バードウォッチングツアー視察レポート:韓国 野鳥の繁殖期を訪れて
2018年6月8日(金)~11日(月)
文●写真:五百澤 日丸 (いおざわ・ひまる)
日本の隣に位置する韓国。身近な国であるにもかかわらず、そこで繁殖している野鳥については知っているようでいて実はあまり知られていません。同じお金をかけるなら固有種を優先させたいという意見が大半を占めているようで、日本と似ている鳥相で固有種もいない韓国へはわざわざ行こうとしないバーダーも多いです。
しかし、実際に現地を訪れてみると驚くことばかりで実に新鮮です。そんな魅力を多くの人に知ってもらいたい、見てもらいたいという思いから、6月に繁殖期を迎えた韓国を訪れました。
繁殖期の韓国:低山帯の谷戸から水田地帯
韓国の風景だけを見ていると、日本の谷戸のある低山帯や水田が広がる風景と何ら違いはありません。しかし、谷戸にある電柱にとまっているのは、サシバではなくアカハラダカです。
多くの場所でカササギやオナガが同所的に観察でき、営巣もしています。電線でさえずるジョウビタキや、水田地帯の藪で騒ぐダルマエナガの姿もあります。なんでもない土の崖でヤマショウビンが営巣しているのを見かけると、やはりここは日本とは違うと確信できます。
それだけではなく、あらゆる低山帯の林の上空には、コウライウグイスやブッポウソウが幾度となく飛び交っています。日本でも見られる綺麗どころの野鳥や迷鳥、冬鳥が普通に見られ繁殖しています。なぜこれほどに日本と繁殖している野鳥に違いがあるのか実に不思議です。これらのことだけでも韓国での観察や撮影を十分に楽しむことができると思います。
繁殖期の韓国:山地帯
今回の下見では亜高山帯へ行くのが大きな目標だったのですが、今回は悪天候に見舞われてしまい訪れることはできませんでした。そこは韓国のバーダーたちに「別天地」と言わせるほどの所だそうで、次回はぜひじっくり見てみたいと思っています。
しかし、その山地帯の麓ではカラアカハラやハシブトガラ、マミジロキビタキ、クマゲラ、ヤマゲラ、セグロコゲラたちが繁殖している様子が見られました。さらにサシバやハチクマも確認でき、似たような環境にありながら日本との違いを実感しました。
繁殖期の韓国:河川の中州の森と海岸部
現地のバーダーから貴重な情報を教えていただき、某韓流ドラマで有名となったとある観光地の河川の中洲の森林へ行ってみました。早朝ならば、爽やかな気分で森林浴を楽しみながら野鳥の撮影が楽しめる絶好の場所です。
ヤマゲラやアカゲラ、コゲラ、カササギ、ブッポウソウ、コウライウグイス、ゴジュウカラなどがあちこちにいて撮影しやすく、早朝ならばマミジロキビタキやクマゲラの出現も珍しくないようです。キタリスやシマリスも見られ、撮影の被写体には困らないでしょう。
また、意外と知られていないことですが、韓国ではコガラは数例しか記録がない稀な存在です。見かけるのはハシブトガラばかりで、これは海岸の松林から低山帯、亜高山帯までに分布しています。
河川中流域ではセグロセキレイもいます。日本の固有種だと思う方も多いようですが、韓国の一部でも繁殖していて、今回の下見で初めて確認することが出来ました。その他、クロツラヘラサギの有名な繁殖地にも立ち寄り、恒例のシークレットな穴場へも出向いてみました。
繁殖期の韓国:2019年ツアーとして設定します
来年、ここまで紹介した地域は撮影ツアーとして皆さんにご案内いたします。
【今回確認できた鳥達】
(コウライ)キジ、カルガモ、オシドリ、キジバト、ドバト、カワウ、ゴイサギ、ササゴイ、アマサギ、アオサギ、ダイサギ、チュウサギ、コサギ、クロツラヘラサギ、バン、セグロカッコウ、カッコウ、ツツドリ、コチドリ、ミヤコドリ、イソシギ、モウコセグロカモメ、ウミネコ、コアジサシ、ハチクマ、アカハラダカ、サシバ、ヤマショウビン、カワセミ、ワシミミズク、オオコノハズク、ブッポウソウ、コゲラ、オオアカゲラ、ヤマゲラ、アカゲラ、チゴハヤブサ、チョウゲンボウ、コウライウグイス、オナガ、カササギ、ハシブトガラス、ハシブトガラ、ヤマガラ、シジュウカラ、ツバメ、ヒヨドリ、ヤブサメ、エナガ、センダイムシクイ、ダルマエナガ、メジロ、オオヨシキリ、ゴジュウカラ、シロハラ、カラアカハラ、ジョウビタキ、イソヒヨドリ、マミジロキビタキ、オオルリ、スズメ、(ホオジロ)ハクセキレイ、セグロセキレイ、カワラヒワ、ミヤマホオジロ
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