ、タカサゴモズ、ヨシゴイ、キンパラなどの姿が目立ちます。また、「渡り」だと思われる少数のサシバが柱をつくって飛んでいきました。もしかしたら日本へ行く個体群かもしれません。
夕方にはマダラチュウヒの雄と雌が出現してくれました。
ネグロス島 マンブカル・マウンテンリゾート
今回のメインともいえるマンブカル・マウンテンリゾートは、地元の家族連れも多く訪れる人気の温泉地です。硫黄独特の臭いが立ちこめる中、シロボシショウビンに期待して林道を歩き始めます。
しかし、下見の際とは状況が変わってしまったようで、昨年シロボシショウビンが繁殖していた林道近くのポイントには姿がありませんでした。仕方なく有志で急斜面を藪漕ぎすることにしましたが、苦労の甲斐ありシロボシショウビンだけではなく、それ以上に見るのが難しいマメカワセミをカメラに収めた方もいました。
アプローチが容易な場所では、ズグロヤイロチョウを探します。ラッキーなことに、ポイントに着くと5分もしないうちに地面を歩いている様子を確認できました。しばらく枝に止まってくれたので、参加者全員満足いくまで観察撮影できました。
また、現地ガイドさんの計らいで、個人宅の庭でも観察させてもらえることになりました。ネグロスハナドリやヒメカッコウ、さらに予想外にもカンムリカッコウまで現れ、その姿を堪能することができました。
ネグロス島 プルパンダン湿地
森や農耕地から離れ、今度は海岸沿いのプルパンダン湿地へ。放棄された養魚場は干潟状に泥地が露出しており、満潮になると多くのシギ・チドリ類が集まってきます。
ここでは27種ものシギ・チドリ類の大群のほか、アカノドカルガモ、オオリュウキュウガモ、シマアジ、ムラサキサギ、ジャワアカガシラサギ、クロハラアジサシの大群など多数の水鳥を満喫することができました。また、荒れた埋立地ではムナオビクイナやタイワンセッカ、ハッカチョウが見られました。
ネグロス島北西部の観察ポイントで見られた鳥に加え、毎朝ホテルの庭に集まってくるミドリカラスモドキやムネアカゴシキドリ、マダラナキサンショウクイ、キバラタイヨウチョウを合わせると、実質4日間の観察で124種の野鳥を確認しました。
ツアーが成功裏に終わったのは、現地でサポートしてくださった皆様のお陰です。この場を借りて深く感謝を申し上げます。そして、この報告記をご覧になった方がネグロス島へ足を運んでいただけたら、こんなに嬉しいことはありません。
2019年のネグロス島バードウォッチングツアーは、今回より1日短くなった5日間の予定です。
【今回確認できた鳥達】
オオリュウキュウガモ、アカノドカルガモ、シマアジ、ヨシゴイ、アオサギ、ムラサキサギ、ダイサギ、チュウサギ、コサギ、アマサギ、ジャワアカガシラサギ、ササゴイ、ゴイサギ、フィリピンカンムリワシ、サシバ、マダラチュウヒ、シロガシラトビ、ムナオビクイナ、シロハラクイナ、マミジロクイナ、バン、セイタカシギ、ダイゼン、ムナグロ、メダイチドリ、オオメダイチドリ、クロエリシロチドリ、シロチドリ、ハジロコチドリ、タマシギ、オグロシギ、キョウジョシギ、コオバシギ、ウズラシギ、ヒバリシギ、トウネン、ヨーロッパトウネン、イソシギ、キアシシギ、アオアシシギ、コアオアシシギ、タカブシギ、アカアシシギ、ハリオシギ、ツバメチドリ、コアジサシ、ハシブトアジサシ、ハジロクロハラアジサシ、クロハラアジサシ、ドバト、ベニバト、カノコバト、キンバト、(ヴィサヤ)テリアオバト、ミドリバンケン、バンケン、カンムリカッコウ、ヒメカッコウ、シロハラアナツバメ、カワセミ、マメカワセミ、ナンヨウショウビン、シロボシショウビン、ルリオハチクイ、ムネアカゴシキドリ、フィリピンコゲラ、ズグロヤイロチョウ、モリツバメ、マダラナキサンショウクイ、シロシリモズヒタキ、アカモズ、タカサゴモズ、フィリピンモズ、ヤハズカンムリオウチュウ、ムナグロオウギヒタキ、ムナオビオウギヒタキ、ヴィサヤオウギヒタキ、クロエリヒタキ、チョウゲンボウ、ツバメ、リュウキュウツバメ、オオコシアカツバメ、カナリアヒタキ、シラボシガラ、アカハシゴジュウカラ、メガネヒヨドリ、メグロヒヨドリ、(ヴィサヤ)チャムネヒヨドリ、キバラサイホウチョウ、ルソンムシクイ、フィリピンムシクイ、キマユムシクイ、オオヨシキリ、オニセッカ、セッカ、タイワンセッカ、アカビタイサイホウチョウ、キミミモリチメドリ、フィリピンキメジロ、ヤマメジロ、エゾビタキ、シキチョウ、マングローブヒメアオヒタキ、シロアゴミツリンヒタキ、ハジロマユヒタキ、イソヒヨドリ、クロノビタキ、ミドリカラスモドキ、ハッカチョウ、オリーブハナドリモドキ、ニショクハナドリ、ネグロスハナドリ、オレンジハナドリ、チャノドコバシタイヨウチョウ、キバラタイヨウチョウ、フィリピンキゴシタイヨウチョウ、ツメナガセキレイ、キセキレイ、ヒメマミジロタヒバリ、スズメ、シマキンパラ、シロハラキンパラ、キンパラ。以上124種。
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