「テクが、屋久島で溺れそうになったらしい。」テク(本名TEK BAHADUR GHARTI MAGAR)の故郷は、ネパールのポカラから西へ2日間行った山の村だ。先日、竹内洋岳さんが日本人初の8000メートル峰14座登頂の最後の山として登頂を果したあのダウラギリの麓になる。そんなテクが泳げるはずがない。いったい何があったんだろう。
テクは、毎年この時期に弊社が行っているNEPAL KAZE TRAVEL(NKT)のスタッフ日本研修で9/3に来日した。およそ、一ヶ月の研修を受ける。彼は、現在、NKTのポカラ支店で働いている。トレッキングガイドの資格も持ってはいるが、ポカラ支店での仕事は、お客様がカウンターに来られた場合の接客が主だ。
ところが、しばしば、ポカラから1泊ないしは2泊でミニトレッキングに同行したり、「はなのいえ」にご案内するうちに、彼が、鳥にかなり詳しいという話が、お客様から伝わってきた。風カルチャークラブの講師の方(弊社スタッフのお兄さん)にも彼にネパールで会ってもらったところ、「かなり勉強している。ちゃんとトレーニングを受ければ将来が楽しみだ。」ということだった。
そこで、今回、風カルチャークラブでお世話になっている屋久島野外活動総合センター(YNAC)に自然観察の実習をお願いした。そのテクが、10日間の研修を終え、昨日、屋久島から戻った。代表の松本毅さんが、9/21からビックサイトで開催される旅博参加で上京するのに合わせて東京の弊社まで送ってきて下さったのだ。
「溺れそうになったんだって。海で?」「いやいや、川ですよ。カヤックに乗って、初っ端で沈したんです。」松本さんが解説してくれた。本人は、「初めて。台風も、初めて。15日は、眠れなかった。」と、目を白黒させていました。でも「屋久島は、素晴らしい。緑もぜんぜん違います。綺麗!空気も違う。みんな優しい。親切。」と、屋久島がすっかり気に入ったらしく安心した。
松本さんが「彼は、観察力がある。一つ言えば、その先を推測して自分で動ける。なかなか凄いですよ。一番、自分がやりたいことを追求して、単に鳥の名前を教えるだけでなく、ネパールの生態系を文化、習慣、生活、とも関連付けながら解説ができるようになったらいいですね。」と褒めてくださり、期待を込めて今後にも触れてくださった。本当に、お世話になった。大感謝である。
確かに、ネパールには、インタープリテーションができるネイチャーガイドは、殆どいない。ただ、鳥の名前を教える。動物を数多く見せる。そういうレベルに留まっている。テクには、高いレベルを目指して欲しい。後、研修も2週間ほどだが、雲取山にも行く。この研修をネパールでどう活かすか。頑張ってほしいものだ。