添乗報告記●大自然・暮らし・村巡り コロンビアでアマゾン体験9日間

2012年12月29日~2013年1月6日 
文●中台雅子(東京本社)

昨年の年末、初催行となった南米コロンビアツアーに添乗員として同行してきました。
さて、その行き先は・・・?日本から地球の裏側に流れる大河「アマゾン」です!

「アマゾン」と聞くとブラジルをイメージする人が多く、コロンビアとあまり結びつかないかもしれません。ですが、コロンビアもアマゾン河が流れる国の一つなのです。世界最大の流域面積を誇るアマゾン河は面積約700万平方km、全長6,400kmの巨大な大河。そのうちコロンビアは約2%に満たない割合のため存在感が少し薄いかもしれませんが、三国国境地帯に位置する特殊な立地(アマゾン河をボートで走り国境越えができる)や、ピンク色のカワイルカが見られるチャンスがあったりと、アマゾンを体感できる要素が詰まっています。そんなコロンビアアマゾンツアーの様子を詳しくレポートいたします。

nanbei_kiji06_maps
クリックで拡大

いざ、アマゾンへ!

日本からコロンビアへの道は、空路、米国都市で乗継ぎ首都ボゴタに到着します。アンデス山岳地帯に位置するボゴタからアマゾンの町レティシアに通じる陸路の道はありません。実際にアンデスを超えて熱帯アマゾンへ陸路で行こうとしたら、その地形の変化から果てしなく遠い道のりになるのでしょうが、今回のツアーは決して探検隊のような旅ではありませんので、ご安心を。国内線フライトで約2時間、コロンビアアマゾンの拠点の町レティシアに到着です。

首都ボゴタから国内線フライトで2時間飛べば、そこはもうアマゾン!
首都ボゴタから国内線フライトで2時間飛べば、そこはもうアマゾン!

レテシィア空港に到着すると、ボゴタのカラッと乾燥した気候とは一変、熱帯らしい高温多湿の空気に包まれます。「アマゾンに来たぞ~」という雰囲気も盛り上がってきます。


三国国境地帯のアマゾンで、ブラジル、ペルー、コロンビアの村々を巡る

レティシアの町に一泊し、翌日はボートに乗り込みいざ、アマゾン河へ!コロンビアアマゾンの拠点レティシアは、アマゾン河を挟んで「対岸はペルー領、下流の反対側はブラジル領」という具合にちょうど3ヶ国(コロンビア、ブラジル、ペルー)の国境地帯に位置するため、周辺は出入国審査無しで行き来できるのが面白いのです。

レティシア周辺MAP


ベンジャミン・コンスタン村(ブラジル領)の市場を歩くと、聞こえてくるのはポルトガル語
ベンジャミン・コンスタン村(ブラジル領)
の市場を歩くと、聞こえてくるのはポルトガル語

まず、最初に到着した「ベンジャミン・コンスタン村」はブラジル領。にぎやかで陽気な音楽が街中に流れ、見渡すと周りの店の看板もポルトガル語で書かれています。お店に入ってみると、値段表示はブラジル・レアル。でも、国境地帯だから、3ヶ国の通貨が流通していて、どの通貨を利用しても大丈夫です。ドルやコロンビア・ペソで支払ったお釣りはブラジル・レアルで戻ってくるので、計算がよく分からず慣れていないと戸惑ってしまうのですが、これも国境の町らしい体験です。
ベンジャミン・コンスタン村から、ボートで20分ほど行けば、今度はペルー領の「イスランディア村」に到着。この村の建物が全て高床式になっているのは、雨季の増水期に水位が3~5mほど上がってしまうからです。豊かな水量を誇るアマゾン河ですが、雨季と乾季でこんなにも水位が違うのかと驚かされます。
この日の宿泊はペルー領の小さな村「サカンブー」。アマゾンらしく1泊だけハンモックで就寝体験。「あれ、今どこだっけ?コロンビア?ブラジル?」とお客様から質問が飛び交うほど、1日で3ヶ国を、しかもアマゾン河を渡って訪れられるのはとても面白いです。

