世界のラクダには大きく分けて2種類あるのをご存知ですか?ひとつは西アジアから北アフリカに生息するヒトコブラクダ。そしてもうひとつがモンゴルを始めとする中央アジアで見られるフタコブラクダです。ずんぐりした体形のフタコブラクダは、重い荷物の運搬役として古くからモンゴル高原の遊牧民たちに飼われて来ました。ここでは、モンゴルでそんなラクダたちに出会えるツアーをご紹介します。
東西ラクダの比べっこ
モンゴルのラクダはフタコブラクダです。暑い西アジアと違い冷涼な中央アジアの気候に順応したため、ヒトコブラクダに比べて毛が長く、四肢が短くずんぐりしているのが特徴的です。また、ヒトコブラクダに野生種が存在しないのとは対照的に、フタコブラクダには家畜種のほかに野生種が今でも残っています。モンゴルの草原でも「ハフトガイ」と呼ばれる野生のラクダが群を作って暮していると言われます。
ラクダは強くたくましい
ラクダのコブの中には脂肪がつまっていて、外から栄養を摂れないときはそれを命綱にして生き延びると言います。また、ラクダは牛や馬と違い乾燥にも強く、ゴビのように水や餌となる草が少ない土地にも耐えられるのです。重い荷物を運び餌が少なくてもすむラクダは遊牧民にとって宝物のような家畜なのです。
ラクダは草原の宝物
ラクダは労働力として重宝されるほか、乳や肉、毛皮などでも遊牧民の役に立つ家畜です。ラクダの乳は牛乳よりも脂肪分や乳糖が少なく、鉄分やビタミンCが多く含まれています。馬から作る発酵乳酒が「グーニーアイラグ(馬乳酒)」ならば、ラクダの乳から作るお酒は「インゲニーホールモグ」と呼ばれ、コクのある味が人気です。馬乳酒よりも飲みやすくおいしいとさえ言われています。ゴビでラクダを飼う遊牧民の家ではこれを作っているところもありますので、機会があれば是非おためしください。また、ゴビ地方ではラクダの肉が食用にもされています。牛などがたくさん飼えない乾燥したゴビで、冬の間の備蓄として食べられることが多いようです。
草原ラクダキャラバン
人気コース「草原ゲル作りキャラバン」は、中央県のバヤンウンジュールという村が舞台。フタコブラクダが引く荷車にゲル、水、食料などの荷物を積み3泊4日の草原の旅に出ます。砂丘を横切り、山を望み、湖でリフレッシュします。キャラバン中はラクダのほか、荷車、馬、歩きの中から個人の好みや能力に合わせて移動手段を選べるので、ご家族連れでも安心です。夜はスタッフと一緒にテント代わりに簡易ゲルを組み立てます。遊牧民たちが遠い昔からラクダなどの荷車に家財道具を積んで移動してきたように、ツアーのキャラバンも悠々と草原を横切って行きます。ラクダ三昧でモンゴルの伝統的な移動をまるごと体験できるイチ押しのコースです。
列車で行くゴビ草原スペシャル
ゴビ草原だけをとことん満喫したい!そんな方にピッタリなのがこのコースです。寝台列車に一晩揺られて、はるか南に広がるゴビを目指します。モンゴル国内での終着駅で下車し国境を見学したら、果てしないゴビ草原の中を車に乗ってツーリストキャンプへ向かいます。キャンプからはラクダの背に跨がり近くの砂丘までトレッキングしたり、珍しい砂風呂にもチャレンジできます。極め付けはラクダを飼う遊牧民のお家でのホームステイ。ゴビでラクダとともにたくましく生きる人々の姿に触れます。
日本でラクダが見たいと思っても、全ての動物園で飼育されているわけではありません。それに、柵の中で飼われているラクダと実際に草原で生活しているラクダでは見た目も迫力も全然違います。さらにそのラクダに乗ってしまおうなんて、日本国内ではなかなか叶わぬ 夢。さあ、この夏、遊牧民の心強い仲間としてモンゴルの大地で堂々と生きているラクダたちに、あなたも会いに行きませんか?