還暦

*風のメルマガ「つむじかぜ」591号より転載

社員から還暦を祝ってもらった。とても嬉しいのだが照れくさい。赤いちゃんちゃんこを着て写真に納まる。ただでさえ写真を苦手とするのに、もう照れくさくてどんな顔をしてよいか判らない。しかし、何はともあれ、還暦まで無事に過ごして来られたことに素直に感謝しなくては罰が当たりそうである。

世間では、まだまだ60歳定年が主流だから、同級生の連中で仕事から離れて次の人生を歩み出した者も出てきている。羨ましいとも思うし、仕事を離れた自分に何ができるのかと不安にもなる。

自分が平均年齢まで生きるとしたら、後20年。90歳まで親父は生きたから、そこまで考えると、後30年。いやはや人生のまだ2/3が終わったにすぎない。後30年も生きるのかと思うと茫然としてしまう。

先日、ある70歳を超えたAさんと食事をした。Aさんは、ご自身で会社を経営されており現在も仕事を離れることはない。旅行も大好きな方で、弊社のツアーにも何回も参加くださっている。

そんなAさんが「生きるのに飽きちゃったよ」と笑いながら仰っていた。仕事もそれなりに成功したし、やりたいこともやった。十分満足したということらしい。なんとも羨ましい話だ。私は、まだまだ、とてもそんな境地にはなれないし、日々、仕事に追われ生活に汲々としているから別世界の話にしか感じない。それどころか、果たしていつそんなことが言えるようになるのか皆目見当がつかない。

昨日、Aさんと同じくらいの年齢のBさんと食事をした。若いころから陸上をされていて、先日の大会ではシニアの部で金メダルを取られたらしい。なんでも種目は短距離だそうだ。この方もいくつかの会社の社長をされ、今は引退しているが、地方再生のお手伝いもしていて、大変忙しく過ごされている。

Aさんも生きるのに飽きたなどと言いながら、現役で仕事をし、まだまだ海外旅行にも頻繁にお出かけになる。Bさんは、短距離だけじゃなく5種競技の大会にも出ると張り切っておられ、観光で地域おこしをしようとする自治体が益々増える中、全国を駆け巡っている。

なんだか、私が一番くたびれている。先日、ブータンへ添乗し、タクツァン僧院に登ったが、体力的に結構きつくて情けない思いをした。体を鍛えるのは難しいが、せめてもう少し体力をつけて維持したい。それが、10年後、70歳になっても元気に過ごせる秘訣に違いない。


★弊社代表取締役原優二の「風の向くまま、気の向くまま」は弊社メールマガジン「つむじかぜ」にて好評連載中です。


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