*風のメルマガ「つむじかぜ」699号より転載
ボージョレヌーボーが今日解禁になった。ワインは好きだが、ボージョレをいち早く飲むことにあまり興味はない。それに、そんなに美味しいとも思えない。ライトな感じで飲みやすいとは思うが、渋めのワインが好きな私には合わない。日本では、バブル時代に空輸して話題となりブームに火が付いたようだが、どうもマスコミに踊らされているような感がする。
今朝のNHKニュースでは、ボージョレの話題を前振りに使い、最近、人気が急上昇している「日本ワイン」のことを取り上げていた。白ワイン用の葡萄「甲州」を使って、世界でも権威のある品評会で賞を取るようになり、そのおいしさが益々評価されているというのである。
国税庁が告示している「果実酒等の製法品質表示基準」(日本版ワイン法)では、国産ワインと、日本ワインを明確に分け、日本ワインは、国内でとれた葡萄を100%使っているものと規定された。したがって、輸入したワインを混ぜたら日本で作っていても日本ワインとは名乗れない。これが、2018年10月30日に施行された。
先週、勝沼のワイナリーに研修で出かけた。社長さんが熱心に今のワイン造り事情を話してくださった。「困ったもんです。今、日本で取れる葡萄は一定量に限られているのに、こんな規定を入れたら原料が値上がりして、日本ワインの値段はどんどん上がっていきます。うちも来年は値上げしないと持ちません。輸入ワインを混ぜても味には関係ないんです。作り手としては、安くておいしいワインを楽しんでほしいのに値段がどんどん上がっていってしまいます。参りますよ」と繰り返し愚痴られていた。
山梨県では葡萄を作るのに適した土地は限られていて、今はもう葡萄畑を増やせないそうだ。作り方も棚方式じゃなく畝方式にすれば糖度は上がっても収穫量が落ちる。そのうえ最近人気のシャインマスカットは、ワイン用の葡萄よりもっと高く売れるから、そちらに切り替える農家も増えているのだそうだ。
いやはや事情は色々あるものだ。単純に、日本のワインが美味しくなったと喜んでいたが、そういう理由で値段が上がるのは困ったものだ。ワインはもともとフランスでも大衆的な飲み物。安いワインをみんな楽しんでいる。勝沼では一升瓶のワインが結構売れている。映画「自転車泥棒」はイタリア映画だが、あの丸くて大きな瓶を思い出す。
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