金華山・黄金山神社 修復支援作業(2)

つむじかぜ425号より


金華山黄金山神社では、飲料水、風呂、洗濯、水洗トイレなどすべての水を神社内のダムに水を貯めてまかなっている。約15m四方、深さ6mくらいのコンクリートで固めたダムが2つ、3mほどの段違いで並んでいる。このダムが、3.11と同年の10月の台風で土砂に埋まってしまったのだ。(金華山黄金山神社のHPをご参照下さい。)

水が止まってしまっては生死に関わる。下のダムは、既に土砂が除かれていたが、上のダムは、水面から1mほどしか除けていない。上のダムの土砂を取り除くためには、水が入らないようにしなくてはならない。しかし、上のダムに溜まった水が下のダムに落ちる構造になっているため、上のダムに入る水を止め、水源から直接下のダムに水を引く必要がある。そのために、新しい水路を作る。それが、今回、私たち家族4人に与えられたミッションだ。

そんな難しいことが、50台後半の夫婦と大学生2人にできるはずがない。すると、お二人の強力な助っ人が登場。私たちはそのお手伝いをする、ということだった。お二人とは、3.11以来、たびたび支援に入っている福井県の技術専門学校の先生である上川さんと、この神社の総代の三上さんである。お2人とも、70歳位だろう。 体格は小柄だが、仕事振りは見事である。弊社のツアーも、しばしば、このお二人にお世話になってきた。

近い将来、上川さんは、アフリカに技術支援に行くことになっているそうだ。三上さんは、その仕事振りからして、きっと土建業のプロに違いない。「もう年金暮らしだからボランティアの方が来るのにあわせてこちらに手伝いにきているんですよ。石巻の仮説住宅に住んでいます。家は流されました。でも家族は無事だっただけ儲けもの。私は、鹿や猿が好きで、子供の頃からこの金華山で飛び回っていたんですよ」と当たり前のことのようにさらっとおっしゃっていたが、それが、東北人の強さというものだろうか。驚きを超えて、頭が下がる。

実は、権根宜の日野さんが、弊社の支援ツアーを受入の世話をしてくれているが、今回、私たちもお世話になった。日野さんは、私たちのような支援者が入ったときに、どういう作業をしてもらうか事前に考え準備してくれる。年のころは30台後半だろう。「こんな状態ですが、坦々とやっています」物静かな彼らしい言葉だ。時々見せる笑顔が周りをほっとさせる。

神主さんたちは、何故この神社に赴任したのだろうか。たまたま、風呂で一緒になった一番若い権根宜さんに少しだけ話を伺った。神社も、大抵は、家業を継ぐといった形が多いそうだが、そうでない人は、資格を取得後、派遣され大方はそこでずっと過ごすのだそうだ。その若い権根宜さんが8年目、日野さんは、15、6年、宮司さんは20数年、ここにおられるそうだ。

私には、到底、そんな静かで坦々とした生活はできそうもない。さあ、作業開始だ。まずは、水路を組むための単管パイプ運びからだ。長さ10m程の単管パイプを2人掛かりで坂道をゆっくり運んだ。(つづく)

★弊社代表取締役原優二の「風の向くまま、気の向くまま」は弊社メールマガジン「つむじかぜ」にて好評連載中です。

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