衆議院選挙

つむじかぜ411号より

以前は、「どうなる?」とあれこれ考えながら選挙開票を延々と見ていたものだが、今は、開票が始まって30分もたてば、殆ど大勢は決してしまうから楽しむ暇などない。今回は、更にスピードアップされたような気がする。8時と同時に自民党圧勝の報道が流れ、あっという間に2/3くらいの議席が当確と報じられた。「もう、開票作業はしなくてもいいじゃないの」と家の息子たちが言うのにも納得してしまう。

開票速報は、事前の世論調査と出口調査、各陣営の票読みなどの取材で決まるそうだ。今回も、“自民圧勝の勢い”という世論調査の結果が戦前から報じられていたが、結果もまさにそのままだった。なんだか、投票前から結果が分かっているような事態に、「なんで、投票するのか?」と疑問すら浮かんでくる。

民放2社が、間違って当確を出したとも報じられた。謝って済ませるのだろうが、裁判にならないのだろうか。世界中で、こんな風に選挙結果がすぐに報じられる国は、あるのだろうか。私は、やりすぎだと思う。

安部総裁が、2007年の夏、参議院選で大敗を帰した時は、選挙開票がゆっくり進み、夜中までかかってやっと大勢が判明したが、その間、各政党の見解をあれこれ聞く時間があった。安部総裁の顔が次第に引き攣っていく様子がテレビにも映し出された。

今回の野田首相は、顔が引き攣る暇もなく、夜には、民主党代表の辞任を表明した。参議院選と政権維持に直結する衆議院選では性格が違うが、野田首相は、最後まで背筋が伸びていたように感じる。

落選した議員の秘書は、即、失職する。私の知人も今回失職した。これを機に引退されるそうだが、およそ、20年余り、黒子の世界に徹し苦労された。本当に頭が下がる。私も、あれこれお世話になったし、30年以上前になるがこの方が、私に電話をされてこなければ、違った人生になっていたかもしれない。

「やっぱり、地道にやらなきゃいけないねえ。絶頂期を迎えて有頂天になれば、必ず落とし穴がある。政権を取るということが、人の生き死にをも左右することなんだ、ということが心底から分かってはいなかったかもしれない」。とポツリ反省の弁を述べておられた。

我が身にもありうることだから、「気をつけろよ」と言ってくださったように思う。ゆっくり、休んでこれからの人生を楽しんでいただきたい思う。

★弊社代表取締役原優二の「風の向くまま、気の向くまま」は弊社メールマガジン「つむじかぜ」にて好評連載中です。

シェアする