ジュウチクシェル尼僧院の尼僧トゥクチェ・ドルマさん(36才)インタビュー
(尼寺での法要)
(ジュウチクシェル尼僧院の尼僧トゥク)
私 いつご出家なさったのですか?
尼僧トゥクチェ・ドルマ(以下ド) 14才で出家しました。
私 動機は?
ド 7才の時から同じ村の尼僧ジョモ・プテといっしょに住んでいました。彼女から折りに触れ仏法について聞いていました。体が弱かった私は、自分の声にしたがって出家しました。
私 在家と出家の違いはなんですか?
ド 俗人は絶えず家族のことを心配しています。また、在家の生活を送る限り、欲しいものには限りがなく休むひまがありません。彼らは決して心配や、欲求不満から逃れることができないのです。一方、わたしたち出家の身は、戒律に従っているので欲望が制限されています。その結果、在家の者に比べ欲求不満や心配ごとはより少なくなります。
また、在家の者は、自らの欲望を満たすために、ついつい罪を犯しがちです。ですから、出家者に比べると在家の者は、死後悪い生まれ変わりになる可能性が大きいのです。
私 あなたが先輩の尼僧に教えたことを、いまでは後輩に教えているのですか?
ド はい。自分が知っている範囲のことを若い世代の尼僧や見習い尼に教えています。
(ドルマさんと後輩の尼さん)
私 毎日の日課は?
ド 毎朝のお勤めは、ターラ菩薩の祈願。祖師たちへの礼拝。
夕方のお勤めは、ドルジェ・ナンジョルマ(金剛ヨガ女)の法要です。
私 仏教哲学の学習は?
ド 以前は、デプン寺ゴマン学堂の僧侶が仏教論理学を教えてくれていましたが、最近はないです。
私 密教の修行は?
ド 以前、故ゲシェ・ロブサン・ゾパ師が来て密教のドルジェ・ナンジョルマ(金剛ヨガ女)の灌頂を私たちに与えて下さり、修行方法を教えて下さいました。その後、灌頂を受け、加行(準備の修行)を終えた尼僧たちは、密教を修行しています。灌頂を受けていない若い世代の尼僧たちは年配の尼僧から解説を聞いています。
私 村人とはどのようにかかわっていますか?
ド 尼僧は、村人の要請にこたえ、法要に行きます。ターラ菩薩の法要、大般若経などが多く、ときには、葬儀も執り行います。昔は、農作業を手伝うことも多かったのですが、最近は勉学や修行に励んでいます。
私 お隣のカルシャ寺の僧侶の多くが南インドのチベット寺院に行っているそうですが、尼さんたちはいかがですか?
ド はい、ザンスカールからは、多くの尼僧たちがムンゴットやダラムサラへ学びに行っています。彼女たちが再び故郷へ戻ってくるか来ないかは各自の自由です。
私 尼寺の問題点は?
ド 私たちの尼寺は、山の中腹にあり、水道のパイプの直径が小さいので、水の供給量が足りなくて、谷底の下の川まで水汲みに行かなければなりません。高齢の尼僧にとって生活に必要な20kgの水を入れたポリタンクを上まで運ぶことは大変なことです。
また、車道が尼寺まで延長されていないので、車が建築資材を運搬することができません。それに尼寺所有の土地が狭いので、施設を拡大できないことなどが問題です。
(山の中腹にある尼寺外観)
参考:http://www.gadenrelief.org/zangskar.html
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