*つむじかぜ281号より
春と秋にそれぞれ5連休を設け、全国5つの地域別にずらして取得させるという「連休分散化案」が取りざたされている。混雑や交通渋滞の緩和、観光需要の平準化、ひいては、地方の活性化と雇用の創出が狙いだという。
とにかく、5連休が春と秋に必ずあるということは、私たち、観光業に携わる者としては大変ありがたい。昨年の9月のSWの連休には、この時期にしては嘗てない多くの予約を頂いた。毎年なら、こんな嬉しいことはない。
しかし、分散化は、失敗するような予感がしてならない。企業活動に弊害が生じることはもちろんだが、分散化は、日本人の習慣にそぐわないような気がするからだ。
分散化すれば、ホテルは、満室で断ることもなくなり、混雑もなくゆったり観光できるようになる。しかし、日本人は、夏の終わりの海水浴場みたいなところは好まない。とにかく、お花見のような賑わいが大好きで、ブーブー文句を言いながら混んでいるところを好む。混んでなきゃ感激も薄れてしまう。それくらい、孤独に静かな自分の世界を楽しむことは苦手だ。そんな日本人が、分散化を楽しめるだろうか。
そもそも、有給休暇をもっと消化するという話はどうなったのだろうか。年に一度は、有給休暇を一週間まとめて与える。このルールの方が、遥かに実行しやすいしありがたい。しかし、これでは、地方の活性化にはならないし雇用も生まれないから、今は、焦点が当たらない。
また、『みんなが休んでいるから堂々と休める』という、まさに日本人らしい心理がある。取引先が、営業しているから会社そのものが休めなくなる。良いか悪いかはともかく、現実はそうだ。旅行会社だから推進する立場なのだろうが、なんだか、日本全体が落ち着きがなくなっているような気がして、不安を感じているのかもしれない。
★弊社代表取締役原優二の「風の向くまま、気の向くまま」は弊社メールマガジン「つむじかぜ」にて好評連載中です。