今年の1月から、「トラベルコちゃん」などの格安航空券を扱うポータルサイトは、航空会社のGDS(コンピュータ予約システム)と直結し、予約可能な航空券のみを表示させることができるようになったそうだ。ついに“おとり広告”ができなくなったというわけだ。
何故こうなったのか。「表示をみて旅行会社に問い合わせしたら、その席は既に満席で取れないが、3万円高い席なら取れると言われた。表示されているのに何故?」といった苦情が、ポータルサイトに、以前からかなり寄せられていたそうだ。そんなの、一部の不埒な旅行会社の仕業だろうと思いきや、ポータルサイトの信頼性を揺るがす大問題だという。
しかし、こういう詐欺まがいな行為をする旅行会社は滅多にない。どこの旅行会社も、実に正直に良心的に行っている。
ただ、掲載原稿の出稿あるいは、ネットなら情報入力時点で予約状況を記載しても、実際に掲載される時点、あるいは、消費者が広告を目にする時点とでは、タイムラグが生じるから意味がない。予約状況は、その時点で旅行会社に問い合わせて初めて判ることだっただけだ。
紙の雑誌の頃は、当たり前の事として通用したやり方は、インターネット社会では、ことごとく崩れていく。今や、ポータルサイトの航空券情報は、単なる料金表ではなく、予約が取れることを前提とした予約可能航空会社料金表になってしまった。
ならば、ポータルサイトで表示されている料金は、航空会社も自社のホームページで販売しているPEX運賃とおなじだから、ポータルサイトで航空会社間の料金比較をしてから、希望する航空会社のホームページで直接予約すればいい。そうすれば旅行会社に手数料を払う必要はない。
かつては、格安航空券は、旅行会社でしか扱わない航空券でしかも定価がなくて、予約が取れるか否かも旅行会社で異なっていた。しかし、もうそういうことはなくなった。航空券を扱ってきた旅行会社にとっては、この変化は、かなり厳しい。致命傷になるかもしれない。