*風のメルマガ「つむじかぜ」613号より転載
中野の駅前商店街「サンモール」に最近、店外に行列ができる店が登場した。新しい店ではない。私が中野で会社を始めた時にはあったから、かれこれ25年以上は経っている。なんと“ロッテリア”である。
「世界でここだけ!コアラのマーチ焼き」という看板が掲げられ、専用の販売窓口を路面に向かって作って1月23日から販売を開始したらしい。
以前も書いたが、弊社の中野事務所と中野駅の往復に、私はこのサンモールを通るようにしている。なんとなく世の中の景気動向とまではいかずとも、世の流れの変化を感じ取ることができるからだ。何よりも、活気があって元気になれるのがいい。
突然、店外に行列ができたこのロッテリア現象が不思議でならなかったので、少し調べてみた。“コアラのマーチ焼き”は、以前は錦糸町のロッテホテル1Fにあった“シャルロッテチョコレートファクトリー”で販売されていたが、閉店に伴い、中野に引っ越してきたというわけだそうだ。確かに、今は、この中野のロッテリアにしか売っていないのだから偽り広告ではない。
引っ越しのために、中野のロッテリアは一時閉店し、店を改装して専用カウンターを設けて販売を開始し、見事に行列のできる店に変身してみせた。
コアラのマーチの形をした人形焼きを想像してほしい。ガーナミルク・カスタード・あずきの3種類。特に話題になっているのが、“ガーナミルク”。溶かしたチョコをアンにするのではなく、チョコレートをそのまま割って入れている。その食感が珍しいと、これまたまた話題になっている。
そんなに売れるなら日本中のロッテリアで売ればいいのにと思うが、それではこのような話題にはならないし行列もできない。わざわざコアラのマーチ焼きを買いに、電車賃を払ってまで沢山の人が中野へやってくるというのだから、中野市役所の“観光課”から表彰されてもいいくらいである。
「モノは、売りすぎてはいけない」とよく言われる。希少性も商品の価値とするのはマーケティングの一手法である。しかし、コアラのマーチ焼き自体は何ら貴重なものではなし、いくらでも大量生産が利くはずだ。なのにあえて、売り方を限定して希少価値をつくっているように思えるが、それが消費者に長く受け入れられるものだろうか。お客様を並ばせることがいいのかといえば、本来は違うように思う。
“コアラのマーチ焼き”は一個150円だそうだ。20~30分並べば買える。半年後にどうなっているか注目である。
★弊社代表取締役原優二の「風の向くまま、気の向くまま」は弊社メールマガジン「つむじかぜ」にて好評連載中です。