*風のメルマガ「つむじかぜ」619号より転載
京都の町屋を改修して宿に転用する。そんな動きが最近活発だ。インターネットで検索すればいくつも町屋に泊まるプランが出てくる。
「ホテルに宿泊するよりもリーズナブルに、京都に暮らすような体験ができる町屋ステイは、日本人だけでなく最近は外国人観光客にも人気です。伝統的で美しい佇まいはそのまま残し、水回りやリネンは過ごしやすく快適に設備が整えられていています。一人旅にも、友人同士の旅行にも、カップルや夫婦での旅行でも、ゆったりと過ごせる町屋で京都の風情を感じながら過ごしてみませんか?」
(TRAVEL BOOKホームページより)
京都で暮らすように過ごす旅へ。京町家1棟貸しの宿。京町家の宿は1日1組限定の京町家貸し切りの宿。京都市内に個性豊かな京町家が29棟点在しています。
(株式会社京町家の宿のホームページより)
そもそも町屋とは、店舗と住居を兼ねた建物で通りに面していて木造の比較的大きな建物である。京町屋(京町家とも書く)が有名だが、川越など全国にある。2010年の京都市の調査では約47,000軒が残っており、そのうち10%が空き家だそうだ。
私の知人が、その町屋を使って「旅館」を昨年6月に始めた。とは言っても改修するより新築にした方が安上がりだったそうで、「町屋風旅館」というのが正確だ。
訪日外国人が増えていることを反映してか、利用客は外人が半分以上だそうだ。宿泊料金は、ホテル方式で一部屋15,000円から20,000円程度。複数で泊まれば割安である。朝食付きで夕食は出していない。部屋数は4畳半と6畳の2種類で全部で7部屋。実にこじんまりしたものだが、稼働率は90%を超えるというから立派である。
日本の旅館は、夕食付で1人20,000円といったような料金設定だが、これは、日本人客は1泊しかしないということを前提にしたシステムだ。江戸時代の宿場町の旅籠は原則1泊しかできず、次の日は旅立たねばならなかったが、その名残かもしれない。このシステムは外国人にはとても使いにくい。
国籍で宿泊日数も違うそうだ。日本人は土曜日の1泊、台湾、韓国人は2泊、中国人は3泊、欧米系は5~6泊という傾向があるという。この宿の前に銭湯があるので、 その入浴券をサービスでつけているそうだが、なかなか外人には銭湯は敷居が高い。番台までついていきシステムを説明し、時には、脱衣場まで入って教えたりするそうだ。
あまりしつこくなく、つかず離れずで気遣いが感じられる。そんなサービスを心掛けているという。もっと若ければ「頑張っちゃうかも」と笑って言っていたが、今度1度泊まってみたいものである。でもやっぱり1泊になりそうだ。
★弊社代表取締役原優二の「風の向くまま、気の向くまま」は弊社メールマガジン「つむじかぜ」にて好評連載中です。