支付宝(アリペイ)

*風のメルマガ「つむじかぜ」664号より転載

中国人が日本で住むようになって最初に買うものは「財布」だという。久々に故郷に帰った中国人が、日本の携帯電話しか持っていなかったので買い物ができず困ってしまったという。笑い話のような笑えない話である。

もはや中国では現金をほとんど使わない。では何を使うのか。中国では現金は偽札も多く信用度が低い。クレジットカードはセキュリティーや手数料の問題で浸透せず、デビットカード型の決済が成長した。その代表格が支付宝(アリペイ)である。

以下WORKING IN ASIAのサイトより抜粋

(1)手数料が無料 
(2)なんでも決済できてしまう(電気、ガス、インターネット代金、携帯代へのチャージ、タクシー代金、航空チケット、海外送金などなど、日常生活で必要なサービス代金すべて)
(3)お財布携帯機能「当面付」( 金額を入力して近づけるだけ)

ここまでなら日本にもあるサービスですが、ここからがすごい!

(4)友人や知人への送金もできる「转账」(支付宝の初期設定では携帯番号が口座番号代わりになっています。そのため相手の携帯番号を知っていればその人に代金を振込むことができるのです)
(5)割り勘支払いもできる「AA收款」(中国語では割り勘を「AA制」と言いますが、金額を設定すると友人に請求が届くのです。相手はそれを承認すれば支払いが完了)
(6)利息が良すぎる預金サービス「余额宝」(支付宝にお金をチャージして「余额宝」に預けるだけで「年率5.23%」の利息がもらえるという驚きのサービス。元金保障でノー・リスク。預金最低1元(20円)から行うことができるしいつでも解約できます)
(7)チャージも簡単、ネットバンキングで一瞬チャージ「快捷支付」(「快捷支付」というサービスを使うと中国国内の銀行口座からリアルタイムに支付宝にチャージができます。自分の銀行口座にお金を戻すのも簡単便利!)

いやはや便利である。決定的なポイントは、事前にチャージして決済する仕組みだ。

クレジットカードは、決済時点では銀行残高に関係なく決済できるから、後で決済不能というケースも出るが、このやり方ならその心配はない。中国でアリペイが受け入れられた最大の理由だろう。

もう一つのアリペイの凄さは手数料が無料ということだ。弊社とて、クレジットカード会社に、多額な手数料を毎月払わなければならない。正直、嫌気がさしている。

かといって振り込みにすれば銀行へ振込手数料を払わなければならない。アリペイはまさにクレジット会社の世界支配に根底から反乱を起こしたようなものだ。中国だからできた仕組みといえよう。日本も、これは見習った方がいいと思うが、果たしてどうか。何が何でもこれを阻止する勢力が山ほどいるような気がする。


★弊社代表取締役原優二の「風の向くまま、気の向くまま」は弊社メールマガジン「つむじかぜ」にて好評連載中です。


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