ラサのロンドン味 [LHASA・TIBET]

ラサのバルコル周辺で見かける、フライド・ポテト屋。 このジャガイモを油で揚げただけの、超簡単な食べ物だが、異常に旨い。 旨いどころか、僕には「懐かしい」味がするのである。 そう、悪名高い、代表的なイギリス料理、「フィッシュ&チップス」のチップスに味が非常に似ているのだ!

手前は香辛料。 フライドポテトはチップス状のものと、スティック状のもの二種類ある。
(手前は香辛料。 フライドポテトはチップス状のものと、スティック状のもの二種類ある)

イギリスのチップスは、日本にはない品種のジャガイモから作られているせいか、実は我々日本人の想像を裏切ってとてもおいしい。 イギリスでは、塩と酢をふりかけて食べるが、チベット版のチップスは、香辛料をまぶして食べる。 一袋一元で売られており、小腹が空いた時にはちょうどよいスナックだ。 日本で言うと、たこ焼き的感覚で食べられる。 僕もこのチベット版チップスのファンのひとりである。

この、チベットチップスが「おいしい」、「懐かしい」と感じる、僕の味覚には実は思いもよらぬ、歴史的な由縁があった。 

時代は18世紀後半。 まだチベットが「鎖国政策」などとっていなかった時代。 ひとりの英国人がチベットを訪れた。 その名はGeorge Bogle。 彼はチベット社会に深く溶け込み、果ては時のパンチェンラマ、ロプサン・パンデン・イシの親戚の娘と結婚までいたる。 そのGeorgeが、上司の命令を受けて、イギリスでもうその当時主食となっていた、ジャガイモをチベットに紹介したのである。

どうりで、懐かしい味がしたわけである。 チベットで食べられている品種のじゃがいもは、200年以上もの昔にイギリスから持ち込まれていたのである! 僕はこの事実を数ヶ月前に知ったが、なんとも不思議な縁というか、チップスを通して、時空が繋がった感じがしてとても嬉しくなった。

やはりチップスはチップスで脂っこい食べ物なので、ラサに着いたばかりのみなさんにはすぐには勧められない食べ物かもしれない。 が、ラサにいながら「ロンドン体験」されたい方は、ぜひどうぞ。

ラモチェ(小昭寺)近くにて

(ラモチェ[小昭寺]近くにて)

Daisuke Murakami
6月25日 
天気 晴れときどき曇り、そしてときおり雨。
気温 10〜24度 
服装 シャツ+長ズボンが一般的。 紫外線がかなり強いので、日焼け対策は必須。 熱射病対策に、帽子もかぶられるとよいでしょう。 異常乾燥注意報も発令しておきます。 あと雨具は必ず持ってきてくださいねー、念のため。