聖地その2 成道の地 ブッダガヤ
成道とは「道を成す」、つまり仏教用語としては「悟りを得る」こと。
現在のネパールにあるルンビニに生まれたカピラヴァストゥ(カピラ城)の王子 ゴータマ・シッダールタは城下で老病死の現実を目の当たりにしてショックを受け、身分も家族も財産も捨て出家し、長い苦行の生活に入りました。
ガヤーはナイランジャナー河(尼連禅河)の下流ファルグ河の川沿いの街。現在は、インドのビハール州のマガダ地方ガヤー県の県都です。ヒンドゥ教の梵天(ブラフマー)の聖地で、当時も大勢の出家者が修行生活を送っていました。
出家したお釈迦様はこの地で6年とも7年とも言われる厳しい苦行生活をつづけました。有名なガリガリにやせ細ったお釈迦様の像はこの時の断食修行の様子を表現しています。やがて、王子としての欲望にまみれた生活も、極端な苦行も無意味であると悟り、断食をやめ、村娘スジャータの乳粥の施しを受けます。そしてガヤーの郊外、ナイランジャナー河のほとりに立つ菩提樹の麓で瞑想し悟り(成道)を得るのです。そのため、この地は「ブッダガヤ」と呼ばれるようになります。お釈迦様はこの地で悟りを得た後7週間を過ごしました。自分は悟ったものの果たして周囲の人間に理解されないのではないかと悩んだのです。そんなお釈迦様を梵天(ブラフマー)が励まして(梵天勧請)、修行仲間であった5人(五比丘)に会いに行くためヴァラナシのサールナートへと旅立つのです。
現在のブッダガヤはアショーカ王の創建と言われる大菩提(マハーボディ)寺を中心に、その大塔、西側にはお釈迦様がその下で悟ったとされる菩提樹と座っていたとされる場所に金剛法座と呼ばれる石板が置かれています。周囲にはルンビニと同様に各国各宗派の仏教寺院があります。今でもチベットやネパール、ブータンなどのチベット仏教徒、スリランカやミャンマーなどの上座部仏教徒、そして日本や中国、韓国などの大乗仏教徒など、さらにはヨーロッパやアメリカなどの欧米諸国の仏教徒も含め世界中の仏教徒が訪れ、金剛法座と菩提樹に熱心に祈りを捧げお釈迦様の遺徳を偲んでいます。自称「仏教徒」の日本人巡礼者は、仏陀成道の地を訪れた幸せに浸っている各国の巡礼者の熱気に気恥ずかしさを覚えるかも知れません。
アクセス
空路:ガヤー空港から車で約20分。デリーやコルカタからの便のほか、巡礼シーズンにはブータンのパロ、ミャンマーのヤンゴン、タイのバンコクなどからも国際線が運航される。
陸路:パトナーまで約3時間、ヴァラナシから約7時間。
周囲の王舎城(ラージャグリハ)、ナーランダ僧院の遺跡などとともに訪れることが多い
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