高床式の建物が並ぶイスランディア村(ペルー領)
高床式の建物が並ぶイスランディア村(ペルー領)
イスランディアの村では、「インカコーラ」やペルー産の商品が並ぶ
イスランディアの村では、「インカコーラ」や
ペルー産の商品が並ぶ



コロンビアアマゾン河流域の絵地図 (残念ながら写真がない)ピンク色のカワイルカも描かれています
クリックで拡大
コロンビアアマゾン河流域の絵地図
(残念ながら写真がない)
ピンク色のカワイルカも描かれています

ピンクイルカに遭遇!アマゾンの大自然を体感

河をボートで走っていると、突然、姿を現したのがピンク色のカワイルカです。アマゾン河特有の茶色く濁った水面下を見ても、どこにイルカがいるのかはわかりません。ボートのモーターを止めて、静寂の中でローカルガイドがイルカを呼び寄せるために、歌うように口笛を吹きます。すると、「わ~っ」とお客様から歓声が!ボートのすぐ近くまでやってきたイルカがジャンプ!一瞬のことだったのでカメラに収めることができませんでしたが、淡いピンク色をしたカワイルカの姿は皆さんの目にしっかりと焼きついたはずです。

翌朝、早起きをしてジャングルウォーキングへ。先住民がボディーペインティングの染料に利用する赤い実(アチョーテ)や、樹液が薬として効用のある樹(オヘ)、大きく地面に張り出した板根の大木など、熱帯特有のユニークな植物を観察しながらガイドと一緒に森の中を散策します。残念ながら前夜から降り続いた雨の影響もあり、野鳥や動物に出会えなかったのですが・・・、その代わり、夕方ボートで河へ出かけると、昼までの雨模様が嘘のように、澄んだ空が顔を見せ、素晴らしいアマゾンの夕焼けの景色を見ることができました。ボートで風を切って眺めた、赤く染まるアマゾンの空の色は忘れられない光景です。

アマゾン名物、ピラニア釣り!
アマゾン名物、ピラニア釣り!
鋭い歯を持つピラニア フライにすると美味!
鋭い歯を持つピラニア フライにすると美味!



アマゾン河流域には深い密林のジャングルが広がりますが、柵のない森の中で生息する野鳥や野生動物との遭遇は運次第?ともいえます。アマゾン滞在中は、急に降りだすスコールの雨に見舞われスケジュール変更を余儀なくされることも・・・。都会の生活とは違い想定外の場面に出くわすこともありますが、そんな時はハンモックに揺られ雨音の中で昼寝を楽しんだり、アマゾンの大自然に少し心と身体をゆだねてみると、思わぬ感動や素晴らしい景色に出会えるかもしれません。

雲が切れ 青い空が見えてきました!
雲が切れ 青い空が見えてきました!
アマゾンの夕焼け 木々が影絵のように見えるアマゾンの夕焼け 木々が影絵のように見える



アマゾンで生きる人々の暮らしに触れる

アマゾンに生活する人々の暮らしに触れることも今回のツアーテーマです。アマゾン滞在2日目には、アマゾン河の支流(ロレトヤク川)沿いにある、ティクナ族が暮らす「サン・ファン・デル・ソコ村(コロンビア領)」に滞在しました。

実は、今回、コロンビアでアマゾンツアーを企画したのは、受け入れ先現地旅行社がこの村の支援に関わっていることに興味を持ったことがきっかけでした。自給自足程度の小規模な農業や漁で生活を営む250人くらいの小さな村ですが、村振興のため、村一丸となって観光に携わり頑張っています。かつて、国際機関の支援で観光客向けのロッジや施設が建設されたのですが、プロジェクト終了後、村人が観光に関わる道筋は途切れてしまい、結局、利用されないロッジが廃れていってしまいました。受け入れ先現地旅行社は、そんな村の現状を知り、NGOと協力して継続的にこの村の支援を行っています。

