ツアー名:秋の道東 エゾライチョウとシギチドリを見る 3日間
2018年9月28日(金)~9月30日(日)
文●ツアーガイド:簗川 堅治(やながわ けんじ)
今年は台風が多い年ですが、ツアー終了直後に台風24号の影響が心配される中でのスタートです。
秋の道東バードウォッチング 1日目
まずは空港周辺にいる亜種ヒシクイの観察です。収穫の終わった小麦畑に30羽ほどのヒシクイがいました。しかし、完全に逆光です。少し移動し、光線がいい場所で観察し直しました。
ところが今度は陽炎がゆらゆらとして、はっきりと見えません。しかも、ヒシクイたちは顔を背に入れて寝てしまいました。また、ツアー開始1時間前には付近の水路にシマアジが2羽いたのですが、ツアー開始後はいませんでした。なかなか、うまくいきません。
気を取り直して能取湖へ移動します。この時期は、真っ赤に染まるアッケシ草が有名な観光地です。このアッケシ草の中にシギ・チドリがいることがあり、それがお目当てですが、時間帯的に観光客だらけなので今日はお預け。後日早朝に見るとして、隣の漁港でシギ・チドリなどを探すこととしました。
上空をオジロワシがゆったりと飛んでいきます。漁港の堤防には、たくさんのカモメ類がいました。ユリカモメ、ウミネコ、セグロカモメ、オオセグロカモメ…そして、シロカモメ。冬鳥のカモメ類ももう来ていました。さすが北の地です。肝心のシギ・チドリは残念ながらいませんでした。
最後は阿寒湖です。宿入りする前に阿寒湖の散策路を歩きました。クマゲラが比較的よく出る場所です。しかし、到着がやや遅れたことと天気が曇っていたことで、薄暗くなり、どの鳥も声のみ。クマゲラも出ませんでした。明日に期待です。
秋の道東バードウォッチング 2日目
朝一番でまた散策路を歩きました。あいにくガスがかかっていて、鳥の動きもいまいちな感じで、あまり収穫がありませんでした。ただ、オオアカゲラの亜種エゾオオアカゲラが近距離でじっくりと見れました。
いよいよエゾライチョウに挑戦です。地元で許可をもらったガイドしか入ることができない秘密の場所でガイド同行のもと、エゾライチョウを探します。張り詰めた空気の中、林道を歩きました。最初の林道では♂の「ピーッ、ピッピッピ」という甲高い声が林の中から聞こえてきました。しかし、出てきません。
次は車通りのある場所で探しました。ここは人馴れしているのか、よく出てくる場所らしいのですが、1名の方とガイドの私が笹薮から飛び立って行くのを確認しただけ。なかなかうまくいきません。最後のコースへと移動です。
この場所は春にも歩いたコースで、期待大です。しばらく気配がなかったものの、♂のさえずりが聞こえてきました。すると「ピッ、キュルルル…」というような声も聞こえてきました。地鳴きのようです。息をひそめ、しゃがんでじっと待ちます。林の中をエゾライチョウが移動していきますが、なかなかじっくり見れません。結局、帰り道でもチラ見程度で終わり、みんながじっくりと見ることはできませんでした。
今日最後の鳥見は、アッケシ草とシギ・チドリの組み合わせを求め、キムアネップです。早速、冬鳥のタヒバリが現れました。赤く色づいたサンゴ草の中にたくさんのアオサギの姿がありました。コガモもいます。小さめなのはダイゼンでした。遠くにはオジロワシの姿も。
この日は晴天だったため、締めくくりはサロマ湖に沈む夕日でした。
秋の道東バードウォッチング 3日目
最終日です。まずは観光客が来ないうちにアッケシ草の中にいるであろうシギ・チドリ類を求めて能取湖です。
すると、先客が。朝日とアッケシ草の組み合わせを撮るためか、カメラマンがいました。早い! あいにく、期待していたシギ・チドリ類はいませんでしたが、遠くからタンチョウの鳴き交わしが聞こえてきました。
漁港へと移動し、堤防のカモメ類を観察していると、遠くにタンチョウの姿が。先程、鳴き交わしていたつがいのようです。能取湖でタンチョウを見るとは思ってもいませんでした。堤防のカモメ類の中には、20羽ほどのキアシシギがいました。
朝食後はサロマ湖付近の森を散策。キツツキ類を期待しましたが、キバシリやアカゲラを見たくらいでしたので、ワッカ原生花園へ。ここでも真っ赤なアッケシ草がきれいでした。ノビタキなどを見て、昨日夕方行ったキムアネップへ移動です。
アオサギやダイゼンなど昨日と同じメンバーの中にツルシギ3羽を確認しました。最後は空港に向かう途中で、初日、あまりいい条件では見れなかったヒシクイを今度は近くでじっくりと観察し、ツアーを終えました。
エゾライチョウはじっくりと見れませんでしたが、真っ赤なアッケシ草とシギ・チドリ類、きれいなサロマ湖の夕日で癒された3日間でした。遠い所、参加していただきありがとうございました。
【おまけ】簗川さんによる手書きのおさらい
【今回確認できた鳥達】
エゾライチョウ、ヒシクイ、ヒドリガモ、マガモ、カルガモ、オナガガモ、コガモ、スズガモ、キジバト、カワウ、アオサギ、ダイサギ、タンチョウ、ムナグロ?、ダイゼン、タシギ、タカブシギ、キアシシギ、ツルシギ、ユリカモメ、ウミネコ、シロカモメ、セグロカモメ、オオセグロカモメ、トビ、オジロワシ、ハイタカ、(エゾ)コゲラ、(エゾ)オオアカゲラ、(エゾ)アカゲラ、ヤマゲラ、ハヤブサ、モズ、(ミヤマ)カケス、ハシボソガラス、ハシブトガラス、キクイタダキ、ハシブトガラ、ヒガラ、シジュウカラ、ヒバリ、ヒヨドリ、ウグイス、(シマ)エナガ、(シロハラ)ゴジュウカラ、(キタ)キバシリ、ムクドリ、アカハラ、ノビタキ、キビタキ、スズメ、キセキレイ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、タヒバリ、カワラヒワ、ベニマシコ、ホオジロ、ホオアカ、アオジ、オオジュリン(番外)ドバト