今日は、チベットの御守について少し書きたい。
半年ほど前のことか、
ちょっと運気の乱れがあるなぁ、なんて思っていたときがあった。
ちょうどそのとき、友達のお坊さんに会ったら、
偶然、「○○リンポチェのご加持の入った強力な御守、ちょうど手元に
届いたんだ。君にもあげるよ」と言われ、
そのまま手首につけた。
あまり体にじゃらじゃら何かをつけるのは、性に合わないのだが、
そのときはなんとなく、周囲の気が澱んでいるなぁ、
と思っていたこともあり、これも時の巡り合わせとばかりに、そのままつけたのだった。
上にあるようにカラフルな模様であることが多く、
手首や首につけるものもあれば、家の玄関や自動車の中に安置するものもある。
ところで、
チベットは超御守大国である。
ありとあらゆる御守があり、高僧が加持を込めたもの、聖地にある珍しい石など、
ありとあらゆるものが、「いと有り難き」物体に簡単に変化(へんげ)するのである。
よく見かける御守は、上のように糸を縒(よ)って作られるものだが、
ラサのバルコルで売られているものに次のようなものがある。
これはメロンとよばれているもので、
円盤型の合金なのだが、その表面には「シバホ」と呼ばれる魔除けの図が
描かれており、これを身につけると多くの禍から避けられるという。
禍とは、もちろんいろんなタイプの禍なのだが、ここで興味深いのは、
人々の言われないゴシップからも、加護してくれるそうなのである。
チベット文化の中に少しでも生活したことのある人は誰でも馴染みのあるものだが、
チベット人は相当のゴシップ好きで、それも悪意のある場合は、
誇張して物語を作り出し、社会的・経済的に成功している人々の
陰口をたたくのである。
そしてそのゴシップの力は、(これはどこでも万国共通であろうが)
その対象となった人に精神的・物理的危害を与えるものだが、
上のメロンという御守はそのようなゴシップの負のエネルギーを跳ね返す
力があるという。(ちなみにメロンは、「鏡」の意味)
ラサに来られる方は、ぜひお土産に(笑)!?
(左はタプチラモ、右はジョカン寺のご本尊のお釈迦様)
また最近バルコルで見られる御守には、
携帯用の神仏の写真というものがある。
なんとこれらの写真は立体イメージになっているものが多く、
最近ラサに溢れかえる巡礼者たちの間で、「大人気商品」となっている。
自分が信奉する神仏やリンポチェに応じて、
なかなかレパートリーも揃っており(ある一定の限界はあるが)、
これまた御守としては申し分ないものであろう。
そして、チベットの御守の極めつけは
聖地から得られるモノである。
上の写真、みなさんは何だと思われるであろうか。
実はコレ、動物の骨である。
数週間ほど前、ある洞窟聖地に遊びに行ったのだが、
そこはお決まりのようにグルリンポチェ縁の聖地となっている。
そしてなんと、その洞窟の最奥で日ごろ行いのよい者が地面を掘ると、
なんとも有り難い動物の骨を見つけることができる、ということになっている。
実はこの骨、グルリンポチェが千三百年前、この洞窟で護摩焚きを
やったときに使った108種類の動物のものらしく、この骨を
拾い集めて身に付けると、これまたなんともスーパーご利益大有りの、御守になるという。
さすがに僕はこの御守、家に持って帰ってきたはいいものの、
どうしてよいか分からず(笑)、今はこの文章を書いているコンピューターの横に、
ティッシュにくるまって、その行く末を案じているのである。
御守ついでに書く。
ラサで使っている携帯電話に、僕は日本のトルマを取り付けている。
これは御守である。日本とチベットを繋げる御守。
チベット人の友達は、
このトルマを見て珍しげに「何これー?」とよく僕に聞いてくるが、
「これは日本のトルマで、ホンモノはポタラみたいに大きくて・・」などと答えると、
おお、そういえばトルマそっくりだ・・! ポタラみたいにデカイ!?
と感嘆し、興味を寄せてくる。
御守は、単なるモノにすぎないのかもしれないが、
御守となんらかの縁があるならば、
その御守はそれを身に付ける人に、確かに作用するのである。
左手首につけられた糸の御守は、もうすぐ切れそうである。
ご利益が尽きつつあるのであろう。
切れたら、近くのお寺の木にでも結びに行こうと思う。
Daisuke Murakami
12月4日
(ラサの)天気: ほぼ快晴
(ラサの)気温: -6~10度(だんだん寒くなってきました)
(ラサでの)服装: 昼間は厚手のフリース、セーターなど。 夜は、ダウン、コートなど。晴れの日は日差しがとてもきつくなるので、日焼け対策は必須。空気は非常に乾燥しています。この季節、雨は降ることは少ないですが、雨具は念のため持ってきたほうがいいでしょう。