*風のメルマガ「つむじかぜ」740号より転載
靴の底がついに剥がれてしまい、先々週のはじめに修理へ出した。10日ほどして出来上がったと連絡があり、先週末に取りに行った。すっかり自分の足に馴染んだ上部の使い込んだ革に比べ、新品の靴底がピカピカだ。実は、5年ほど前に同じ修理をしてもらった。2回とも靴底全体をVibramのソールに張り替えたが、修理代は今回が14,000円。たしか1回目は12,000円だったと思う。
ビジネス用ではなくカジュアルな靴で、確か4掛けで25,000円ほどで10年くらい前に買った。だから修理代が元値を超えてしまったことになる。一般に、靴は10万円以上出せば修理しながらずっと履けると言われていることからすれば、随分持ちがいいともいえるが、そこまでお金をかける靴か? と疑問符が付くほどだ。
修理をお願いした店は、中野ブロードウェイの地下商店街の一角にある。カウンターしかなく、間口1間半、奥行きもその程度だから4畳半ぐらいしかない。そこで、4人が立ったまま仕事をしている。修理工具や研磨機などがびっしりと壁を埋め、手を伸ばせばなんでも手に取ることができる。そんな店だ。
私は、靴やカバンの修理を頼むが、利用歴は弊社の歴史に重なる。だから、初めて修理をお願いしてからかれこれ30年近くになる。とはいっても、今までに10回ほどしか使ったことはない。有効期限のないスタンプ帳をくれるが、埋まらないうちにどこかへ行ってしまう。それほどに私の利用頻度は低い。
しかし、嬉しいことに、職人さんの内、カウンターの前方にいるお二人はずっと代わらない。他人のことはいえないが、お二人ともかなり年配になった。一見、ご兄弟のようにも見える。後ろの二人はずっと若く、修行中といった感じである。あまり愛想が良いとはいえないし、必要なことしかしゃべらないが、職人さんらしい。カウンターの上方の壁からは修理中と思われる靴や鞄がぶら下がっている。
さて、修理した靴の履き心地は抜群とは実はいい難い。修理の前に“やってみますが、以前のようにはなりませんよ。もうそろそろ限界が来てますから。”と職人さんに宣言されている。Vibramを張る靴本体の底の方がもう限界らしい。厚手の偏平足用のインナーソールを買い何とか調整して履いている。お気に入りだからついつい始終履いてしまう。ほかの靴の頻度を増やし大事に履けば、まだまだ、あと数年は持ちそうである。
★弊社代表取締役原優二の「風の向くまま、気の向くまま」は弊社メールマガジン「つむじかぜ」にて好評連載中です。