ツアー名:冬の茨城・妙岐の鼻 タカ類のねぐら入り
2020年2月1日(土)
文●ツアーガイド:峯尾 雄太 (みねお・ゆうた)
何年もあたためていた霞ヶ浦・妙岐の鼻周辺ツアーがようやく成立しました。今回もジャンボタクシーを利用し少人数でポイントを巡ります。
この日は快晴で鳥見日和! 車内にいると日差しが暖かくほっとします。と言いたいところですが、外に出ると冷たい風が吹き付け、草も音をたてて揺れています。小鳥は特に姿を見づらく難儀しました。
まずは日中にほとんどチュウヒが見られない事を体感しながら、探鳥ポイントの「ハイド」までお散歩。ここを塒(ねぐら)にするチュウヒは、昼間に妙岐の鼻の外へ餌を捕りに行ってしまうのです。
風が強い中、かろうじてホオジロやオオジュリン、アオジ、アカハラ、モズ、カンムリカイツブリなどと出会いながら進むと、稲敷大橋でイソヒヨドリを確認。餌を食べているミサゴも観察できました。
ハイドに到着。まあ予定通り(?)あまりチュウヒは見かけず、続いてハス田巡りへ。ここでは10羽ほどのタゲリや、すごい数のタシギが見られました。観察中、4羽ほどのタカブシギが急にしゃがんで固まりました。「脅かしてしまったか?」と思ったら、上空にハヤブサのペアが登場です。我々のすぐ上空で♀に受け渡された餌はツグミのようでした。
その後も♂は何度も田んぼへハンティング。成功はしませんでしたが小鳥がパニクっていました。例年よりかなりシギチの種数は少なく感じ残念ではありましたが、あんなに頻繁にハヤブサが訪れる状態では、いたとしてもみんな逃げていたでしょう。
ホオアカ、ヒバリ、ツグミたくさんを観察しながら進むと、ツメナガセキレイの声が聞こえました。いつものポイントではホシムクドリ3羽を確認、しきりに地上採餌していました。強風で寒くて手がかじかむし、望遠鏡はぶれぶれ。鳥を見る条件的には最悪でしたが、それでも上手に観察・撮影できました。
お昼ご飯休憩を挟み、近くの干拓地を軽く廻ります。それでも相変わらずものすごい風なので、湖のカモ類ポイント観察は断念しました。霞ヶ浦の湖面にミコアイサやホシハジロなどを見つつ、再びハス田地区へ。
10羽ほどのオジロトウネンとクサシギを観察中、群れでそれぞれ餌を採っていたオジロトウネンたちが一斉にこちらを向きフリーズ! 背中側の上空にはハイタカが旋回していました。お陰で可愛い姿をじっくり観察させてくれましたので、ハイタカには感謝ですね。泥と同じ色をしているオジロトウネン、クサシギ、タカブシギの背中は、動かなければカモフラージュばっちりなのを再確認。忍者ぶりを実感させてくれました。
さらにノスリ、チョウゲンボウ、バンなどを観察し、再び妙岐の鼻へ。チュウヒが塒入りに戻ってくる様子を観察します。目の前のヨシ原では、オオジュリンが群れで食事をしています。タヒバリが次々に塒入り、オオセッカはおやすみ前の鳴き交わしをしていました。すると嘘のように急に強風が止み、乱舞していたチュウヒが皆一斉に木々にとまり休息してしまいました。塒入りが見れずついていませんが、自然現象にはしたがうのみ。
結局、猛禽類の塒入りにも大きな変動はなく、チュウヒが20羽くらい、ハイイロチュウヒ♀タイプが1羽、コチョウゲンボウが2羽、オオタカJを見かけたところで我々の帰宅時間になりタイムアップ。その後、劇的に増えたのかはわからずじまいです。暖冬ですから繁殖地に向け帰り始めているのでしょうかねえ。
今回も少人数探鳥の利点を生かし、1日通して良い鳥との出会いがありました。
実はちょうどダイヤモンド富士が見られる設定日だったのですが、残念ながら雲があったため見られず。妙岐の鼻からのダイヤモンド富士は、ほとんど世に知られていない事ではないかと思っています。また来年の楽しみにしましょう。
【今回確認できた鳥達】
ヒドリガモ、マガモ、カルガモ、オナガガモ、コガモ、ホシハジロ、キンクロハジロ、ミコアイサ、カンムリカイツブリ、キジバト、カワウ、アオサギ、ダイサギ、コサギ、バン、オオバン、タゲリ、タシギ、クサシギ、タカブシギ、イソシギ、オジロトウネン、ユリカモメ、セグロカモメ、ミサゴ、トビ、チュウヒ、ハイイロチュウヒ、ハイタカ、オオタカ、ノスリ、カワセミ、チョウゲンボウ、コチョウゲンボウ、ハヤブサ、モズ、ハシブトガラス、シジュウカラ、ヒバリ、ヒヨドリ、オオセッカ、ムクドリ、ホシムクドリ、アカハラ、ツグミ、イソヒヨドリ、スズメ、ツメナガセキレイ、キセキレイ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、タヒバリ、カワラヒワ、ベニマシコ、ホオジロ、ホオアカ、アオジ、オオジュリン、ドバト