ツアー名:冬の九州 越冬する鳥たち 3日間
2020年1月17日(金)~1月19日(日)
文●ツアーガイド:簗川 堅治(やながわ けんじ)
冬の九州バードウォッチング 1日目
この日は潮の関係で最初の探鳥地を東よか干潟にしていましたが、長崎でド珍鳥が出ているため、急きょ予定を変更し、長崎へと向かいました。途中、ドライバーさんの観光解説を聞きながら、3時間弱の移動です。
到着して約10分。来ました! 早速ド珍鳥の登場です。その名は「ロクショウヒタキ」。主に東南アジアに生息し、日本では南西諸島などで数回の記録しかない鳥です。しかも、今回は♂成鳥です。名の由来になった「緑青色」がなんとも言えないくらい綺麗です。
畑の中で大根や杭などに止まっては虫を見つけて食べています。それにしても近い! 最短3mです。全く人を恐れていない感じです。
平日のためか、バードウォッチャーも少なく、ほぼ貸し切り状態の中、もう二度と会うことはないかもしれないド珍鳥を心行くまで堪能しました。幸先いいスタートです。
次は諫早に向かいました。干拓地には毎年、珍鳥を含め、色々な鳥が越冬しにやってきます。毎年やってくるナベコウに加え、今季はタカサゴモズがきているようです。
まずはタカサゴモズを探しました。それらしき鳥を観察撮影している人を発見。聞いてみると先程まで出ていたようですが、今はヨシ原に引っ込んでしまったとのことで、しばし待ちます。その間、ヨシ原を飛ぶハイイロチュウヒなどを観察。すると、ヨシ原からモズが飛び出し、木に止まりました。タカサゴモズです。長い尾羽に灰色とオレンジ色の配色が綺麗です。ロクショウヒタキ同様、あっけなく見ることができました。その後、タカサゴモズは移動しながら餌を探しては食べていました。
今度はやや移動し、たい肥の積んである畑で鳥を探します。タゲリ、タヒバリ、そしてツメナガセキレイがいました。サメイロタヒバリと言う珍鳥も来ているようですが、あいにく見つけることはできませんでした。それでもハイイロチュウヒの♂が近くを飛んだり、コチョウゲンボウがタヒバリの群れに突っ込んだりと、なかなか面白いひと時を過ごしました。
続いて、冬の諫早干拓の代名詞との言えるナベコウに挑戦です。1mほどもある大きな鳥ですが、広大な干拓地を餌場とし、大きくて深い水路で餌を獲るため、そう簡単には見ることができない厄介な鳥です。
案の定、水路という水路を探しましたが、結局見つからず。日も暮れ始めてきたため、作戦を変更し、ねぐら入りに掛けることにしました。ナベコウは電柱でねぐらを取るため、遠くまで見渡せる堤防に陣取り、ナベコウがねぐら入りで飛んでくるのを探します。しかし、そう簡単には現れてくれず、あきらめかけたその時です。いました! すでに電柱に止まっています。
距離はありましたが、全員で確認。そして、その場所へ急ぎ向かいました。ほどよい距離を保ち、ねぐら入りしたナベコウを観察しました。あいにく、顔はすでに背中に入れているため見えませんでしたが、白いお腹や長い脚は確認できました。難関のナベコウを無事ゲットできました。
冬の九州バードウォッチング 2日目
この日は、前日ねぐら入りしたナベコウのねぐら立ちを見よう! ということになり、夜明け前からのスタートです。早速、昨日のナベコウの場所へ行くと、暗闇の中、同じ場所で確認でき、日の出時刻とともにねぐら立ちするナベコウを観察。その後、水路で採餌し、電柱で休憩。そして遠くへ飛んで行くのを見送りました。
またまた長距離移動し、前日行くはずだった東よか干潟へ向かいました。干潟は潮の関係があるため、この日はあまりいい時間帯ではなかったのですが、干潮の中、ズグロカモメやツクシガモを観察しました。いつも見るカササギは、この日は出会えませんでした。
さらに長距離移動し、出水へと向かいました。到着早々、クロヅル、そしてカナダヅルを観察。それにして、相変わらずすごいツルの数です。
今季はアネハヅルが1羽来ているようですが、この日は出会えませんでした。他、ヘラサギやクロツラヘラサギ、タゲリなども観察しました。最後はツルのねぐら入りを観察し、宿に入りました。
冬の九州バードウォッチング 3日目
最終日です。ねぐら立ち観察からスタートです。ねぐらの前にある宿に泊まったため、窓からツルのにぎやかな声が絶えません。次々と飛び立っていきます。
宿前の電線には500羽を超えるミヤマガラスの群れがいました。いつもはコクマルガラスが混じっているのですが、全く見当たりませんでした。残念。
アネハヅルは8~10時頃にツル観察センター付近で見られることが多いとのことで、朝食後はそこへ行くこととし、朝食をとろうとしたその時です。なんと部屋の窓からアネハヅルを発見! これはラッキーです。
ナベヅルにつかず離れず、歩いています。全員でしばし観察しました。耳の所にある白い飾り羽、黒い頸、垂れるほど長い風切。綺麗です。大きさはナベヅルほどですが、細身のため、きゃしゃで小さく見えます。それにしても、部屋から観察できるとは思ってもいませんでした。
朝食後はホシムクドリの群れやカナダヅル、クロヅルなど見て、出水を後にしました。
最後は福岡での観察にしました。佐賀で見られなかったソリハシセイタカシギとカササギが狙いです。カササギはあっけなく見ることができました。しかし、ソリハシセイタカシギはいなくなってしまったのか、どこを探しても見つかりませんでした。
移動が長い3日間でしたが、九州ならではのたくさんの鳥たちに出会えました。やはり、冬の九州は面白かー! よか、よか! 参加していただきありがとうございました。
【おまけ】簗川さんによる手書きのおさらい
【今回確認できた鳥達】
ツクシガモ、オカヨシガモ、ヨシガモ、ヒドリガモ、マガモ、カルガモ、ハシビロガモ、オナガガモ、コガモ、ホシハジロ、キンクロハジロ、ミコアイサ、ウミアイサ、カイツブリ、カンムリカイツブリ、キジバト、ナベコウ、カワウ、ウミウ、ゴイサギ、アオサギ、ダイサギ、コサギ、ヘラサギ、クロツラヘラサギ、カナダヅル、マナヅル、クロヅル、ナベヅル、アネハヅル、オオバン、タゲリ、ダイゼン、メダイチドリ、タシギ、ダイシャクシギ、ホウロクシギ、アオアシシギ、クサシギ、イソシギ、ハマシギ、ユリカモメ、ズグロカモメ、カモメ、セグロカモメ、ミサゴ、トビ、チュウヒ、ハイイロチュウヒ、ノスリ、カワセミ、コチョウゲンボウ、モズ、タカサゴモズ、カササギ、ミヤマガラス、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ヒバリ、ヒヨドリ、メジロ、ムクドリ、ホシムクドリ、シロハラ、ツグミ、ジョウビタキ、イソヒヨドリ、ロクショウヒタキ、ニュウナイスズメ、スズメ、ツメナガセキレイ、キセキレイ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、ムネアカタヒバリ、タヒバリ、カワラヒワ、ホオジロ、ホオアカ、アオジ、オオジュリン 番外ドバト、コブハクチョウ