JTBという会社 ~PART1~

つむじかぜ158号より


昨日、日本国際観光学会の第35回「ツーリズム・フォーラム2007」でJTBの佐々木隆社長の講演を拝聴してきました。好機と考え、弊社のスタッフ6名を連れて行きました。普段の業務を離れて、広い視野で考えて欲しい。そんな主旨からです。

JTBは、2006年4月に15の会社に分社化し、JTBそのものは事業を行わない持ち株会社になっています。社員数が1万人を超える会社が、事業を分けて別会社で運営する。そんな難事業を、1年ほどの短期間社内議論で実行したその実行力に何よりも驚きます。

二つ印象に残った言葉がありました。
一つは、「マーケットに正対する」という言葉です。

JTBばかりではありませんが、旅行業界は、バブル崩壊後も右肩上がりの成長を続けていました。円高と航空券代金の大幅下落で海外旅行が大衆化を迎えたからです。ハワイをはじめ、パッケージツアーは、作りさえすればどんどん売れた時代です。

ところが、少し様子が変わって来ました。9.11で売上が落ちた後、戻らなくなったのです。その後、マーケットが変わったことを理解するのに3年を要したそうです。創業以来、一度も前年を下回った経験のない会社が、外的要因も無いのに売上が前年を下回る。これは、大変な衝撃です。実は、大きな地殻変動が起きていたのです。それは、「ニーズの多様化」という、他業界では、10年以上前に起きていた現象がいよいよ旅行業界にもやってきたのです。「そんなことは、分かっていたはず」と思われるでしょうが、渦中にいてその変わり目を自覚し、その変化に合わせて会社を変革していくことはもっと難しいことです。誰しも、まだ大丈夫と思いたがるものです。はっきり分かった時は遅いわけですが、殆どの会社は、手遅れになってからじたばたするのです。

私は、分社化実行以前に、佐々木社長の講演を聞きましたが、その時の衝撃を今でも覚えています。
(つづく)

★弊社代表取締役原優二の「風の向くまま、気の向くまま」は弊社メールマガジン「つむじかぜ」にて好評連載中です。

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