*つむじかぜ294号より
8月に入ると、戦争を扱った番組が多くなる。最近は、ご自身の体験を話すことで、戦争の悲惨さを伝えたいと思う方が年々増えている。そのお歳を考えると至極当然のことと思う。私も、段々そんな気持ちが理解できるようになってきた。
8/3深夜に放送されていたNHKの「クローズアップ現代」でも、「戦場からのラブレター」と題して、「戦後65年たった今、日中戦争や太平洋戦争の最前線で戦った日本兵が、妻や恋人に書き送った熱烈な“ラブレター”の公開が相次ぎ、その内容に注目が集まっている」(クローズアップ現代のHPから抜粋)ことを取り上げていた。
放送の中で紹介された手紙には、「熱い熱いキスを君に贈る」。「今こそ告白します。僕は貴女が好きだ」。そんな言葉がごく普通に綴られている。結婚3年で出征したAさんは、70通以上もの手紙を奥様に送られていた。Aさんは、きっと奥様からの返事を待ちながら戦地で辛い毎日をすごしたに違いない。否。それが、支えだったに違いないと思う。Aさんが、戦死され、戻って来たお子様の手紙も紹介されていた。
戦地からの手紙の数は、最盛期には年間4億通をこえたそうだ。到底、全てを検閲することなどできるはずもなく、感情を吐露した手紙が、頻繁に前線の兵士と日本の家族との間でやり取りされていたという。
どうも、私の頭の中には、当時は、みんな自分の感情を押し殺して生きていたイメージがある。しかし、実は、ごく普通の感情を抱き、普通に悩んで生きていたんだと改めて感じさせてくれた。なんだか、嬉しいではないか。それが人間だと思う。抑圧されたまま「万歳」では悲しすぎる。
90歳を超えた女性たちが、今、若かりし日の恋文を公開する。これだけで凄いことだと、この日は、目一杯拍手したい気持ちになった。
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