*風のメルマガ「つむじかぜ」603号より転載
日立製作所が11/15 「レンズレスカメラ」の技術を開発したと発表した。米国に先例はあるが日本では初めてで、特殊なフィルムを画像センサーに貼るだけの構造で、フィルムが起こす光の干渉の具合を元にパソコンの画像処理で像を再現する。画像処理によって、撮影後でも写真の焦点を自由に変えられるという。
カメラを大幅に小さくし、その上安くつくれる。レンズを使わないことで、デジカメやスマートフォンのカメラの光を読み取る部分の厚みを、通常の数十分の一程度にできる。フィルターの価格もレンズより大幅に安く、量産しやすいという。2年後の実用化を目指す。(以上、11/15付け 朝日デジタルの記事の要旨)
米国に先例があることも知らなかったが、また一つ職人技が消えるのかと思うと淋しい。世の中からカメラレンズがなくなる。そんなことは俄かに信じがたい。しかし、技術の進歩は際限がなく、望遠や広角レンズまでフィルムに取って代わられるのかもしれない。
最近、カセットテープの音の柔らかさが若者の間で人気が出ているという。しかし、レコード針、レコード、カセットテープは、デジタル化という技術革新によって、既にほぼ姿を消している。残ったのは一部のマニア対象の市場だけだ。職人技は、こうしたニッチ市場になった世界で細々と残るにすぎない。
リアル書店が、この20年ほどで10,000社近くが姿を消した。現在は約14,000社弱。もしリアル書店がこのまま減少すれば、日本の出版文化そのものが危うくなる。日本人は、本を読みたければ自国語で殆どの本が読める。自国著者の本ばかりでなく翻訳本も桁外れに多い。東南アジア、南アジア諸国にいけば自国語で書かれた本はとても少ない。だから一般には新聞は読んでも、本を読む習慣があまりない。出版文化とは、日本人は、出版物が溢れていることが当然すぎて、その価値を感じていないが、実はとても貴重で国の根幹をなすと私は思う。それが危うくなるということは、国が揺らぐ。
旅行業界では、グーグルが何時旅行業に参入するかが話題となっている。グーグルマップでホテルなどの情報は既に表示されている。あとは予約ができるようにするだけだから技術的には何ら問題はない。しかも、グーグルは、ホテルからもコミッションは取らないのではないかと言われている。何故ならグーグルの狙いはそんなコミッションで収益を上げるところにはないからだ。もしこれが本当なら、現在、ネットでホテルや航空券を販売している会社(OTA)のビジネスモデルは総崩れとなる。そればかりか、旅行業そのものの存在すら危うくなる。
ネット社会の変化速度は、今後、急激に上がっていく。下手をするとあっという間に大波に飲み込まれてしまう。大波に対抗する波はつくれないが、波にさらわれないように根をはらなくてはならない。さあ、何をどうする。
★弊社代表取締役原優二の「風の向くまま、気の向くまま」は弊社メールマガジン「つむじかぜ」にて好評連載中です。