*風のメルマガ「つむじかぜ」711号より転載
電車の中で英語のアナウンスが流れるようになったのは、もう随分前からである。大抵は録音であろう機械的な声のアナウンスだが、日本人とは思えない奇麗な発音である。私が毎日利用する西武線は、ネイティブなアメリカ英語で放送される。聞き取りが苦手な私には、少々分からなかったりするくらいだ。
1月に大阪へ行ったとき、新幹線の中でも英語のアナウンスが流れるようになったことに気がついた。何故かというと、抑揚のない日本人英語が聞こえてきたからだ。私には分かり易いが、この発音じゃあ英語圏の人にはどうだろうか、と心配になった。英語のことで他人のことをとやかくは言えないのだが、車掌さんが手元の原稿をみて棒読みしているとしか思えなかった。
先日、ある旅行会社の集まりでこの話が出た。気になっていたのは私だけではなかったのだ。その中に、JR系の旅行会社の方がいて、「あれでも何もしないよりはましですよ。一歩前進です」。確かにそうだ。
それにしても、私も含めて、多くの日本人の英語は未だに“THIS IS A PEN.”の世界である。最近は、小学校にも英語学習が導入されたというから、今にきっと日本人も流暢な英語をしゃべるようになるかもしれないが、教育現場の刷新は容易ではないということだろう。
ところが別日、車両故障の影響により新幹線が新横浜駅手前で50分ほど止まってしまった際、その状況説明を車掌さんが英語で行ったのには驚いた。日本語に比べて簡単な案内だったが、単に棒読みしているわけじゃあないのか、と妙に感心してしまった。今に、車内アナウンスなどはAIが行うようになるのかもしれないが、訪日外国人の増加によって日本の街中が多言語化していくのはよいことだ。
考えてみれば、新幹線の中には英語のわからない中国人や韓国人の方が多かろう。英語だけの外国語アナウンスでは実情にそぐわないような気がする。私などは、AIによる自動翻訳機、自動英会話アプリに頼ってでも、コミュニケーションを図れればそれでよいと考えてしまうが、“怠惰じゃいけない”という思いもある。
まだまだ、人生勉強が必要である。
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