モロッコ周遊 メディナの世界と砂漠紀行スペシャル9日間
2008年9月13日〜9月21日 添乗報告記 文●山田基広(東京本社)
ラマダンこそモロッコへ行きませんか。
なぜですかって?
それはラマダン時期にしか味わえない魅力がたっぷりあるからなのです。
とはいってもラマダンといわれてすぐにイメージが出来る人も少ないかもしれません。
ラマダンとは、イスラム暦第9月に行われる断食等の習慣。1ヶ月の間、日の出から日没までのあいだ食事をしません。もっとも、1ヶ月完全に絶食する訳ではなく(当たり前ですが…)、日没から日の出までの間に一日分の食事をとるわけです。つまり、モロッコ人の生活リズムがいつもと変わるのだ! とあっさりと理解して、旅行をすれば驚くことはありません。もちろん外国人には「断食」の強制はありません!
それでは魅惑のラマダンモロッコへ〜。
すいてる、すいてるメディナのスーク
ラマダンモロッコの特徴のひとつは日中の人の出が減ることでしょう。それはつまり、メディナ(旧市街)のスーク(職人街)が非常に歩きやすいことでもあります。どこもかしこも、いつもよりぜんぜん混雑していないため、ゆっくり立ち止まっての写真撮影も可能!職人さんや、スークの路地裏、可愛い雑貨に、子ども達…魅力的な人やモノに囲まれて、のんびり立ち止まって撮影していても、ガイドも添乗員もそしてお客様自身ももっとも怖いメディナの迷宮での迷子の心配もほとんどなし!メディナの観光箇所によっては貸切なんてこともありました。
けれどご安心下さい。レストランはもちろん、メドレセや観光場所、スークの雑貨屋はいつもどおりにやっています。
ただし、要注意!
ラマダン期間中はお店が早く閉まります。日の出から食事をとっていないモロッコ人の腹ペコ状態は夕方近くなるともうピーク状態。日没後の特別な料理を準備する為、(または空腹で仕事にならなくなってしまうため?)、夕方頃には店が閉まり始めます。そして、自宅に帰り静かに食事の時間を待つのです。
そして、いよいよ日没の17:30頃。スークの中や町の路地からあっという間に人が消えます(本当に消えてしまいます)。店もほとんどがシャッターを下ろして、気がつくとシャッター街。まるで深夜の静けさです。
おいしい!ハリラがおなかを救う。
また、ラマダン中にはよく「ハリラ」というスープがよく出てきます。
「ハリラ」はモロッコの人たちがラマダン明けの日没後に食べるスープ。ラマダン時期の特別な料理です。この時期であればどこのお店でも必ず作っているので、ラマダン中のツアーではたびたび口にする機会があると思います。このハリラがとてもいいのです。
ジャガイモ、ニンジン、玉ねぎ、カボチャに数種類の豆、セロリにひき肉、しょうが、にんにく、etc…
お店によって違いますが、さまざまな種類の野菜のスープに小麦粉をつかってとろりとしたスープに仕上げています。とにかく手間のかかる料理なのでいつでも食べられるわけではありません。じっくりと時間をかけて煮込んだ絶品スープです。
なれない国での食事。けれどこのハリラは疲れた体に(モロッコ人にとっては空腹のおなかのために)すっとしみこむ優しい料理なので胃に負担もなく、つけあわせのアラビアパンとともに本当においしく食べることができます。これもこの時期の良いところでしょう。
活気が戻るよ夜のモロッコ
さてさて、夕食時間がおわると、元通りに営業を始めます。フナ広場もこの時間くらいから一気にいつもの活気を取り戻して、むしろひらきなおったようににぎやかになります。ただ、屋台で食事をしているのは観光客が殆ど。ラマダン期間中は地元の人はみんな家で食事をしていますから。それだけに屋台のおじさんたちも必死!売り上げを落とすまいと呼び込みがすごいです。あちこちで試食という名の愉快なキャッチセールスが…。そんな夜のフナ広場を思い切り楽しみましょう。
ラマダンだからあるモロッコの色々
ちなみにお酒は全く飲めません。
アルコールを出すバーなども期間中にはしまっているか、お酒が無いといわれてしまいます。アルコールが飲みたい方は、ラマダン期間中は高級ホテル以外で酒を手に入れるのは難しいですので、割り切って休肝日とするか、持参したほうがいいでしょう。
また、ホームステイ中でもモロッコ人はラマダンをしています。そのため、皆さんと一緒に食事を取ることが出来ない(特に朝食、昼食)ため、ホームステイにもちょっと不向きな時期かもしれません。
それでも、ラマダンモロッコの最大の魅力はイスラムの雰囲気を肌で感じることが出来ることでしょう。身近にいるガイドたちの断食の姿を理解できると生活リズムとともにモロッコが見えてきて、町のモロッコ人たちの動きや、イスラム教、モスクなどへの興味もだんだんと増してくるので不思議です。
たとえば、ラマダン時期のガイドたち。日の出前の早朝4時ごろに最後の食事を済ませた後は夕方まで水も飲まずにガイドをしています。9月のモロッコは夏の厳しさは無いとは言えまだまだ日中は30℃を越す季節。その上非常に乾燥しているので、私たちはこまめに水を摂らないと脱水になってしまうのに…。目の前で水を飲むことが申し訳ないくらい。夕方ごろには声もカラカラ。それでも笑顔を絶やさない彼等の人柄と信仰心に脱帽です。
ラマダンには「魔の時間帯」が存在するのです。
そう、ラマダンの夕方17時前後から〜夕食の終わる19時頃までモロッコは大幅なサービス削減が行われます。
其の一 ハンマムのパワー半減
ハンマムとは、アラブ式スチーム風呂の事です。
熱い湯気のもうもうとしたスチームの中で垢すりをしてもらったりするわけですが、なにしろラマダン中は垢すりおばちゃん(おじちゃん)も飲まず食わずなわけです。
そのため、ラマダン時期はどの時間も通常よりは垢すりパワーが落ちます。当然、この時間帯はとくに大幅パワー減。ふらふら状態での垢すりとなるため、ほとんど垢すりになっていない状態のことも。
ラマダン時期のハンマムには大きな期待をしない方が良いかと思います。
其の二 人が消える!?
日没後のラマダン明けのこの時間帯。ホテルサービスも全面停止に近い状態になります。
水が出なかったり、飲物がほしかったり、両替をしたくてもフロントに人がいません。困ったときはラマダンと思ってのんびり19時まで待ちましょう。その後はおなかの満たされたモロッコ人たちのあたたかいサービスが待っています。
其の三 人があふれる!?
日没後のラマダン明け直前の時間帯。フェズやマラケシュのスーパーに買出しの人があふれかえります。ツアー中、お土産を買うため、地元の人が使うローカルな大型スーパーに行くことが多いのですが、この時間に行くともう大変。買出しの人であふれかえってとてもレジに並べません。そのため少々時間調整をして落ち着いた頃に向かいます。われわれもラマダンに合わせて時間調整。だんだんとラマダンリズムが身についてきますよ。
と、このように良いことも悪いことも色々ありますが、ラマダンを知ることで、モロッコがきっと大好きになることでしょう。
みなさんもぜひラマダンモロッコへ行ってみませんか?
はじける笑顔が待ってますよ。