先週の金曜日、ネパールから来ているホム・シュレスタを囲んでナマステパーティーを開いた。NEPAL KAZE TARAVEL CO.,Ltd.のトレッキングガイドのチーフをしているホムは、4年ぶり4度目の来日である。
25名のお客様にお越しいただき、大久保の駅近にあるネパール・エスニック料理「KB KITCHEN」で行われた。しばらくぶりにホムに会ったお客様も多く、「お久しぶりです!」というホムの明るい声が響いていた。私も、18:30頃には会場に入り、お客様とあれこれお話させて頂いた。
お客様の中に、去る2月、ネパールにご一緒したTさんがお見えになっていて、一冊の本をくださった。本の題名は『風の旅』(星野富弘著、学習研究社)である。Tさんは、星野富弘氏が怪我をされ入院されていた頃からのお付き合いだそうだ。「この題名だから持ってきてあげたよ」思いがけぬTさんからの贈り物をありがたく頂いた。
星野富弘さんは、1970年 群馬大学教育学部体育科卒業し中学校の教諭になったが、クラブ活動の指導中頸髄を損傷、手足の自由を失った。病院に入院中、口に筆をくわえて文や絵を書き始め、1979年、前橋で最初の作品展を開いた。1981年ご結婚され、現在も活躍中である。群馬県みどり市に“富弘美術館”がある。
「わたしは、少年の頃、この山をちょっぴり憎んでいました。父母のように土まみれ、狭い畑をかきまわしながら送る山の生活が堪えられなかったのです。お金や、地位など一見して幸せそうに見えるものが、山の向こうにあるように思っていたのかもしれません。「いつか・・・・、きっといつか・・・・」なんて見上げながら山を見上げていたのを覚えています。
その「いつか」がとんでもない方法でやってきたのは大学を卒業した年の6月でした。昭和45年、勤務先の学校の体育館での一瞬の出来事でした。(中略)私の「いつか・・・・」は、少年の頃夢見たような出世や、地位との出会いではありませんでした。自分の力だけで生きていると錯覚していた小さな私と、大きな愛との出会いだったのです。(『風の旅』の「はじめに」から抜粋)
星野さんは、私より10歳年上だから少し時代は違うが、田舎で暮らしていると山の向こうの世界を夢見て「いつか・・・・」と思うものだ。少なくとも私もそうだった。しかし、山の向こうに行ってみたら、夢なんてズタズタにされ、結局、負け犬のように縮こまってしまった自分を発見する。それに慣れることが大人になることだなんて思って生きていくのが普通である。
星野さんは、怪我をされたことで多くのことを失ったが、山の向こうで大きな愛と出会ったとは、なんと羨ましいことか。もちろん、前向きに生きたからこそ出会えたのだと思う。
今回、ホムは、台風で大阪でのナマステパーティーは中止になったが、東京では、皆さんに囲まれて幸せそうだった。彼も、必死である。何とかネパールにもっと来てほしいと2週間という短い時間だったが、精力的に営業して疾風のごとく駆け抜けてネパールに帰っていった。彼の思いに応えたいと思う。