現地旅行社のフアンさん曰く「村に通い始めたころは、村人たちはなかなか心を開いてくれなかったんだよ。だけど、今は、みんな笑顔で迎えてくれる!」。
村人たちにとって私たちは初めての日本人ゲストでしたが、皆な本当に温かな笑顔で迎えてくれました。それも、フアンさんたちが、根気よくこの村に通い村人たちと関係を作り上げてきたからでしょう。お客様を連れて村を訪れる際は、子供たちに文具や本を寄贈したり、現在はNGOと協力して小学校に図書館を建設しています。

サン・ファン・デル・ソコ村
サン・ファン・デル・ソコ村
フリアナおばちゃんの手作り料理は最高に美味しかった!
フリアナおばちゃんの手作り料理は最高に美味しかった!


フリアナおばちゃん自慢の一品 ユカ(キャッサバ)芋のパンケーキで包んだ“アマゾン風ハンバーガー”
「日本語教えて!」人懐っこいアマゾンの子供たち
「日本語教えて!」人懐っこいアマゾンの子供たち


アマゾンの子供たちに文具をプレゼント たくさん勉強してね!
アマゾンの子供たちに文具をプレゼント
たくさん勉強してね!

旅行費の一部が村の支援に使われるため、今回、お客様から村の子供たちへ文具をプレゼントしてもらいました。子供たちは大喜びで、コロンビアと日本の歌で交流も楽しみました。

村人たちは、一人一人、「ロッジの管理役」「料理人」「案内ガイド」など役割分担が決まっていて、皆、誇りを持って自分たちの仕事に従事しています。料理人の「フリアナおばちゃん」は、私(添乗員兼スペイン語通訳)が席をはずしていると、食堂にいるお客様が暇ではないかと、言葉は全くわからないのに、笑顔で一生懸命(スペイン語で)話しかけていました。そんな、フリアナおばちゃんの作った料理が、「一番美味しいコロンビア料理だった!」とお客様全員から大好評でした。村のロッジや食堂も、都会のホテルのように設備が揃った場所ではなくそういった快適性は正直求められないのですが、それにも増してお客様から好評な感想を頂いたのは、村人たちの素朴で温かなもてなしが私たちの心にすーと響いたからかもしれません。

モンセラーテの丘から一望するボゴタの街モンセラーテの丘から一望するボゴタの街

アマゾンとは一変! 大都会ボゴタの街

コロンビア最終日は、首都ボゴタを観光しました。アマゾンとは一変、コロンビアの街は大都会です。モンセラーテの丘に昇ると、アンデス山岳地帯の盆地に広がる大きな街の様子が一望できます。


ボゴタの交通システム“トランスミレニオ”に乗って朝の市場へ
ボゴタの交通システム“トランスミレニオ”に乗って朝の市場へ

専用道路を走る画期的な交通システム「トランスミレニオ」に乗って、朝のマーケット(パロ・ケマード)を訪れたり、黄金の展示物の数に圧倒される「黄金博物館」を見学したり街のみどころはたくさんあります。街を歩いていると、日本人がとても珍しいようで、たくさんのコロンビア人が「一緒に写真を撮って!」と声をかけてきたのも微笑ましかったです。
2002年発足の大統領ウリベ政権以降(現在、サントス大統領)、治安改善と経済政策に力を入れてきたコロンビアは近年大幅に治安が改善されてきています。ボゴタの街にいると、経済発展が進むエネルギーに満ちたコロンビアの様子が伝わってきます。

首都ボゴタは大都会首都ボゴタは大都会

壮大な大自然のアマゾンと、エネルギー溢れる大都会ボゴタ。多様な表情をもつコロンビアの魅力に触れ、温かくフレンドリーなコロンビア人に魅せられた9日間のツアーでした。

関連ツアー

関連よみもの