*風のメルマガ「つむじかぜ」617号より転載
ネパールは、ここ10年近く過度の停電に苦しんできた。酷いときは一日16時間を越える停電に見舞われ、どこのホテルも自家発電を余儀なくされ、個人の家庭でも大容量のバッテリーを備え置かなくてはならなかった。
そもそも、それ以前は殆ど停電がなかったのに、何故急に10年ほど前から停電が激しくなったのか私は不思議に思っていた。電気を使う機会が増えたとはいえ、製造業者などが一挙に開業したわけでもないのに疑問だらけだった。
なんと、その停電がここに来て無くなったのである。2/26~3/4まで一週間、お客様とネパールへご一緒したが、時々強風が吹くとその間だけ電気が止まったものの、本当に計画停電は嘘のように消えてしまったのである。
新しく発電所ができたわけでもないのに不思議に思って、NEPAL KAZE TRAVEL Co.,Ltd.の社長のプリスビーに訊ねてみたら、なんともネパールらしい答えが返ってきた。電気行政を担当する大臣が代わり、今までの配電の仕方を見直したところ、電気は十分に足りていることが分かったというのである。
ご一緒したお客様の中に電気に詳しい方がいらして、「電気は、発電・送電・配電の3つの要素がありとても難しい」と解説してくださった。しかし、難しかったからではなく、どうも行政の担当者が特定の企業に配電を優先させた汚職が絡んでいたようで、現在裁判になっているそうだ。
ネパールらしいというのは大変失礼な言い方である。日本だって似たようなものだ。否、福島の原発事故のことを思えば日本の方が罪は深い。
それにしても電気は来てもカトマンズの信号は一向に動かない。信号が動かないから渋滞が酷いとは言わないが、何とかならないものかと思う。それでも、あれこれカトマンズの街は改善されつつある。その一つが水の供給である。
電気と同じように、これまた長年にわたってカトマンズは水不足に苦しめられてきた。乾季にはタンク車から水を買わないといけない生活が続いてきたのだ。今、それを解消しようと上水道を整備する工事がカトマンズ市内のあちこちで行われている。そのせいもあって、砂埃は酷いし渋滞も益々激しくなっている。それでも、我慢すれば水不足は解消されるだろう。
ネパールは、とても魅力的な国である。人々は穏やかで心優しい。ヒマラヤを有する自然の豊かさは世界に類を見ない。政治さえもっとしっかりすれば、観光立国としてもっと豊かになれるだろう。人々もっと笑顔で暮らせるにちがない。
政治をよくするためには、現在、海外に出て“成功”している中堅どころのネパール人たちが国に戻ってその責任を果たすべきだと私は思う。
前出のプリスビーは、自国で踏ん張ってがんばっているネパール人の一人である。「まだまだ、がんばりますよ」そう語るプリスビーは気力がみなぎっている。50歳を超えれば、ネパールではそろそろ引退の域に入るのだが大変嬉しいことだ。まだまだ頑張ってほしい。
★弊社代表取締役原優二の「風の向くまま、気の向くまま」は弊社メールマガジン「つむじかぜ」にて好評連載中です。