准高齢者

*風のメルマガ「つむじかぜ」609号より転載

還暦を過ぎてそろそろ働き方を変えようなどと考えていたところ「還暦なんてまだまだ、あと15年は働けるぞ!」と頭を殴られたような衝撃を受けた。上り寸前のすご六で“元へ戻れ”の目を振ってしまったような気分にさせられた。それでも、「准高齢者」という言葉には大いに違和感を感じたが、以下の報道を歓迎したい。

日本老年学会は、現在、前期高齢者とされている65~74歳は、10年前に比べ身体の働きや知的能力が若返っているとみられ、活発な社会活動が可能な人が大多数だとして「准高齢者」に区分するよう提案。社会の支え手と捉え直すことが、明るく活力ある高齢化社会につながるとし、高齢者とは75歳から89歳、90歳以上は超高齢者としたらどうかと提案した。(1/5付 日本経済新聞より要約)

どうせなら「准高齢者」などという呼称も止めて欲しいものだ。ただ、同学会は 内閣府の意識調査でも、65歳以上を高齢者とすることに否定的な意見が大半で、男性は70歳以上、女性は75歳以上を高齢者とする回答が最多だったことも考慮したそうだが、お年寄りの心身の健康に関するさまざまなデータを解析。身体の働きや知能の検査結果、残った歯の数などは同一年齢で比べると年々高まる傾向にあり、死亡率や要介護認定率は減少していることに基づいて提案したのだそうだ。(前出の本経済新聞の記事より)

戦後の食糧事情の改善やその後の生活の質の向上、医療の進歩等によって、たった10年間でも、こんなにも「高齢者」の肉体が変化したかと思うと衝撃的だが、弊社のお客様を拝見していても確かに頷ける。皆さん元気で若い。

団塊の世代が75歳を超えることで、消費市場から退場していくことが予測される2025年問題を憂慮していたから、問題が10年くらい先送りされたような気分になった。特に 海外旅行は75歳を超えると急激に国内旅行に代わっていくと言われている。弊社のお客様も、団塊の世代の方々が結構いらっしゃるので、なんだか少し救われたような気がする。75歳を超えても、大いに海外に出かけていただきたい。

しかし、反面、「おいおい75歳まで働けってことなのか? 年金受給開始年齢が70歳になったりしないだろうな?」という心配もしてしまう。75歳まで働いたら、第二の人生を楽しむ時間は殆どなくなってしまう。健康でなければ、自由になっても楽しめない。65歳から元気に第二の人生を楽しむということでいいのではなかろうか。「社会の支え手と捉え直す」というのはいかがなものだ。少々“過酷”すぎるではないか。

もちろん働きたい人もいるだろうし、働かなくてはならない人もいる。だから、准高齢者が働きやすい環境を整えてほしいが、75歳まで働くのが当然といったような風潮になるのは勘弁してほしい。みなさんは、どうお考えでしょうか。


★弊社代表取締役原優二の「風の向くまま、気の向くまま」は弊社メールマガジン「つむじかぜ」にて好評連載中です。


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