*風のメルマガ「つむじかぜ」730号より転載
先日、長男が久しぶりに帰省した。正月でもないのに、どうして急に戻ってきたのかと訝しく思っていたら、大学時代の友人と屋久島に行くからレインウェアーなどを借りに来たとのことだった。
それでもワインを飲みながらゆっくり話すことができた。何故かは忘れたが、今やっている朝ドラ「なつぞら」の話になった。長男は、昔から絵をかくのが好きでアニメの世界にかなり詳しかった。
このドラマは、日本のアニメ界の歴史を辿るもので「東洋動画」は「東映動画」のことで、主人公「なつ」のモデルは、東映動画のアニメーター奥山玲子であり、東洋動画チームリーダーの下山克己(お笑い芸人・川島明)は高畑勲と宮崎駿を育てたアニメーターの大塚康生、坂場一久(俳優・中川大志)はその高畑勲で神地航也(俳優・染谷将太)は宮崎駿がモデルになっているというのだ。長男は、そんな説明にアニメ界のエピソードを交え、楽しそうに話してくれた。
昨日、神地航也(俳優・染谷将太)が初登場したが、流石に宮崎駿だ! と私の頭の中は、すっかり神地航也=宮崎駿になってしまい、その登場の仕方が衝撃的であった。イメージが次々と沸いてきて、それをすぐに絵コンテにしてストーリーをあっという間に組み立てていく。大沢麻子(俳優・貫地谷しほり)が「アニメーターは絵をかくのが仕事。話を作るのは仕事じゃない!」と怒るのだが、その滑稽さを才能をもった新人たちの勢があっという間に飲み込んでいく。いやはや楽しい。
もう一つ。もう随分前に番組の中で帯広の菓子屋「雪月」のバターせんべいが出てきたときに、その缶の入れ物の模様を見て、「あれ? どこかで見たような?」と思ったのだが、六花亭のマルセイバターサンドの包装紙の模様にそっくりだと気が付いた。雪月とは六花亭のことだったのだある。
前回の「まんぷく」も、日清食品の創業者・安藤百福とその妻・仁子(まさこ)をモデルにした立志伝だったが、今回はアニメ界の立志伝というわけだ。もちろん随分脚色されているから、実話とは大部違うが、私には、昭和のあの感覚が懐かしい。人は努力し頑張れば報われ夢はきっと叶う。世の中は、発展しどんどん良くなっていく。まさにそんな雰囲気だった。いったい何時から、世の中ははこんなに複雑になり始めたのか。
こういうドラマが今の時代に登場するのはなぜだろうか。牧歌的な時代への郷愁か? それとも、再び上昇気流が吹いてきたのだろうか。いずれにしても、若い人たちが前のめりで夢中になれる、そんな時代であってほしい。
★弊社代表取締役原優二の「風の向くまま、気の向くまま」は弊社メールマガジン「つむじかぜ」にて好評連載中です。