ツアー名:冬の渡良瀬遊水地 タカ類に期待
2019年12月22日(日)
文●ツアーガイド:峯尾 雄太 (みねお・ゆうた)
今年も参加者8名限定・ジャンボタクシー利用で渡良瀬遊水地を巡ります。ガイドの立場からすると、ジャンボタクシーは鳥の見やすさ(つまり鳥への接近の楽さ)、そして遊水地内での機動力などツアーで利用するメリットが抜群です。
今年の災害級の台風時に3mほど冠水し、付近の町を守った野鳥の宝庫・渡良瀬遊水地。復旧に時間がかかり立ち入りが心配されましたが、ツアー開催までに見事に復活。さすが水には慣れています。
鳥の出現具合や天候、時間を考慮し、移動しながら探鳥開始。
まずはオオアカハラ♂やツグミ群れなどが現れます。そしてシメも多いようです。ベニマシコやカオジロガビチョウの声も聞こえますが、午前中は見づらいタイミングです。
谷中湖をのぞいてみると、ちょうど2羽のハヤブサが空中で交えるところで、♂はそのまま近くの塔で休息、しばらく観察させてくれました。若い個体(大きさから♀か)は去ってしまいました。
その後ミサゴも飛翔していきます。
今冬の谷中湖はカモが多いようです。
オナガガモの群れの中に、見るとうれしくなる種のトモエガモを発見。さらによく見ると、実は50羽弱が重なっているようです。見逃している分を含めればそれ以上いたようで、なかなか感動してしまいます。
お次はいつもヨシガモがいるヨシガモ池へ。この日も20羽くらいが寝たり泳いだり、その他にはミコアイサもいます。
水路をのぞいてオオハシシギやツルシギを探しましたがスカ(いない)。しかしミコアイサがたくさんいました。
ベンチでお昼タイムを挟んで午後の部を開始します。
シロハラやモズ、シジュウカラ、ベニマシコ、ジョウビタキを見ながら散策し、今度は別の角度から谷中湖を観察します。
チュウヒやノスリが浮島で休息していますが、ここではカモはぱっとせずでした。いつもは見かけるホオジロガモやカワアイサには出会えず、カイツブリ類もあまりいないようでした。
お次は鷹見台を訪れましたが、うーん、いまいち気配なしのようなので、気を取り直して次のポイントへ向かいます。
コウノトリの繁殖塔ではノスリが休憩中でした。
カラスの群れにコクマルガラスを発見! よくよく観察するとミヤマガラスの中に最低6羽は混じっているようです。綺麗な成鳥もいたし、なかなか良い出会いです。
最後はチュウヒの塒(ねぐら)入りの観察へ。と思ったら、上空をコウノトリが飛翔しています。足輪は確認出来なかったけれど、野田市で放鳥された「ひかる君」でしょう。繁殖はやる気なんですから♀を連れてきたりはしないんですかねえ。
チュウヒの塒入りポイントでは、数羽のコチョウゲンボウが針葉樹に止まっている姿を確認できました。
チュウヒも続々やってきて多めです。ハイイロチュウヒは♂が少なくとも3羽、♀タイプが2羽以上近くを乱舞し、分かれて何カ所かに塒入りしていきました。かなり楽しめた空中ショーで本日は締めくくりです。
観察終了間際には雨が振り出し、解散時には土砂降りとなっていました。
ぎりぎりお天気にも恵まれ、たくさんの野鳥との出会いがあった良い観察となりました。2020年1月にも渡良瀬遊水地を訪れます。次回も楽しめると良いですね。
【今回確認できた鳥達】
キジ、ヨシガモ、ヒドリガモ、マガモ、カルガモ、ハシビロガモ、オナガガモ、コガモ、ホシハジロ、キンクロハジロ、ホオジロガモ、ミコアイサ、カワアイサ、トモエガモ、カイツブリ、カンムリカイツブリ、キジバト、カワウ、アオサギ、ダイサギ、オオバン、ミサゴ、トビ、チュウヒ、ハイイロチュウヒ、ノスリ、コゲラ、アカゲラ、コチョウゲンボウ、ハヤブサ、モズ、コクマルガラス、ミヤマガラス、ハシボソガラス、ハシブトガラス、 シジュウカラ、ヒヨドリ、ウグイス、セッカ、ムクドリ、シロハラ、アカハラ、ツグミ、ジョウビタキ、スズメ、ハクセキレイ、タヒバリ、カワラヒワ、ベニマシコ、シメ、ホオジロ、アオジ、オオジュリン、カオジロガビチョウ、コウノトリ(ひかる君)