砂漠大移動
コース名:サハラ砂漠と旧市街を巡る9日間
2013年9月28日~2013年10月6日
写真・文●鹿島 菜月
モロッコの魅力をぎゅっと盛り込んだ、「サハラ砂漠と旧市街を巡る9日間」に同行しました。
9月のモロッコは気温35度を超え暑いですが、日本と違い湿気がなくからっとしているので、快適に過すことができます。なので基本的には日本の夏と同じ服装で大丈夫です。ただ日本よりも日差しが強いので、サングラスやつばの広い帽子、綿や麻など風通しのよい長袖、羽織物をお勧めします。では早速、私達の旅路を順を追ってご紹介します。
2日目
初めてのミントティー
小さなポットに砂糖2袋
日本からドバイを経由し、約21時間。長い空の旅が終わると、太陽がまぶしいモロッコに到着しました。この日はカサブランカにある空港から、4時間車に揺られフェズへと向かいます。
途中、初めてのミントティータイム。独特な入れ方と、砂糖の多さにびっくりしましたが、ミントの爽やかな香りが気分をリフレッシュさせてくれました。
夜はモロッコ料理のクスクスとタジン料理に舌鼓。経営するお母さんがイスラム教徒のため、お酒の提供はなく禁酒。イスラム教の洗礼を受けました。
3日目
ブー・ジュルード門
この日はフェズ旧市街を観光。マジョルカ焼きが美しいブー・ジュルード門を抜けるとメディナ(旧市街)が広がります。道は狭くで車は通ることができないので、ロバが荷物を運びます。迷路のような路地には、パン屋に金物屋、装飾品店などさまざまな店が並びます。生鮮食品店が立ち並ぶ路地では、生肉を販売したり、生きた鶏を運ぶ人の姿もあり、モロッコ庶民の生活を垣間見る事ができ、その勢いに圧倒されました。
その後、砂漠滞在の拠点エルフードまで車で移動します。途中、モロッコのスイスと称され日本で言えば軽井沢のようなリゾート地、イフレンで休憩をとりました。ここは標高が1,650mあり、冬はスキー場、夏は避暑地として人気です。ひんやりとした風が気持ちいいオープンテラスの席で休憩をとり、リゾート気分を満喫しました。
マス料理
この日の昼食はリンゴの町ミデルトでマス料理を食べました。マスを丸々1匹食べるのは初めて! という方が多数でしたが、マスの美味しさに箸が止まらず大好評。その後も車を走らせ、メルズーガのロッジに到着した頃には、あたりは真っ暗でした。
市内観光にお勧めの服装は、半袖に長袖の羽織る物、女性でしたらロングスカートもお勧めです。
4日目
まだ暗い早朝、ラクダに乗り日の出観賞へ出発しました。
夏のモロッコとはいえ、朝晩は少し冷えます。フリースやセーターを着るほどの寒さではないので、半袖や長袖に風を通さないウィンドブレーカーがお勧めです。また、足を大きく広げてラクダに乗るので、縫い目の少ない、ストレッチのきいたパンツが適しています。砂漠の砂は粒子が細かいので、足元は脱げにくいサンダルがお勧めです。30分ほどラクダに乗ると、小高い砂丘に到着します。砂丘には自分の足で登りますが、砂が柔らかく、足をとられ頂上まで登るのは一苦労でした。
やっとの思いで登り、太陽が顔を出すのをみんなで待ちます。徐々に辺りが明るくなると、一面砂漠が広がり、ラクダ達の佇む姿はまるで絵本の世界のようです。太陽が少しずつ昇る姿は神秘的で、美く感動的で、疲れは吹っ飛び歓声が上がりました。
まるで絵本の世界
日の出観賞
朝食を終えると近くの村を訪れ、ベルベル民族によるグナワ音楽を聴きました。カルカベという鉄製カスタネットのような楽器と打楽器でリズムを取り、踊りながら歌います。その後、ベルベル民族のお宅を訪問しました。家の前には、今が旬のデーツが干してあり、ほのかに甘い香りが漂ってきます。
お父さんが各部屋を案内し、広いリビングでミントティーを振舞ってくれました。
日本ではミントの葉だけを使ったものが多いですが、モロッコは中国緑茶にフレッシュミントを入れているので、ミントティーが苦手な方にもお勧めです。また、地域により気候が違うのでミントの香りも変わります。その違いを楽しむのも面白いでしょう。初日に砂糖の多さにびっくりと書きましたが、4日目になると甘いミントティーを飲みたくなるので不思議です。
今が旬のナツメヤシ
ミントティーを振舞うお父さん
アンモナイトの化石
モロッコのサハラ砂漠とといえば、アンモナイトの化石発掘が盛んな地域です。私達も化石を含んだ大きな石を加工する工房を見学しました。小さな置物から、大きな机まで化石好きにはたまらない工房です。午後は身支度をして、2時間のラクダ移動。砂漠のキャンプを目指します。ラクダは前後にゆっくり揺れるので、慣れてくると眠くなってしまうほど乗り心地がいいです。夜は砂漠の真ん中に建つキャンプで1泊。小高い砂丘にマットを敷き寝転んで星空を観賞しました。星が流れるたび、あちらこちらから歓声が上がります。夜は砂丘にマットを敷いて寝る事もでき、星を眺めながら寝るのはとても贅沢で、眠ってしまうのがもったいないくらいでした。
