2008年8月9日〜8月17日 文●池内明穂(東京本社)
じりじりと照りつける太陽、吹き付ける熱風、無味乾燥の荒涼とした砂漠、50度以上の灼熱の世界・・・。
8月のモロッコ、皆様はどのようなイメージをお持ちでしょうか?
今回、お盆真っ盛りの8月に、添乗員同行として『メディナの世界と砂漠紀行スペシャル9日間』について、なかなか想像し難い「夏のモロッコ」体験をご報告します。
出発前、マラケシュ支店からの指令
「暑いですよ〜。冷却シートたくさん持ってきてくださいね!」
出発直前、マラケシュ支店からこんな指令が届きました。
事前にある程度準備してはいたものの、出発当日更に買い足します。また以前夏場に訪れたスタッフからは、「ペットボトルの水がお湯になるよ!」との報告を耳にしており、灼熱の世界を体験できるという期待と不安で羽田空港へ向かいました。乗り継ぎ地ドバイ空港にて、日本各地から参加された皆様の初顔合わせを行い、皆様にも覚悟を決めていただきました。(笑)
着いたカサブランカ空港では?
日本からの飛行時間合計で20時間弱。ようやくたどり着いた、モロッコ空の玄関口カサブランカ空港。降り立った皆様の第一声は「あれ?想像していたよりも暑くないね」といったものでした。このとき外気温は既に35度。日本のじとっとした不快な暑さはなく代わりに非常に乾燥した、からっとした空気が包んでくれました。スカイブルーの空の下、バスに乗り込み、これから8日間にわたる約2200kmのモロッコ周遊がスタートします。
ジャマ・エル・フナ広場の昼の顔と夜の顔
マラケシュに滞在中の、楽しみといえば、やはりジャマ・エル・フナ広場。昼間は水売りのおしゃれなおじさんが行き来し、なんとなく近づいて覗きこんでしまう蛇使いに目を奪われ、新鮮なオレンジジュース屋さんが軒を連ね、比較的穏やかな印象を持ちました。
ところが、夕方ごろから夜にかけて、広場の雰囲気は一転! いつの間にか、何十件という屋台が出現し、日中は暑くて外に出ていなかった地元の人たちやツーリストが「待ってました!」とばかりに続々と繰り出してきます。どこにそんなに人がいたのか?と思わず息を呑むほど、その多さに圧倒されます。陽が沈み、広場全体がその様相を変え、そこには鳥肌が立つような熱気と興奮が渦巻いていました。長い夏の夜、真夜中まで賑わいを見せていました。
初めての口にするサボテンのお味は?
モロッコの至るところで、目にするサボテン。アトラス山脈を越える道すがら、また市場で高く積み上げられたサボテンの実。現地の方が美味しそうに食べているその様子に、お客様の一人がリクエスト。ちょうど移動中に開催されていた市場へ立ち寄り、皆さんでその味を試しました。売り子のおじさんが一つずつ、皮をむいて食やすく剥いてくれます。
キウイフルーツ大の大きさで、味は甘く、比較的あっさりしていています。現地では整腸作用があるといわれており、また夏の過酷な暑さには、この水分たっぷりのフルーツがのどを潤し、一口の清涼剤となりました。
サハラ砂漠でテント泊
やはりこのメルズーガでの一泊を楽しみにしている方が非常に多いです。
砂の上にマットが敷いてあり、私達の寝床は1枚のマットレス。 夜に、ロッジの方がシーツを用意してくれました。 (状況により、変更する場合もアリ)
砂漠の夜は暗黒の世界。 テントの中のほのかなランプの灯りと、月明かりで幻想的な一夜となります。
夏のテントの中はとっても暑く、半数以上の方は、マットレスをゴソゴソと引っ張り出して、外で(砂嵐も覚悟の上!)お休みになっていました。就寝時、星が見えなかったのが残念です!
天気が良ければ、満天の星空の下、贅沢な一夜をお楽しみいただけます。
夏の一杯はこれで決まり!〜理にかなったミントティー〜
モロッコの飲み物で、真っ先に浮かぶもの。それは生の葉っぱがそのまま詰め込まれた熱くて甘いミントティーです。ミントの成分は、直接体温を下げる効果があり、また気分を爽快にしてくれます。消化促進や、発汗、沈静作用などの効能もあり、そしてオリーブオイルをふんだんに使用したモロッコ伝統料理の後にはお勧めの一杯です。特に夏場は、こまめに水分補給をすることが重要です。可愛い小さなミントティー用のポットとグラスは、ほっと一息つける大きさなのです。
ミントや砂糖の量は各々作り手によって異なります。民家訪問時や、一部のレストランでは私達の目の前で、ポットを持ち、高い位置からグラスに注いでくれます。
皆様、味の違いはもちろん、グラスの好みなども併せ、視覚、嗅覚、味覚・・・毎回楽しみながら、品評会をされていました。
日本で飲むことはほとんどありませんでしたが、暑いモロッコで飲む熱い一杯は本当に美味しく、毎日元気でいられた源かなと感じています。
栄養満点のモロッコ料理
何種類もあるサラダや、タジン(※円錐の土鍋で、野菜や肉を煮込んだ料理)、クスクス(※上質セモリナ粉を極細粒にして、上に人参やじゃがいも、ズッキーニなどの野菜やひよこ豆、牛肉などを載せた煮込み料理)といった代表的なモロッコ料理は野菜が多く、柔らかく煮込んだお肉もとっても美味しい!
オリーブの実や、プルーン、アーモンドなども皿に盛られ栄養満点です。暑さ・乾燥を乗り切る伝統料理を堪能できます。ただオリーブオイルをふんだんに使っているため、このような料理が続くと、体に合わなかったり、体調が優れなかったり、食欲が落ちた時などはやはり口に運びづらいもの。
モロッコには野菜、果物も豊富ですが、フリーズドライのおかゆやちょっとしたレトルト食品なども、もしものためにお持ちになるといいかもしれません。
42度!
今回の行程中、最高気温となったエルフード付近での外気温です。容赦なく照りつける太陽は、ドライヤーの<弱>で熱風が全身を吹き付けるような、とても乾燥したサウナの中にいるような、そんな感覚でした。風通しがよく締め付けない服を着用し、紫外線対策はもちろん、乾燥対策も忘れずにご準備ください。また、意外と盲点だったことは、移動中の車内の気温(冷房を入れた場合:32度前後)と、外気温の温度差です。この温度差で体調を崩してしまう恐れもあります。
ちなみに今回訪れた中で最低気温を観測した場所は、フェズの早朝で「24度」でした。今までの暑さから比べると少し肌寒く感じるほどでしたので、ここでも気温差には気をつけていただきたいと思いました。モロッコは地域によって気候も異なるため、訪れる場所がどのような気候に属しているのか、事前に調べて準備しておくことをおすすめします。国土は日本の約1.2倍。海あり山あり砂漠あり。滞在中もその地理と気候の変化を十分に感じることができました。