人工知能

*風のメルマガ「つむじかぜ」596号より転載


2016年のツーリズムEXPOが先週行われた。インバウンドに大きな関心が集まる中、私どものような海外旅行を専ら扱う会社は、なかなか元気が出ない。

そんな中で、旅行産業経営塾が「AI 人工知能と旅行産業の未来について」という興味津々のシンポジウムを行った。講師には、公立はこだて未来大学副理事長・松原仁教授とHEROZ株式会社代表取締役・林隆弘氏を招いた。

※参照 ツーリズムEXPOジャパン・シンポジウム+懇親会

どんな話になるのか予想がつかなかったが、面白そうだと直感できるのか事前の申し込みで定員一杯になった。まさに時機をえたテーマである。松原教授は、そもそも人工知能とは何かという問いから講演を始められた。

「昔は、ワープロのかな漢字変換も人工知能と呼ばれました。ですから、時代によって違うんです。でも、キーポイントは、人間らしいことができることなんです。今は、人工知能にとって第三次のブームです。以前は、期待はしたものの、なんだ大したことはできないじゃないか、で終わりましたが、今回は少し様子が違います。どうもこのままブームではなく定着しそうな雰囲気が出てきました」

「将棋は、もう人口知能の方が人間より強いということになってきたし、まだ、10年くらいはかかるだろうと言われていた囲碁も、グーグルがその資金力にものを言わせて買収した会社の人工知能AlphaGo(アルファ碁)が、韓国のプロ棋士イ・セドル氏に勝ってしまったんです。まだ10年くらいは、AIを扱う学者として碁のことを書けば飯が食えると思っていましたが、ダメになってしまいました」

会場はどっと笑いに包まれたが、こんな趣旨の話を、最初の10分くらいでされた。このお二人は、将棋の人工知能Bonanzaに係わっておられ、林氏の会社には、そのBonanzaの設計者もいらっしゃるとのことだった。だからつい将棋の話に力が入る。

人工知能を使ってどんなことができるのだろうか。

林氏が、「今は株の売買は人工知能がやっています。弊社も野村証券と一緒に仕事をしています。絶対に人工知能の売買には勝てません」といった衝撃的なことを仰っていた。株は、負ける人がいて勝つ人がいる。人口知能がやる割合が増えていけば、いったい誰が負けるのだろうか? 私は、ついそんなことを考えてしまう。観光への応用は、一定の条件下で次の選択のアドバイスをしてくれる。そんな利用法が出された。

私には、関係のない未来の話などと思っていたが、AIの世界は、もうそこまで来ている。日本でも自動車の自動運転は、責任問題などの制度的な問題は残っているが、技術的には既に可能だそうだ。Pepperくんのようなロボットが家庭に定着し“家族”の一員になっていく日も近いのかもしれない。「え~!」と思わないでこういう世界と共存していくことが求められているようだ。でも、Pepperくんなら家に一台(一人?)あっても(いても)いいと思う。


★弊社代表取締役原優二の「風の向くまま、気の向くまま」は弊社メールマガジン「つむじかぜ」にて好評連載中です。


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