5日目~6日目
トドラ渓谷
曲がりくねった道を進み、トドラ渓谷へ。道の両側にとても高い岩壁が立ちはだかり、その迫力に圧倒されます。一方大きな岩の間にはアトラス山脈の雪解け水が川となり、ゆったりと流れています。水は冷たく透明で、その様子は見る人を穏やかな気持ちにさせてくれます。
映画のロケ地としても有名な世界遺産アイト・ベン・ハッドゥ。モロッコへ来たらここへ行きたいと思う方も多いでしょう。この地域にはカスバと呼ばれる城壁に囲まれた要塞や、その集落を意味するクサルが点在し、エルフードからワルザザードまでは「カスバ街道」と呼ばれています。ベルベル人が敵の侵入や襲撃から身を守るため考えた建物で、その代表的なクサルがアイト・ベン・ハッドゥです。青い空に映える茶色の土壁で統一された風景は感動的で、モロッコ一美しい町と呼ばれるのも納得です。現在も住居している家族が数人いるようですが、ほとんどの住民は対岸に移住し、道の脇にはお土産屋さんが並びます。ついついおみやげ物に目を奪われますが、メディナ同様、迷路のような道なので迷子にならないよう注意が必要です。
アイトゥベンハッドゥ
アイトゥベンハッドゥからみた景色
今回の旅行の中で一番暑かったのがこの地区です。太陽がじりじりと照り付けるので、日差しから肌を守り、水分をしっかり取りましょう。
アルガンオイルを抽出
モロッコといえばアルガンオイル。アルガンオイルに食用があるのをご存知ですか? この日の昼食はアルガンオイルを試食。香ばしくあっさりしたオイルは、モロッコのパンによく合います。オリーブオイルには塩を入れてパンを食べますが、アルガンオイルにはお砂糖がよく合います。併設されたアルガンオイルのお店では、アルガンの実を取り出す様子を見学しました。
お店にはハンドクリームや石鹸、リップクリームなどアルガンオイルを使った商品が所狭しと並びます。店内では気軽に商品をテストすることができるので、お気に入りの1点を選んでみてはいかがでしょうか?
標高2,260mのティシュカ峠を越え、最終目的地マラケシュへ向かいます。マラケシュに到着すると、今までの自然豊かな風景は一変し、エネルギッシュな街の雰囲気へと変わります。特にフナ広場の活気と人の多さにに圧倒されました。夕食をフナ広場の屋台で食べ、その後周辺の散策へ。広場ではいろいろな催し物があり、日本のお祭りのような賑わいですが、ここでは毎日この光景が繰り広げられます。
フナ広場の催し物
フナ広場屋台の料理
マラケシュでは伝統的なモロッコ様式の建物を宿泊施設として利用する「リアド」に宿泊します。ホテルのような便利さはありませんが、宿によって雰囲気が違うのはもちろん、1部屋1部屋装飾が違い、各宿のスタッフが家族のように旅行客を迎えてくれます。
7日目
マラケシュ博物館
午前はマラケシュ博物館と神学校を見学しました。マラケシュ博物館は、実際に使われていた宮殿を開放しているので、展示品はもちろん、建物や装飾品が豪華で、台所やハンマム(イスラム諸国の銭湯)も見ることができ、貴族の生活を垣間見ることができます。中でも私のお勧めは、家具に施されたラクダの骨の装飾です。説明を受けたときは驚きましたが、その美しさは必見です。神学校の壁面を飾るタイルは美しく、壁一面に細かい装飾が施され、ところどころにアラビア文字を見つけることができます。
バブーシュ店
いよいよスーク(市場)でのお買い物。モロッコの代表的なお土産、バブーシュを買いに行きました。バブーシュとはモロッコで昔から履かれている、革で出来たハンドメイドの履物です。シンプルな物から刺繍やスパンコールををあしらった物などデザインはさまざまで、履くほどに足になじむ履き心地の良さが人気の秘密のようです。女性だけでなく、男性にも喜ばれるお土産です。
木工職人
スークには商人が経営するお店のほかに、職人が作業するアトリエを兼ねているお店も多くあります。私が出会ったのは、木工職人。足を器用に使い木を加工していきます。その技術は素晴らしく、まるで魔法がかかったように作品が生まれ、座り込んで見入ってしまいました。また、フナ広場と言えばオレンジジュース。その場で生のオレンジをジュースにしてくれるのでとても美味しかったです。是非お試しください。
これまで所々で服装の話をしましたが、モロッコはお買い物天国でもあり、スークを歩くと自然とお土産が増えるものです。少しでも多くの思い出を持ち帰るためにも、重ね着で調節するのがお勧めです。
9日間のモロッコ滞在は、こうしてあっという間に過ぎていきました。最終日の夜は、フナ広場を一望するレストランで最後のモロッコ料理を食べ、みんなで今回の旅行を振り返りました。自然に遺跡、美術に買い物、グルメなどさまざまな顔を持つモロッコ。今回の旅では観光するだけでなく、その土地に住む人々の生活や文化も垣間見ることが出来ました。今までとは違った旅行に、「またモロッコに行きたい」と参加された方も感じたようです。
魅力一杯のモロッコに出かけてみませんか?