トヨタ自動車は昨日10/14、長期の環境計画を発表し、「YOMIURI ONLINE 」がその概略を以下のように報じている。
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2050年までにガソリン車やディーゼル車をほとんどなくし、新車の二酸化炭素(CO2)の排出量を10年比で9割削減することが柱だ。水素で走る燃料電池車(FCV)の世界販売(15年は700台)を20年には3万台以上に引き上げる目標を掲げた。
計画は、トヨタとして初の長期方針で、プリウスのようなハイブリッド車(HV)の販売も20年までに現在より2割多い年間150万台に増やす。エコカーの普及を強化し、20年に販売する新車のCO2排出量を、10年より22%以上減らすことが目標となる。
工場から排出されるCO2も削減する。01年比で20年に半減、30年に3分の1に減らす。太陽光発電などの利用を広げ、水素エネルギーを活用する「水素工場」化も進めることで、50年には世界の工場で排出ゼロを目指す。
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いやはや、すごい目標である。全世界の石油メジャーは、苦虫を噛み潰しているにちがいない。もちろん、環境に対する世界の流れは、トヨタに味方するだろう。
ただ、そう単純な話ではない。VWの不祥事でディーゼル車に逆風が吹き、40Kmという燃費を誇る新型プリウスがどこまで売れるのか注目されているが、一方でガソリンの値段が下がっているので、プリウスの節約効果が薄れ販売が鈍っているとも言われている。環境への配慮だけでみんながプリウスを買うかといえば、そうはいかないのが現実だ。
また、プリウスは、ブレーキをかけることで発電する仕組みだから、日本の街中を走ると燃費効果が遺憾なく発揮されるが、信号もあまりなく、渋滞もしない国や地域では、プリウスの燃費効果が下がり、高価なプリウスはあまり人気がないそうだ。
ところで、モンゴルで今一番売れている車はプリウスだということをご存知だろうか。政府が税の優遇措置を設けて奨励しているそうだ。確かにウランバートルの街では、プリウスが目に付く。最近、ウランバートルの渋滞は慢性的にかなり酷いから、ブレーキを踏む回数が多くプリウスに向いているのかもしれない。
しかし、ウランバートルから少し郊外に出たり、草原に行ったら、まったく不向きであるに違いない。やはり、モンゴルの草原を走るのは、ロシア製のジープやランドクルーザーである。プリウスは、どこか都会的なイメージである。それでも、環境に配慮する政策であるなら歓迎である。
2050年は、今から35年後だから、私はこの環境計画実現を確認することは出来ないだろうが、社会環境が整えば十分可能な目標だと感じる。自社の技術力への圧倒的な自信が背景にあるのだろうが、こんな目標を掲げられる企業に心底驚嘆してしまう。
逆に、私たちにできることはなんだろうと考えさせられる。旅は人を変える力がある。人間と深く関わるそんな仕事のあり方を模索していきたい。