*風のメルマガ「つむじかぜ」715号より転載
ウィーンにきている。人口約180万人。とても綺麗な街だ。世界遺産に登録されている中心街は旧市街地の「1区」で、一周およそ4kmのRingと呼ばれる円環状の道に囲まれている。殆どの観光場所はこのRing周辺にあるため、リングロードを走っているトラムを使うなどすれば、観光バスすら要らず歩いて回れてしまう。実にコンパクトである。
リングロードは嘗ての城壁である。キリスト教世界が対イスラム教、即ちオスマントルコの侵入を防ぐために築いたものだ。ウィーンは、ヨーロッパの東端に位置する橋頭堡だったのである。
建設当時は城壁の外500mまで人が住むことを禁じていたが、1857年、皇帝フランツ・ヨーゼフが新都市計画を決めた結果、城壁は取り壊され、一挙に更地の広大な建設用地が出現した。Ring周辺の建築物はその時のわずかな期間で建てられた。ウィーンは、これによってヨーロッパを代表する都市に発展した。
それにしても、道路に全くゴミが落ちていない。綺麗で気持ちのいい街でもある。1区の周りに時計回りで「2区」~「9区」が配置され、更にその周囲に「10区」~「23区」がある。米国のある格付機関が発表する住み易い街ランクで堂々の一位を獲得しているそうだ。
「大きすぎず小さくもない。物価もそんなに高くはない。街からすぐ近くにウィーンの森と称されるような緑がある。」この日案内してくれた女性ガイドは、住み易さの理由をそう説明してくれた。
オーストリアの人口は約870万人で東京にも満たない。面積は北海道ほどで、西南部はアルプスが張り出している。かつては、ハプスブルク帝国の帝都であり、栄華を極めた。
ところで、ハプスブルク家とは何か。世界史にでてくるから、名前は知っているが、その実情は今ひとつ把握できない。今日は、ザルツブルクへ移動する。モーツァルトの生地である。
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